以前の記事では、収支改善の基本として、賃貸経営の全体像についてお話ししました。
賃貸経営の収支改善とは?利益を増やすために押さえたい収支の基本構造
その中で、収支改善には大きく分けて「収入を増やすこと」と「支出を減らすこと」があるとお伝えしました。
「収入を増やすこと」については、地域性、立地、建物の規模、敷地の形状、建物の高さなどによって変わります。
すべての物件で同じ方法が使えるわけではありません。
しかし、視点を変えることで、「このスペースは活用できるのではないか」「今まで使っていなかった場所が収入源になるのではないか」と気づけることがあります。
今回は、賃貸物件で考えられる新たな収益源について、実務上の事例も交えながら解説いたします。
本記事は、当社YouTubeチャンネルで公開している
「賃貸不動産の新たな収入源の代表例」
という動画の内容を、文字で整理したものです。
駐輪場の有料化
まず、比較的取り組みやすい方法が、駐輪場の有料化です。
駐輪場の有料化は、収入を増やす方法の一つですが、実は管理上の効果も大きい方法です。
駐輪場を無料にしていると、使わなくなった自転車がそのまま放置されることがあります。
退去後も残されたままになったり、誰の自転車か分からなくなったりして、駐輪場が乱雑になってしまうケースも少なくありません。
その点、月額500円程度でも有料にしておくと、利用者の意識が変わります。
実際に自転車を使う方にとっては、月額500円程度であれば大きな負担にはなりにくいです。
一方で、使わなくなった自転車については、「有料で契約している以上、不要になったら解約して処分しよう」という意識が働きやすくなります。
そのため、駐輪場の有料化は、収入増加と管理改善の両方に効果があります。
既存入居者への対応
ただし、すでに無料で利用している入居者を途中から有料にするかどうかは、慎重に考える必要があります。
実務上は、現在利用している方に急に負担を求めるよりも、次回の新規募集から有料にする方法の方が進めやすいと思います。
新築時であれば、最初から駐輪場を有料契約にしておくことも有効です。
小さな収入でも積み上がる
たとえば、月額500円で5台分契約があれば、月額2,500円、年間3万円の収入になります。
年間3万円というと、決して大きな金額に見えないかもしれません。
しかし、温水洗浄便座の交換費用や、ちょっとした修理費用に充てることができます。
10年続けば30万円です。
このように、小さな収入でも長期的に見れば大きな意味を持ちます。
シェアサイクル用地として貸す
最近では、都内や首都圏を中心に、シェアサイクルや電動キックボードのポート用地を探している会社もあります。
たとえば、
LUUP
ドコモ・バイクシェア
ハローサイクリング
Lime
などです。
一定の台数を置けるスペースが必要になることもありますが、物件によっては、空いている敷地の一部を月額数千円程度で貸せる可能性があります。
もちろん、通行の妨げにならないか、入居者の生活に支障がないか、防犯上の問題がないかは確認が必要です。
しかし、もともと使っていなかったスペースであれば、意外な収益源になる可能性があります。
バイク置場・駐車場として活用する
次に考えたいのが、バイク置場や駐車場としての活用です。
マンションやアパートの敷地を見直してみると、「このスペースは何かに使えるのではないか」と感じる場所があることがあります。
もちろん、避難経路や建物の出入りに必要な場所、避難はしごの下などは使えません。
しかし、安全上問題がなく、入居者の通行にも支障がない場所であれば、バイク1台分のスペースとして貸せる可能性があります。
バイク置場は意外と需要がある
特にバイク置場は、意外と需要があります。
原付程度であれば置ける物件はありますが、中型以上のバイクを置ける月極スペースは少ないです。
駐車場を借りようとしても、「バイクは不可」と言われることもあります。
そのため、バイクを所有している方は、物件探しで苦労することがあります。
月額5,000円、8,000円、場合によっては1万円程度で貸せるケースもあります。
地域や立地によって金額は変わりますが、収入源として十分に検討する価値があります。
空室対策にもつながる
バイク置場は、単なる収益源だけではありません。
空室対策としても有効です。
実際に、以前あるマンションで、自転車置場のようになっていた場所をバイク置場として活用したことがあります。
募集したところ、「ビッグスクーターを停める場所がなくて困っていた」という方から、すぐに申し込みが入りました。
また、すでにその建物に住んでいた方からも、「ちょうどバイクを買いたかったが、敷地内に停められる場所がなくて悩んでいた」という声がありました。
バイク置場があることで、その物件を選ぶ理由になります。
さらに、バイクを停められる物件は限られるため、入居期間が長くなる可能性もあります。
