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間取りに癖がある賃貸物件の空室対策|家具配置の見える化で早期成約につながった品川区一棟マンション事例

最新更新日 2026年07月17日
執筆:宅地建物取引士・賃貸不動産経営管理士 三好 貴大

今回は、以前は空室が長引きやすかった品川区内の一棟マンションについて、弊社で管理をお引き受けしてから、早期に成約する物件へ改善できた事例をご紹介します。

賃貸物件の空室対策というと、賃料を下げる、リフォームをする、広告費を増やすといった方法を思い浮かべる方が多いと思います。
しかし、実際には「部屋の良さが入居希望者に伝わっていない」ことが原因で、空室が長引いているケースも少なくありません。

今回の事例では、間取りに少し癖がある物件について、家具配置のイメージを具体的に伝えることで、成約率を高めることができました。

本記事は、当社YouTubeチャンネルで公開している
「毎回長期空室→家具配置説明で早期満室~品川区30戸一棟マンション~」
という動画の内容を、文字で整理したものです。

管理会社変更の相談から始まった空室対策

当初ご相談をいただいた理由は、前管理会社の対応に対する不満でした。

お話を伺うと、この建物では空室が出るたびに、成約まで時間がかかる傾向があったとのことでした。

そこで、まずは当時空いていた2室について、どのような募集が行われているのかを調査しました。

すると、いくつかの問題が見つかりました。

掲載情報のミスは空室長期化の原因になる

実際には設置されている設備であるにもかかわらず、ポータルサイトや業者間サイトの設備項目にチェックが入っていない箇所がありました。

これは非常にもったいない状態です。

賃貸物件を探す方は、ポータルサイトで条件を絞り込んで検索します。

例えば、独立洗面台、追い焚き、浴室乾燥機、宅配ボックスなどの設備が実際には付いていたとしても、掲載上チェックされていなければ、その条件で検索した方には表示されません。

つまり、良い設備があっても、インターネット上では「ない物件」と同じ扱いになってしまうのです。

空室対策では、設備そのものを追加することも重要ですが、まずは既存設備が正しく掲載されているかを確認することが大切です。

空室が長引く本当の原因は「家具配置の分かりづらさ」

ただ、この建物で空室が長引いていた一番の要因は、間取りに少し癖があることでした。

例えば1LDKの部屋では、最近の主流として、リビングを広めに取り、寝室はコンパクトにする間取りが多く見られます。

一方、この物件はダイニングスペースが細長く、内見しただけでは家具をどのように配置すればよいのか分かりづらい間取りでした。

また、寝室にも梁があり、ベッドやデスク、収納家具をどこに置けばよいのか、入居希望者がイメージしづらい状態でした。

内見時に「ここでどう暮らせばよいのか」が想像できないと、入居希望者は他の物件に流れてしまいます。

賃貸募集では、間取りの良し悪しだけでなく、生活イメージを持てるかどうかが非常に重要です。

内見立ち会いで家具配置を具体的に説明

弊社では、他社の不動産会社がご案内するお客様についても、原則として内見に立ち会っています。

この物件でも、内見時に必ず立ち会い、家具配置のイメージを具体的に説明するようにしました。

例えば、寝室では次のようにご案内します。

「シングルベッドであれば幅は約1m、長さは約2mです。この位置に置くと、こちら側にスペースが残るので、デスクや棚を置くことができます。」

実際にメジャーを置きながら説明すると、入居希望者は生活後のイメージを持ちやすくなります。

ダイニングスペースについても同様です。

一般的な4人掛けダイニングテーブルは、幅160cm、奥行き80cm前後が一つの目安です。
ただし、コンパクトタイプであれば、幅140cm、奥行き70cm程度のものもあります。

