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賃貸物件の漏水原因を早く特定する方法|水漏れの種類と調査手順を解説

最新更新日 2026年08月04日
執筆:宅地建物取引士・賃貸不動産経営管理士 三好 貴大

賃貸物件で発生するトラブルの中でも、代表的なものの一つが漏水です。

入居者から突然、「天井から水が漏れています」などと連絡が入ると、何から確認すればよいのか分からず、焦ってしまうオーナーや管理会社の担当者も多いと思います。

しかし、漏水トラブルの原因は、ある程度パターンが決まっています。

漏水が発生した際には、やみくもに工事を始めるのではなく、漏れ方や発生するタイミングなどから原因を絞り込み、できるだけ早く漏水箇所を特定することが重要です。

今回は、賃貸マンションやアパートで漏水が発生した場合に、どのような順序で原因を調査すればよいのか、弊社が実際に行っている確認方法を解説します。

本記事は、当社YouTubeチャンネルで公開している
「漏水の原因はどこ?給水・排水・雨漏り等の見分け方」
という動画の内容を、文字で整理したものです。

賃貸物件の漏水原因は大きく2種類に分けられる

賃貸物件で発生する漏水は、次の5つが代表的な原因になります。

給水管からの漏水
給湯管からの漏水
排水管からの漏水
建物への雨水浸入
入居者の過失などによる突発的な事故

まずは、それぞれの特徴を理解しておくことが、漏水原因を早く特定するための第一歩です。

配管から発生する漏水の種類

集合住宅やビルで一般的に使われている水回りの配管は、主に4種類あります。

給水管

給水管は、冷水を供給するための配管です。

給水管には、基本的に常時水圧がかかっています。そのため、給水管に穴や亀裂が生じると、蛇口を使用していない時でも漏水が続く可能性があります。

給湯管

給湯管は、給湯器で温めたお湯を共有するための配管です。

給水管と同様、使用していない時でも一定の圧力がかかっているため、配管が破損すると継続的に漏水することがあります。

弊社がこれまで対応した事例では、給水管よりも給湯管から漏水しているケースが比較的多い印象があります。

排水管

排水管は、キッチン、洗面台、浴室、洗濯機、トイレなどで使用した水を、建物の外へ流すための配管です。

給水管や給湯管と異なり、常時水圧がかかっているわけではありません。

そのため、排水管からの漏水は、水を使用した時だけ発生するという特徴があります。

追いだき配管

追いだき機能のある給湯器では、浴槽のお湯を給湯器へ戻すための管、温め直して浴槽へ戻すための管という2本で一組の専用配管があります。

ただし、追いだき配管で漏水が発生するケースは多くありません。

したがって、配管からの漏水は、まず給水管、給湯管、排水管の3種類を中心に疑うことになります。

配管以外に考えられる漏水原因

配管に異常がない場合は、雨漏りと突発的な事故による漏水があります。

雨漏り

雨が降っている時や、雨が降った後だけ水が漏れてくる場合は、雨漏りの可能性が高くなります。

雨水は、屋根や屋上だけでなく、外壁のひび割れ、シーリングの劣化、配管の貫通部分、換気口、窓回りなど、さまざまな場所から建物内部へ浸入します。

また、水が浸入した場所と、実際に室内へ落ちてくる場所が離れていることもあります。

特に鉄筋コンクリート造の建物では、雨水がコンクリートのひび割れや隙間を伝い、浸入口とは異なる場所から漏れてくる場合があります。

入居者の過失などによる突発的な事故

例えば、次のような事故です。

掃除中にバケツの水をひっくり返した
洗濯機の給水ホースまたは排水ホースが外れた
キッチンの排水口を塞いだまま水を出し続けてシンクからオーバーフローした

この場合、配管の破損ではなく、入居者の使用方法や不注意によって発生した事故と考えられます。

配管から発生する漏水の調査方法

漏水原因を特定する際には、どのようなタイミングで、どの程度の水が出ているのかを確認します。

水が漏れ続ける場合は給水管・給湯管を疑う

蛇口や水回り設備を使用していないにもかかわらず、同じ程度の水量が継続して漏れている場合は、給水管または給湯管から漏水している可能性が高いと考えられます。

この場合、最初に確認するのが水道メーターのパイロットです。

パイロットとは、水道メーターにある円盤型の金属で、水が使用されると回転します。

漏水量が多い場合は、パイロットが目に見える速度で回ります。しかし、少量の漏水では、ぱっと見ただけでは動いていないように見えることがあります。

そのため、次の方法で確認します。