看板スペースとして貸す
次に、看板スペースとして貸し出す方法があります。
人通りの多い道路沿いや、視認性の高い場所に建物やフェンスがある場合、看板を設置するスペースとして貸せる可能性があります。
たとえば、
建物の壁面
フェンス
敷地の角
道路に面した空きスペース
などです。
「貸し看板募集中」と掲示しておくことで、近隣の事業者から問い合わせが入ることもあります。
利回りが高くなることもある
看板は、設置費用に対して得られる収入が大きくなることがあります。
看板本体や照明の設置費用がかかる場合もありますが、契約内容によっては短期間で回収できる可能性があります。
一般的な不動産投資では、利回り5%、6%でも取引される時代です。
その中で、看板設置は条件が合えば、非常に高い利回りになることがあります。
もちろん、景観や近隣への影響、建物の外観、防災上の問題などは確認する必要があります。
それでも、人通りのある場所に物件を所有している場合には、一度検討してみる価値があります。
携帯基地局の設置
周囲と比べて高さのある建物では、携帯基地局の設置が収益源になることがあります。
一般的には、2階建てや3階建てでは難しいケースが多く、一定以上の高さがある建物が対象になりやすいです。
屋上やエレベーター機械室の近くなどに基地局を設置することで、通信会社から賃料を受け取れる場合があります。
駐車場1台の賃料が相場と言われていますが、交渉次第では数台分に相当する収入になることもあります。
建物の高さという特性を活かした収益化の方法として、頭の片隅に置いておくとよいと思います。
管理人室を貸す
一定規模以上のマンションでは、エントランス付近に管理人室が設けられていることがあります。
現在も管理人が使用している場合、自動火災報知設備や防犯カメラのモニターといった重要な共用設備が設置されている場合には、貸し出しは難しいです。
一方で、実際にはほとんど使われておらず、不要品置場のようになっている管理人室もあります。
そのような場合、整理や設備移設を行うことで、倉庫や事務所スペースとして貸せる可能性があります。
法人登記可能な小スペースとして貸す
実際に、物置状態だった管理人室を整理し、新たな号室とともに専用のポストを設置し、法人登記可能な区画として貸し出した事例があります。
広さは1.5畳程度の小さなスペースでした。
しかし、借りた方にとっては、自宅と仕事場の中間地点に書類を受け取れるポストが必要であり、ついてにコワーキングスペースでは保管し辛いものの保管ができる小さな倉庫が欲しかったと、まさに希望に合ったスペースでした。
このように、一般的な住居としては使えない場所でも、用途を工夫すれば収益源になることがあります。
新たな収益源の意義
新たな収益源というと、大きな金額を想像するかもしれませんが、月額3万円でも年間36万円です。
36万円あれば、エアコンや給湯器を数台交換できる可能性があります。
大規模修繕や室内リフォームの際に、少しグレードを上げる費用にも使えます。
また、給水管や給湯管など、将来的にリスクが出そうな部分を先に交換する原資にもなります。
小さな収入源であっても、継続的に入ってくることで、賃貸経営の安定性は大きく変わります。
新たな収益源を探す視点
新たな収益源を探す際には、次のような視点で物件を見直してみることが大切です。
空いている敷地はないか
使われていない部屋や管理人室はないか
建物の壁面やフェンスを活用できないか
屋上や高さを活かせないか
駐輪場やバイク置場を整備できないか
既存の共用部分を別用途で使えないか
今まで当たり前に見過ごしていた場所が、実は収入源になることがあります。
まとめ|満室後も収益を増やす工夫を考える
今回は、賃貸経営における新たな収益源について解説しました。
代表的な方法としては、
駐輪場の有料化
シェアサイクル用地
バイク置場・駐車場
貸し看板
携帯基地局
管理人室の賃貸
宅配ボックス用地
自動販売機
撮影ロケ地
などがあります。
その他にも、宅配ボックス用地、自動販売機、撮影ロケ地として貸すといった、様々な手法が存在します。
もちろん、すべての物件で使えるわけではありません。
地域性、立地、建物の規模、敷地の形、入居者への影響などを考慮する必要があります。
しかし、「この物件には新たな収益源などない」と決めつけるのではなく、空きスペースや建物の特徴を改めて見直すことで、意外な可能性が見つかることがあります。
満室にすることは大切です。
しかし、満室になった後も、どのように利益を増やしていくかを考えることが、賃貸経営では非常に重要です。
ぜひ一度、ご所有物件を見直し、「ここは収益化できないか」という視点で検討してみてください。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。


