不動産オーナーが最もストレスを感じるのは、「空室」よりも「賃貸トラブル」という方も多いと思います。
「上階の足音がうるさい」「ごみの分別がされない」といった人的トラブルだけでなく、「給湯器が壊れてお湯が出ない」「エアコンが壊れて冷風が出ない」といった設備トラブルなど、賃貸にまつわるトラブルは多岐に渡ります。
賃貸トラブルは未然に防ぐことが重要ですが、それでも発生してしまうことはありますし、未然防止はすぐに出来るものではなく、時間をかけて少しずつリスクを解消していくものなので、取り組み始めたそばからトラブル発生ということもあります。
今回は賃貸トラブルを炎上させない対応テクニックについて解説します。
より良い賃貸経営の一助になると思いますので、ぜひ最後までご覧ください。
対応の満足度は賃貸経営に大きく影響する
もし賃貸トラブルが発生した際、その対応方法を誤ってしまうと・・・
借主を怒らせてしまうことにより、家賃不払い、室内の過度な破損や汚損、隣接住戸に対して嫌がらせ、共用部分の破壊など、本来であれば発生しなかった被害が発生してしまう可能性が高まります。
反対に賃貸トラブルを適切に対応することで、借主や入居者との良好な関係が生まれるキッカケになることは少なくありません。
例えば、「グッドマンの法則」というものを聞いたことはありますか?
苦情の対応を適切に行って、その対応に満足してもらえると、商品の再購入率(リピート率)が飛躍的に向上するという理論です。
引用:【経営コンサルタントが使うフレームワーク】~グッドマンの法則~
これは賃貸管理でも重要な考え方で、賃貸トラブルを適切に対応すると、入居満足度が向上し、結果的に入居期間が長くなったり、トラブルが発生しても解決に協力的になってくれたり、賃貸経営にはとても良い影響があります。
では、賃貸トラブルが発生した際、どのようなことに気を付ければいいのでしょうか?
賃貸トラブル対応のポイント5選
賃貸トラブルが発生した際、必ず押さえておきたいポイントが5つあります。
①スピード対応
②具体的な説明
③小まめな報告
④相手方の正義を守る
⑤選択肢・代替案の提示
これらのポイントを守ることで、賃貸トラブルの炎上を避けられるだけでなく、入居者との関係性も良好になり、賃貸経営にはとても良い効果をもたらします。
では、一つずつ見ていきましょう。
①スピード対応
賃貸トラブルが炎上する最も多くの理由は「対応が遅い」です。
早く解決することも大事ですが、私は「より早く現場へ駆け付けること」が重要だと考えています。
駆け付けた結果、簡単に解決することもあり、解決しなかったとしても入居者としては安心感が生まれます。
また、電話では怒鳴ってしまう人も、会って話せば落ち着いて話してくれる人もいるため、少なくとも対応が遅くなることは避けましょう。
遅い対応に潜むリスクや早期対応の方法はこちらの記事で解説しています。
賃貸トラブルでの「遅い対応」に潜む大きなリスク
②具体的な説明、③小まめな報告
スピード対応を心掛けても、雨漏りの修繕やユニットバスの交換が必要となった場合は、完了までにそれなりの時間を要することになります。
その時に揉めるかどうかを大きく左右するのが「具体的な説明」と「小まめな報告」です。
人は待たされることよりも、なぜ待っているか分からないことに強いストレスを感じます。
「なるべく早く」といった抽象的な表現を避け、いつまでにどのようなアクションを行うか具体的に説明することが重要です。
また、報告頻度も小まめに進捗報告を行うことで、ストレスを大幅に軽減でき、大きな安心感を与えることができます。
この2つについては以下の記事で解説しています。
賃貸トラブルで最も重要な「具体的な説明と小まめな報告」とは?
④相手方の正義を守る、⑤選択肢・代替案の提示
賃貸トラブルの対応を行う際、円滑に解決できる担当者もいれば、いつも炎上させてしまうトラブルメーカーもいます。
そのようないつも揉めてしまう人の共通点は、「自分の考えが正しいと主張し、相手に自分の考えを強要すること」です。
しかし、誰しも「自分は正しい。自分は悪くない。」と考えています。
相手から注意されたり、自分の行動を否定されたりすれば、客観的に見てどうかは別として、嫌な気分になるのは間違いありません。
つまり、注意の方法一つで全く結果は異なることになり、その大きな要因が「相手方の正義を守ること」と「選択肢・代替案を提示すること」です。
例えば、「家賃滞納」が発生した場合。
「今月分の家賃を滞納しているので、早く払ってください」と言われれば、ムカッとする人がほとんどでしょう。
しかし、
と言えば、「すみません!忘れていましたのですぐ払います!」と快くお支払いいただけるでしょう。
また、「実は先月、病気で入院していて収入が少なく、入院代も結構掛かってしまい、家賃の支払いが難しいのですが・・・」と相談があったとします。
「では、連帯保証人に連絡します」と言われれば、これまたムカッとするでしょう。
しかし、家主との相談の上ですが、
と提案すれば、親身に相談に乗ってくれたと感謝の気持ちを持ってお支払いいただける可能性が高くなります。
こちらの詳細は以下の記事で解説しています。
全ての交渉と対応で”結果”を左右する重要なテクニックとは?
まとめ
賃貸トラブルは「事後対応」ではなく「未然防止」が重要ですが、それでも発生してしまうことはあります。
もし人的トラブルや設備トラブルが発生した際、どのような対応を行うかによって、大きく揉めてしまうのか、反対に物件の管理体制に対して大きな満足感を抱いて長期入居に繋がるのか、大きな違いが生まれてきます。
今回お伝えした5つのポイントを実践して、貸す側も借りる側も皆さんが気持ちよく過ごせるように、賃貸管理会社の担当者や自主管理している家主は努めていくことが理想的です。
ご愛読いただきありがとうございました。