集合住宅の駐輪場では、使われていない自転車が放置されたり、所有者が分からない自転車によってスペースが不足したりすることがあります。
駐輪場を適切な状態に保つために、特に重要となるのは次の3点です。
・ 駐輪場を有料化する
・ 駐輪ステッカーを発行する
・ 放置自転車や所有者不明の自転車を整理する
今回は、賃貸マンションやアパートの駐輪場を適切に維持管理するための具体的な方法と、実施する際の注意点について解説します。
本記事は、当社YouTubeチャンネルで公開している
「駐輪場の維持管理に必要なことは?」
という動画の内容を、文字で整理したものです。
駐輪場を有料化する目的
駐輪場を有料化する最大の目的は、不要になった自転車を放置されにくくする効果を得ることです。
無料の駐輪場では、自転車を使用しなくなった後も、「置いておいても料金はかからないため、そのままでよい」と放置されてしまいます。
その結果、タイヤの空気が抜けている自転車、さびが進んでいる自転車、明らかに長期間使用されていない自転車などが、駐輪場に残り続けます。
一方、月額料金が発生していれば、不要な自転車は処分してくれて、処分後は入居者から「駐輪場を使用しなくなりました」と申告してもらいやすくなります。
不要な契約を解約しなければ料金が発生し続けるため、所有者自身による整理を促すことができます。
駐輪場の月額料金はいくらが適切か
駐輪場代を有料にする場合、料金をいくらに設定するかも重要です。
月額100円程度では、負担感がほとんどないため、無料の場合と効果があまり変わらない可能性があります。
反対に、月額1,000円程度にすると、入居者募集の際に「駐輪場代を無料にしてほしい」「もう少し安くしてほしい」と交渉されることがあります。
当社では、駐輪場代を月額500円に設定することが多いです。
月額500円であれば、使用していない自転車を置き続けることを抑制しながら、入居者にとって過度な負担になりにくい金額だと考えています。
地域の相場や駐輪スペースの広さにもよりますが、月額300円~500円が目安です。
自転車の種類によって条件を変える
太いタイヤを使用するファットバイクは、一般的な自転車よりも広いスペースを使用します。
また、ペダルをこがなくても走行できる「モペット」については、見た目は自転車でも「原動機付自転車(原付バイク)」と同じ分類なので、そもそも自転車と同じ扱いにするかを事前に決めておく必要があります。
車体の大きさだけでなく、法令上の区分や充電方法なども関係するため、申込みを受けてから判断するのではなく、事前に金額の増加や駐輪可否について定めておくことが重要です。
駐輪ステッカーで所有者を管理する
駐輪場を有料化する際には、必ず駐輪ステッカーも発行しましょう。
ただし、ステッカーに建物名や部屋番号を記載しているケースが多いですが、それにはいくつかの問題があります。
部屋番号だけでは現在の利用者か分からない
ステッカーに「101」などの部屋番号だけを記載すると、その自転車が現在の入居者のものなのか、以前の入居者が残したものなのか判断できません。
建物名と部屋番号の表示には防犯上の懸念がある
ステッカーに建物名と部屋番号の両方を記載すると、自転車を見た人に居住場所を特定される可能性があります。
例えば、外出先で自転車を停めた女性を見た第三者が、ステッカーに記載された建物名と部屋番号で住まいを特定して、追跡されてしまう、というリスクもあります。
連番による駐輪ステッカー管理がおすすめ
当社で採用しているのは、「建物の頭文字を取った記号」と「連番」を組み合わせる方法です。

例えば、弊社の所在する「グリーン芝マンション」という建物であれば、建物名の頭文字を使用し、次のような番号を付けます。
・ GSM01
・ GSM02
・ GSM03
その番号をどの入居者に付与したものか記録しておけば、「GSM01は2026年1月に入居した101号室の入居者」と特定できます。
入居者の入れ替わりや自転車の買い替えがあった場合には、使用中の番号、返却された番号、無効となった番号を台帳で管理することも重要です。
放置自転車を整理する手順
駐輪場を有料化し、ステッカー制度を導入しようとしても、すでに多くの放置自転車が置かれていることがあります。
その状態で新しい入居者へ駐輪場代を請求すると、「ボロボロな自転車が無料で置かれているのに、なぜ自分だけ支払うのか」と不満を持たれる可能性があります。
そのため、制度を導入する前に、既存の駐輪場を整理する必要があります。
①すべての自転車へ告知札を付ける
まず、駐輪場に置かれているすべての自転車へ、所有者確認の告知札を取り付けます。
告知札には、次のような内容を記載します。
・ 所有者は指定日までに申し出ること
・ 今後は駐輪ステッカーが必要になること
・ 期限までに申し出がない自転車は移動すること