室内の蛇口や水回り設備をすべて停止する
水道メーターのパイロットを撮影する
10分から15分程度待つ
再度パイロットを確認する
最初の写真と位置を比較する

わずかでも位置が変わっていれば、給水系統のどこかで水が流れている可能性があります。

給水管と給湯管のどちらが原因かを調べる方法

パイロットが動いていることが確認できた場合、次に給水管と給湯管のどちらから漏れているのかを調べます

まず閉めるのは、給湯器へ水を供給している元栓です。

給湯器には、水道水を給湯器内へ送るための給水元栓があります。

この元栓を閉めると、給湯器より先の給湯管への水の供給が止まります。

元栓を閉めた後に、水道メーターのパイロットが止まり、漏水量も減少または停止した場合は、給湯器以降の給湯管から漏れている可能性が高くなります。

反対に、給湯器側の元栓を閉めてもパイロットが動き続ける場合は、給水管側から漏水している可能性があります。

配管以外に考えられる漏水の調査方法

雨が降っている時や、雨が止んだ後にだけ漏水する場合は、建物外部から雨水が浸入している可能性があります。

雨漏り調査では、次の点を確認します。

普通の雨でも漏れるのか
強風を伴う雨の時だけ漏れるのか
雨が降り始めてすぐ漏れるのか
雨が止んでから時間が経って漏れるのか
建物のどの方角から雨が吹き付けていたのか

この聞き取りによって、原因箇所をある程度絞り込むことができます。

シーリングの劣化を確認する

外壁材の継ぎ目、窓枠の周囲、配管やエアコンスリーブの貫通部分などには、シーリング材が施工されています。

正常なシーリングは、指で押すと弾力があり、ある程度元の形に戻ります。

一方、劣化したシーリングには、次のような特徴があります。

表面が硬くなっている
細かいひび割れがある
外壁との間に隙間がある
シーリング材が剥がれている
肉痩せして奥にへこんでいる

このような状態になっている場合は、雨水の侵入口になっている可能性があります。

強風時だけ発生する雨漏り

通常の雨では漏れないものの、台風や強風を伴う雨の時だけ漏れることがあります。

強風時には、雨が横方向や下方向から吹き付けます。また、外壁に当たった水が風によって上方向へ流れることもあります。

その結果、通常であれば雨が入りにくい次のような場所から浸入することがあります。

換気口
パイプスペースの扉
エアコン配管の貫通部
窓枠の下部
外壁の目地
屋上やバルコニーの立ち上がり部分

そのため、「雨の日に漏れた」という情報だけでなく、「どの程度の風雨だったのか」を確認することが重要です。

不規則な漏水は排水管を疑う

常に水が出ているわけではなく、雨の有無も関係ないような場合は、排水管または突発的な事故が疑われます。

排水管同士を接続している継ぎ手部分に隙間が生じ、そこから水が漏れることがあります。

また、古い建物では排水管に鉄管が使用されている場合があり、時間の経過によって配管が腐食し、小さな穴が開くことがあります。

排水管からの漏水は、水を使用した時だけ発生します。

そのため、上階で次のような作業を行い、階下で水が出るかを確認します。

キッチンで水を流す
洗面台で水を流す
浴室で水を流す
洗濯機を動かす
トイレを流す

水回り設備を一つずつ使用することで、漏水している系統を絞り込める可能性があります。

上記に該当しない漏水の場合は突発事故を疑う

配管でも雨漏りでもない場合は、排水管の詰まりや突発的な事故の可能性があります。

ただし、入居者が必ず事実を申告してくれるとは限りません。

「何か水をこぼしたり、あふれさせたりした心当たりはありませんか」と丁寧に確認することが重要です。

漏水調査では建築図面の確認が重要

現地を確認しても漏水箇所が分からない場合は、建築図面を確認します。

漏水対応では、平面図だけでなく、給排水設備図や配管図が非常に重要です。

建築図面を見ることで、給水管や給湯管が通っている位置や上下階の水回り設備や居室等の位置関係が調べられます

建築図面はデータ化して保管する

建築図面は見開きでA2サイズになることもあり、一般的な複合機ではスキャンできない場合があります。

そのような場合は、図面のスキャンを専門に行う業者へ依頼すると、原本を返却してもらいながら、PDFなどのデータとして納品してもらえます。

費用は図面の大きさやページ数によりますが、数万円程度で対応してもらえることが多いです。

建築図面をデータ化することには、次のメリットがあります。

現地でパソコンやスマートフォン、タブレットから確認できる
必要な図面をすぐに探せる
原本の劣化や紛失に備えられる
修繕業者へ簡単に共有できる
上下階の図面を重ねて確認できる