そのため、

「このスペースであれば、2人用のダイニングテーブルなら十分置けます。」
「ソファを置くよりも、コンパクトなダイニングセットにした方が使いやすいと思います。」

といった形で、実際の生活に落とし込んで説明します。

「この部屋でどう暮らすか」を想像してもらう

家具配置を説明する目的は、単に寸法を伝えることではありません。

重要なのは、入居希望者の思考を、「この物件にするかどうか」から、「この物件に住むなら、家具をどう置こうか」という段階へ進めることです。

この思考の変化は、成約率に大きく影響します。

実際に、後日お申し込みをいただいた方から、「いくつか内見しましたが、あの物件が一番生活のイメージが湧きました。」と言っていただくこともあります。

間取りに癖がある物件ほど、このような説明が効果を発揮します。

成約まで平均2週間前後に改善

管理をお引き受けした後、問題点を整理し、掲載情報を修正し、内見時に家具配置のイメージを丁寧に伝えるようにしたところ、空室は無事に成約しました。

その後も退去予定が出るたびに募集を行っていますが、平均すると2週間前後で成約するケースが多くなりました。

以前は空室が長引きやすい物件でしたが、見せ方と伝え方を変えることで、早期成約につながる物件へ改善できた事例です。

遠方オーナーでもできる家具配置の見える化

もちろん、大家様ご自身が毎回内見に立ち会うことは難しいと思います。

特に遠方にお住まいのオーナー様であれば、現地で直接説明することは現実的ではありません。

そのような場合は、家具配置の資料を作成しておく方法がおすすめです。

例えば、

ベッドの配置例
ダイニングテーブルの配置例
デスクや収納棚の配置例
ソファを置く場合の動線
2人暮らしの場合の使い方

などを簡単な図面や資料にして、室内に置いておく方法があります。

また、不動産会社へ依頼して、ポータルサイトの掲載情報に家具配置例を載せてもらうのも有効です。

新築分譲マンションの広告では、家具配置イメージが掲載されていることが一般的です。

賃貸募集でも同じように、家具配置を見える化することで、入居希望者に生活イメージを持ってもらいやすくなります。

リノベーション時にも家具配置の視点が重要

この建物では現在、築年数の問題もあり、年間予算の範囲内で計画的にリノベーションを進めています。

主な目的は、空室対策だけではありません。

築30年前後を過ぎると、給水管、給湯管、追い焚き配管などで漏水リスクが高まります。

漏水が発生してから急いで対応しようとしても、一度に全室を工事することは簡単ではありません。

そのため、空室が出たタイミングで、配管交換も含めたリノベーションを計画的に行うことが大切です。

結果として、リノベーション後の部屋では、40㎡台の部屋で月額4万円前後の賃料アップにつながったケースもあります。

比較的安い部屋でも、以前より月額2万円から2万5,000円ほど高く成約している事例があります。

退去が減ることも空室対策の一部

この物件に関わってから約5年が経過していますが、直近では退去もかなり少なくなっています。

動画を撮影している時点では7月上旬ですが、その年は6月末まで退去が1件もなく、退去予定も入っていませんでした。

空室対策というと、「空いた部屋を早く決めること」に意識が向きがちです。

しかし、実際には退去を減らすことも非常に重要です。この方法を「テナントリテンション」と呼びます。

使いやすい間取りに整え、設備や配管を計画的に更新し、入居後の満足度を高めることができれば、結果として長く住んでいただける可能性が高まります。

まとめ|間取りの弱点は伝え方と改善でカバーできる

今回の品川区一棟マンションの事例では、空室が長引いていた原因として、掲載情報のミスと、家具配置の分かりづらさがありました。

そこで、設備情報を正しく整理し、内見時に家具配置を具体的に説明することで、早期成約につなげることができました。

間取りに癖がある物件でも、必ずしも大掛かりなリフォームが必要とは限りません。

まずは、

募集情報が正しく掲載されているか
設備項目に漏れがないか
家具配置のイメージを伝えられているか
内見時に生活イメージを持ってもらえているか
リフォーム・リノベーション時に間取りの弱点を改善できるか

を確認することが大切です。

賃貸募集では、良い設備や良い部屋であっても、それが入居希望者に伝わらなければ成約にはつながりません。

逆に、少し癖のある間取りでも、家具配置や生活イメージをきちんと伝えることができれば、空室対策として大きな効果を発揮します。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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