「空室対策」として「この条件を緩和したら良いのでは」「この設備を入れた方が良いのでは」と色々考えを巡らせることもあるかと思います。
その前向きな姿勢は素晴らしいと思うのですが、せっかく考えて取り組んだのに、適切な空室対策になっていないということもあるのが実情です。
内見に至った際に効果的なものもありますが、その前に家探し人に見つけてもらい、問い合わせをしてもらうことが最初のステップです。
つまり、最近ではインターネットで検索して探す方が多いことを考えると、その際に使用する「募集サイト」の仕組みから逆算した視点も必要となります。
募集サイトの内容は多岐にわたりますが、その中でも代表的な設備や条件に焦点を当てて解説します。
本記事は、当社YouTubeチャンネルで公開している
「募集サイトから逆算した戦略」
という動画の内容を、文字で整理したものです。
代表例①:モニター付きインターホン
物件によっては、インターホンがそもそも付いていなかったり、受話器タイプの古いインターホンが付いていたりすることがあります。
受話器タイプの場合、物件の条件にもよりますが、モニター付きインターホンへ交換できるケースは比較的多いです。
費用は業者や機種によって異なりますが、おおよそ3万円程度、高くても4~5万円程度で交換できることが多いと思います。
この程度の費用で募集サイト上のチェック項目を一つ増やせるのであれば、空室対策として検討する価値は十分にあります。
後付けタイプで代替できる場合もある
中には、玄関で「ピンポン」と鳴るだけで、受話器もモニターもない物件もあります。
そのような場合でも、製品によっては、玄関扉の上部に引っ掛けるようにカメラを設置し、室内側の子機で映像を確認できる後付けタイプの機器を利用できることがあります。
完全なインターホン交換が難しい場合でも、こうした代替手段によって、入居希望者の安心感を高められる可能性があります。
代表例②:温水洗浄便座
「ウォシュレット」と呼ぶ方も多いですが、これはTOTO社の販売する製品名であり、設備名としては「温水洗浄便座」になります。
ポスト・イット(付箋)やサランラップ(食品用ラップフィルム)みたいなものですね。
温水洗浄便座は、入居希望者からのニーズが高い設備です。
実際に、付いていない物件を案内すると、「付けてもらえませんか」「自分で付けてもよいですか」と聞かれることも多々あります。
そのため、空室対策としては、事前に設置しておくことをおすすめしています。
中古設備に抵抗がある入居者への考え方
一方で、過去に温水洗浄便座を設置していたにもかかわらず、入居者から「誰かが使ったものは嫌なので新品に交換してほしい」と言われ、それ以降は設置しない方針にしたという賃貸オーナーもいます。
確かに、そのような考え方を持つ方がいること自体は否定できません。
ただ、私の経験上、そのようなご要望はかなり稀です。
一度の印象的な出来事によって、「入居者はみんなそう思っている」と考えてしまうのは、少しもったいないように感じます。
もちろん、どうしても中古設備に抵抗がある方もいます。
その場合には、入居者負担で設置してもらうのか、退去時に撤去して原状回復してもらうのか、あるいは残置してもよいのかを事前に整理しておくことが大切です。
代表例③:ペット相談
設備だけでなく、募集条件の見直しも重要です。
ここでいう条件とは、単に賃料や礼金を下げることではありません。
「どのような入居者を受け入れるか」という受け入れ条件のことです。
その代表例が「ペット相談」で、検索条件として非常に強い項目です。
ただし、ペット可にすれば何でもよいわけではありません。
原状回復、臭い、鳴き声、近隣トラブルなど、検討すべき点は多くあります。
犬・猫・小動物でリスクは異なる
私の経験上、犬については吠える声がクレームにつながる可能性があるため、慎重に考える必要があります。
一方で、建物の構造や間取りによっては、猫限定で許可する方法もあります。
実例で、1フロア2世帯で、生活空間が分かれており、隣室との間に水回りが配置されていて、隣室の音が伝わりにくい物件がありました。