古い図面は、時間の経過によって文字が薄くなったり、紙が破損したりすることがあります。

火災や水害などで原本を失う可能性もありますので、できるだけ早い段階でデータ化しておくと安心です。

上下階の図面を重ねて漏水箇所を推測する

建築図面をデータ化しておくと、漏水被害が発生している部屋と、その上階の部屋の位置関係を確認しやすくなります

弊社では、必要に応じて次のような方法を使用しています。
なお、表記しやすいように、漏水被害が発生している階を1階、漏水の原因となる階を2階とします。

PowerPointを起動する
1階の平面図をスクリーンショットして貼り付け
漏水場所に赤い丸を付ける
別ページに2階の平面図もスクリーンショットして貼り付け
一方の図面を半透明にして、柱や外壁の位置を合わせて重ねる
1階の平面図を削除する

このようにすると、2階のどこが怪しいのか確認することができます。

例えば、階下の天井から漏水している位置の真上に、上階の浴室、洗濯機置場、キッチン、トイレなどがあれば、その設備を優先的に調査できます。

ただし、鉄筋コンクリート造では、水が床や梁、ひび割れなどを伝って移動することがあります。

そのため、必ず真上が原因とは限りませんが、調査範囲を絞り込む上では非常に有効です。

漏水箇所を特定するための現地確認

建築図面で大体の予測を行ったら、実際にどの場所から漏水しているのかを現地確認します。

パイプスペースを確認する

水道メーターが設置されているパイプスペースを開け、次の点を確認します。

床面が濡れていないか
水染みがないか
配管接続部から水が出ていないか

目に見える漏水がなくても、床面に過去の水染みが残っていることがあります。

点検口を開ける

漏水箇所の近くに天井点検口や床下点検口がある場合は、必ず内部を確認します。

ライトを当てながら、次の点を調べます。

配管表面に水滴が付いていないか
床や天井裏に水がたまっていないか
配管の継ぎ手が濡れていないか
木材や断熱材が変色していないか
カビや腐食が発生していないか

キッチンや洗面台の内部を確認する

キッチンや洗面台の収納部分を開けると、給水管、給湯管、排水管が確認できることがあります。

特に、床や壁から立ち上がっている配管と、水栓や排水口をつないでいる部分は、漏水が発生しやすい箇所です。

漏水箇所が見えない場合は開口調査も検討する

原因が特定できない場合は、壁や天井、床の一部を開口して内部を確認することがあります。

ただし、原因箇所が不明なまま、むやみに開口することは避けるべきです。原因箇所の可能性が高い部分を絞った上で開口します。

配管を修理できない場合は新しい配管を設ける方法もある

漏水箇所がユニットバスの下や、コンクリート内部に埋設されている場合などは、既存配管を直接修理することが難しい場合があります。

その場合、既存の配管を使用せず、新しい配管を別ルートで設置する方法があります。

例えば、床下配管を廃止し、壁や天井付近に露出配管として新しい給水管や給湯管を通す方法です。

見た目への配慮は必要ですが、床やユニットバスを大規模に解体するよりも、工期や費用を抑えられます。

どの方法が適切かは、配管の状態、建物構造、修繕費用、今後の建物の使用期間などを踏まえて判断します。

まとめ|漏水は症状から原因を逆算して調査する

賃貸物件の漏水原因は、大きく分けると次の5つです。

給水管からの漏水
給湯管からの漏水
排水管からの漏水
建物への雨水浸入
入居者の過失などによる突発事故

同じ量の水が漏れ続けている場合は、給水管や給湯管を疑います。

雨が降った時や雨の後だけ漏れる場合は、屋上、外壁、シーリング、換気口などからの雨水浸入を疑います。

水回りを使用した時だけ漏れる場合は、排水管の継ぎ手、腐食、詰まりなどを確認します。

一度だけ大量の水が漏れ、その後再発しない場合は、バケツの転倒や水のあふれなど、突発的な事故の可能性があります。

漏水トラブルが発生した時は、慌てて建物全体を工事するのではなく、漏れ方、発生時間、天候、水道メーター、上階の水回り、建築図面などを一つずつ確認し、原因を絞り込むことが重要です。

建築図面をデータ化し、上下階の図面を重ね合わせることも、漏水箇所を早く特定するために有効です。

原因が分かれば、必要な箇所だけを修理できる可能性が高まり、修繕費用や工事期間も抑えやすくなります

漏水が発生した際は、今回ご紹介した手順に沿って、一つずつ確認していただければと思います。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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