・ 将来的に処分の対象となること
弊社では、同じ内容を1枚の用紙に4~5行ほど記載し、印刷後に短冊状に切り分けて、各自転車へ取り付けています。
共用部分への掲示や各住戸への通知も併せて行い、入居者が告知を見落とさないようにします。
②期限後もすぐに処分しない
告知期間が過ぎても申し出がなかったからといって、直ちに自転車を処分することは避けるべきです。
長期間使用されていないように見えても、実際には入居者が所有していて、「自分の自転車はどこに行きましたか?」と連絡が来る可能性があります。
基本的には、対象となる自転車を通常の駐輪スペースとは別の場所へ移し、一時保管します。
移動前には、自転車の状態、車体番号、防犯登録番号、設置場所などを写真で記録しておくとよいでしょう。
保管場所がない場合には、改めて「処分予定」と記載した告知札を取り付け、3か月程度の猶予期間を設けます。
③処分方法を検討する
最終的に処分することになった自転車は、廃棄物処理業者などへ依頼して回収してもらう方法があります。
また、大規模なリフォーム工事や解体工事などで廃棄物が発生する予定があれば、その際に不要な自転車も併せて回収してもらえば割安になります。
中には、粗大ごみで出してしまう、路上に移動して通報して行政に回収してもらう、という対応を行うオーナーもいますが・・・
駐輪場に白線は必要か
駐輪場を整理した後、1台ごとの駐輪区画を白線で分けた方が良いのでしょうか。
私は、白線は不要と考えています。
白線を細かく引くと、かえって駐輪できる台数が減ることがあります。
また、自転車の大きさや形状は一台ごとに異なるため、入居者同士で空いているスペースを調整しながら停めてもらった方が、より多く駐輪できることが多いです。
そのため、世帯数に対して駐輪スペースが不足しやすい建物では、1台ごとの白線は必ずしも必要ありません。
通行動線との境界には白線が有効な場合も
一方、駐輪場がエントランスや通路の近くにあり、導線上に自転車を置いてしまう人がいる場合には、導線と駐輪区画との境界に白線を引くと有効です。
「駐輪できるのはここまで」という境界を示すことで、入居者が自然に白線の内側へ自転車を収めやすくなります。
その場合は、塗装ではなく、簡易的な白線テープを使用するのが良いです。
駐輪ラックは設置した方がよいのか
駐輪台数を増やすために、上下二段式などの駐輪ラックを設置する方法もあります。
しかし、これも私は不要だと考えています。
特に上段は、自転車を持ち上げる必要があるため、使用を避けられる傾向があります。
また、下段のラックであっても、タイヤの太さや車体の形状によっては、電動自転車やファットバイクを収納できない場合があります。
実際に、ラックが設置されていた物件がありましたが、ラック外への駐輪も散見されたため、後から撤去したケースもありました。
駐輪場代と消費税の取り扱い
実は、駐輪代を別途徴収した場合は、消費税が課税されるのが原則です。
住居は非課税なので、その賃料に駐輪場の利用が含まれており、駐輪場について別項目になっていなければそのまま非課税です。
一方、「住居の賃料は月額○円、駐輪場代は月額500円」というように、駐輪場を住居と別に契約して料金を設定した場合には、その駐輪場代は消費税の課税対象となります。
オーナーが課税事業者である場合には、駐輪場収入の消費税部分について、原則として納税が必要です。
また、借主が本則課税業者の場合かつオーナーが免税業者の場合は、仕入税額控除のために適格請求書(インボイス)の発行を求められる可能性があります。
少額なので、ともに賃料の一部として処理してしまっている場合もありますが。
実務上は問題になったことがありませんが、駐輪場を有料化する際には、消費税が関係することだけは頭の片隅に入れておきましょう。
まとめ|有料化と番号管理で放置自転車を防ぐ
賃貸物件の駐輪場を適切に維持管理するためには、次の3つの対策が重要です。
・駐輪場を月額500円程度で有料化する
・部屋番号ではなく、建物記号と連番を使用したステッカーで管理する
・十分な告知期間を設けて、放置自転車や所有者不明の自転車を整理する
白線や駐輪ラックについては、原則不要です。
駐輪場の広さ、自転車の台数、通行動線、電動自転車の利用状況などを確認し、必要な場合に限って導入することが大切です。
また、有料化する場合には、駐輪場代が消費税の課税対象となります。
駐輪場のルールを曖昧なまま運用すると、放置自転車が増え、必要な入居者が駐輪できなくなることがあります。
有料化、ステッカー管理、所有者確認を一つの仕組みとして運用することが、使いやすく整理された駐輪場を維持することにつながります。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。