さらに鉄筋コンクリート造で上下階の音も比較的響きにくい物件がありましたが、間取りが三角形だったので6世帯中4世帯も空室になっていました。
その後、上記の状態から「猫限定」でペット可にしたことで、短期間で満室を実現することができた事例があります。
小動物可という選択肢
ペット可というと犬や猫を想像しがちですが、小動物に限定する方法もあります。
小動物はケージ内で飼育されることが多く、犬や猫に比べると建物への影響や音の問題が小さい場合があります。
実際に、小動物を飼っている方の中には、「後でトラブルになるのが嫌なので、ペット可物件を探しているが、なかなか受け入れてもらえない」という方もいます。
ペット可と書かれていても、犬と猫はよいのに小動物は不可という物件もあります。
そのため、小動物可という条件は、意外とニーズを拾える可能性があります。
代表例④:DIY可
築年数が浅い物件でDIYを許可してしまうと、原状回復や仕上がりの問題が出やすいため、基本的には慎重に考えるべきです。
一方で、築年数が古く、全面的にリフォームするには費用がかかりすぎる物件では、DIY可が有効な戦略になることがあります。
表層部分に限定する
DIY可にする場合でも、何でも自由にしてよいわけではありません。
設備の入れ替えまで許可してしまうと、施工不良や漏水などのリスクがあります。
そのため、許可する範囲は、例えば以下のような表層部分に限定するのが現実的です。
・壁:クロス仕上げの場合はクロスの張り替え、塗装仕上げの場合は塗装
・床:フロアタイルまたはクッションフロア等の施工
事前申請制にして、貸主が承諾した内容だけ実施可能にすることが重要です。
原状回復なしにする選択肢
内容によっては、退去時に原状回復を求めず、そのまま残してもよいという条件にすることも考えられます。
よほど奇抜な色や仕様でなければ、入居者のセンスによって、賃貸オーナーが費用をかけずに室内の印象が良くなる可能性もあります。
「DIYをしてみたかったけれど、できる物件がなかった」という方にとっては、大きな魅力になることがあります。
代表例⑤:事務所利用可、高齢者歓迎など
事務所利用可にすることも、検索対象を広げる方法の一つです。
ただし、来客があるのか、従業員が出入りするのか、荷物を置くのか、音や臭いが発生するのかなど、事前に確認しておく必要があります。
また、住居専用ではなく事業用利用になる場合、消費税の扱いも検討しなければなりません。
この空室対策については以下の記事で解説しています。
用途変更による募集戦略とは?
高齢者歓迎
高齢者の方を受け入れる方針にする場合も、募集サイト上の条件として反映できることがあります。
ただし、これも「誰でも無条件に受け入れる」という意味ではありません。
例えば、
・何歳くらいまで受け入れるのか
・緊急連絡先は確保できるのか
・見守りサービスに加入してもらう
・保証会社の審査は通るのか
といった条件を整理する必要があります。
この空室対策については以下の記事で解説しています。
高齢者への賃貸の特徴と対策
おわりに
募集サイトのチェック項目を増やすことは重要ですが、安易に何でも許可してしまうと、後で大きなトラブルになる可能性があります。
大切なのは、リスクを一つずつ確認し、受け入れ可能な範囲を決めることです。
また、実際に物件を探す入居希望者は、募集サイトの検索条件を使って物件を絞り込んでいます。
そのため、空室対策では、
・募集サイトにどのような検索項目があるか
・自分の物件はどの項目に該当できるか
・少ない費用で追加できる設備はないか
・条件を広げられる余地はないか
を確認することが重要です。
「敵を知り、己を知れば」という言葉がありますが、賃貸募集でも同じです。
自分の物件の特徴を知るだけでなく、借りる方がどのように物件を探しているのかを知ることで、より効果的な募集戦略を立てることができます。
ぜひ一度、SUUMOなどの募集サイトで実際に検索し、入居希望者の目線でご自身の物件を見直してみてください。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。


