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賃料査定・設定の方法

最新更新日 2026年04月27日
執筆:宅地建物取引士・賃貸不動産経営管理士 三好 貴大

「賃料をいくらに設定するか」は、悩ましい問題だと思います。
高すぎて長期空室になってもいけないですし、仮に1日で成約してしまうと安すぎた可能性もあります。

いざ自身で賃料査定について調べようとしても、なかなか勉強するための教材や情報も多くないのが実情です。
今回は、私自身がなるべく適正な賃料設定を行うために、様々な手法を試した結果、現在採用している手法について解説します。

本記事は、当社YouTubeチャンネルで公開している
「賃料査定・設定の方法」
という動画の内容を、文字で整理したものです。

取引事例比較法

類似物件がどのくらの賃料で成約しているのか調べる方法です。
これが最も王道の考え方の一つです。

不動産会社であれば、レインズの成約事例などを確認できます。
もっとも、すべての事例が登録されているわけではなく、実際には一部しか見られないことが多いです。
それでも、近い事例を把握する材料としては非常に有効です。

また、一般の大家さんでも、物件名で検索すると、過去に「ホームズ」などのポータルサイト上で「いつからいつまで、いくらで募集されていたか」が見られることがあります。もちろん、それが必ずその金額で成約したとは限りませんが、一定期間掲載され、その後掲載が終了していれば、成約した可能性は高いと考えられます。

平米単価で比較

例えば、賃料95,000円+管理費5,000円=合計100,000円で成約した物件を想定します。
これが20㎡なら、1㎡あたり5,000円で成約したという計算になります。

この平米単価を複数の成約事例で出し、その平均を取って、ご自身の物件の平米数に掛けると、大まかな基準賃料が見えてきます。

ただし、同じ平米数でも条件が違えば賃料は変わります。
例えば、バストイレ別かどうか、独立洗面台があるか、室内洗濯機置場か、階数は何階か、駅からの距離はどうか、といった違いです。
これらを補正していく手法が「コンペア式賃料査定法」です。

しかし、バストイレ別や独立洗面台(洗面所あり)などがどのくらいの賃料上昇に寄与するのか判断がしづらい難点があり、最終的には個人の感覚値や統計的な一般論からの検討になります。

AI賃料査定システム

近年、非常に便利になったのが「AI賃料査定システム」です。
私自身も、実務ではこうしたシステムを非常に参考にしています。

こうしたシステムは、ネット上の多数の募集・成約データ(ビッグデータ)をもとに、周辺相場や設備条件、築年数、間取りなどを踏まえて査定を行います。
以前は精度にばらつきを感じることもありましたが、ここ数年でかなり精度が上がってきました。
これは収集したデータから統計値を算出して、自動的に「コンペア式賃料査定法」を取り入れてくれています

実際、私が取引事例比較を中心に算出した金額よりも、大幅に上回る査定結果が出たことがあります。
最初は「本当にそんな金額で決まるのか?」と疑問に思ったのですが、実際にその金額で募集してみたところ、予想以上にスムーズに決まりました。

もちろん、システムの査定をそのまま鵜呑みにする必要はありません。
しかし、信頼に足る性能になってきたことは確かですし、複数の査定方法の一つとして加える価値は十分にあります。

私が使用しているAI賃料査定システムは以下となります。

スマサテ
以前は不動産業者専用でしたが、最近は賃貸オーナーも使用できるようになりました。
私がメインで使用しているサービスです。

ポルティ賃料査定
予備的に使用しているサービスです。
使い勝手が良いので、初心者向けといえるかもしれません。

募集事例比較

実際に募集する際には、今現在市場に出ている競合物件も必ず確認した方がよいです。
これは「自分の物件が高いか安いか」を見るための作業です。

例えば、駅徒歩何分以内、築何年以内、同じような広さ、同じような設備条件で検索し、自分の物件がその中でどう見えるかを確認します。
ここで重要なのは、「自分の想定賃料で探したときに、競合が何件出てくるか」という視点です。

競合が多ければ、その中で埋もれる可能性があります。
逆に、条件に合う物件がほとんど出てこなければ、多少高めでも決まる余地があります。

この比較は、単に平均賃料を見るためではなく、「借主が検索した時にどの立ち位置に入るか」を知るために重要です。

過去の成約スピード

賃料設定を考える上では、過去にその物件、または似た部屋がどのくらいのスピードで決まったかも非常に大事です。

私の感覚では、反響があり、2週間から1か月程度で決まるくらいが、比較的バランスのよい賃料設定であることが多いです。

もちろん、1日で決まることもあれば、時期や募集方法によって結果は変わります。
しかし、あまりに早く決まりすぎると「もう少し上げられたかもしれない」という見方もできますし、長期間決まらなければ「高すぎた可能性」が出てきます。

また、数年前に募集した時の記録を見る場合は、その当時の相場と現在の相場が違う点も考慮しなければなりません。
最近は賃料相場も動いていますので、以前は苦戦した物件でも、今なら問題なく決まることもあります。

査定結果をどう募集賃料に落とし込むか

最も分かりやすいのは、
・取引事例比較
・AI賃料査定システム
この2つをもとに平均値を出し、その近辺で設定する方法です。

これは大きく外しにくい無難な方法です。
ただし、あまりに保守的にすると、早く決まりすぎて「少しもったいなかった」と感じることもあります。

少し高めに出して様子を見る方法

もう一つの方法は、査定の中でも高めのラインで一度募集し、反応を見ながら調整するやり方です。

例えば、2週間程度様子を見て反応が弱ければ調整する、という方法です。
このやり方は、うまくいけば収益を最大化できますが、反応をきちんと見て判断することが前提になります。

ここで見るべきなのは、
・問い合わせが来ていないのか
・問い合わせはあるが内見に至らないのか
・内見はあるが申込みに至らないのか
という違いです。

単に「決まらない」だけではなく、どこで止まっているのかを見ることが重要です。

なお、弊社はSUUMOを使用していますので、一定期間中の一覧に表示された回数や詳細を閲覧された回数をチェックできます。
一覧表示の回数は物件によって大きく異なりますが、一覧表示数に対して詳細閲覧数が極端に少ない場合は、賃料設定またはその他に問題がある場合が多いです。

「5・10」のラインを意識する

最後に、実務上とても大事なのが、賃料を「5・10」の区切りに合わせることです。

例えば、5万円・10万円・15万円・20万円を超えるかどうかは、借主の検索結果で大きな差になります。
ポータルサイトでは、多くの人が10万円以下、15万円以下、20万円以下といった区切りで絞り込みます。

実際、201,000円では反応が鈍かったのに、198,000円にしたら問い合わせが増えてすぐ決まった、ということもあります。

ですから、査定の結果が出たあとに、
「この金額は少しだけ境目を超えていないか」
を必ず確認した方がよいです。

もしギリギリ超えているなら、
10万円ジャスト
148,000円
198,000円
など、検索されやすいラインに寄せることで、反響が大きく変わる可能性があります。

数千円下げることに抵抗があるかもしれませんが、その結果として空室期間が1か月短くなれば、トータルでは得になることも少なくありません。

おわりに

賃料査定を行う時は、感覚的に「このくらいじゃない?」という決め方ではなく、合理的に算出していくことが重要です。

今回お伝えしたような手法を使いながら基準となる価格を検討し、競合状況や募集時期、反響予測を踏まえながら、最終的な募集賃料を決めていきます

そして最後は、借主の検索行動を意識しながら、「5・10」の区切りに合わせて微調整することが非常に大切です。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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