不動産オーナーとしては「満室」を目指して経営するのが一般的ですが、空室を全て埋めればゴールかといえば、私は違うと思っています。
空室対策を行うと同時に、または満室経営を実現した後に「収支改善」を行うことで、仮に1部屋空室になったとしても、以前の満室時と同じ手残りになることもあります。
中には、数部屋が空いても満室時と同じ手残りの場合もあり、満室を実現すると以前よりも何部屋分も多くの手残りになります。
収支改善には、文字通り「収入を増やす」か「支出を減らす」の2種類しかありません。
今回は「収入を増やす」に注目してお伝えしたいと思います。
収入を増やす2つの方法
収入を増やすには、主に2つの方法があります。
①既存の収入を更に増やす
②新しい収入源を作る
既存の収入は主に「賃料」となりますので、賃料増額交渉を行うことが王道です。しかし、賃料増額交渉は既存の入居者とのトラブルや交渉に伴って退去を誘引する可能性もあり、その後の借主からの賃料減額交渉も発生するリスクから私は推奨していません。
ただ、退去した部屋を新たに募集する際には、周辺相場の再調査や募集戦略を工夫して増額した状態で成約することもあるため、主には退去が発生した際に行う戦略です。
私が推奨しているのは、「新しい収入源を作る」ことです。
新しい収入源を作るには?
最も取り組みやすいのは「空きスペースの活用」です。
例えば、以下のようなことを考えながらご自身の空きスペースを見てみてください。
・駐車場として車を置いて貸せるスペースはないか?
・車を置くには狭いが、バイクを置けるスペースはないか?
・駐車場はあるが、車庫入れし辛くなかなか決まらないスペースを小分けしてバイク置場で貸せないか?
・物置を設置してトランクルームとして貸すことはできないか?
・道路に面した場所に自動販売機を置けるスペースはないか?
もし一つでも心当たりがあれば、新しい収入源を増やせるチャンスかもしれません。
実例では、職人に白線塗装を依頼して材工込み5万円、駐車場として貸し出すことで年間30万円の収入増加に繋がったため、利回り600%という投資の世界ではありえない数字です。
バイク置場は白線も引かずに有料で貸し出したことで、支出ゼロで1台あたり年間6万円の収入増加に繋がりました。
また、上記の方法は「平面」を活用した方法ですが、人通りの多い場所や周囲の建物に比べて高いマンション等であれば「立面(縦面)」を活用できる可能性もあります。
その代表格が、「貸し看板」と「携帯基地局」です。
実例では、貸し看板設置と携帯基地局を誘致して年間で合計168万円(税別)の収入増加となり、大きな収入源に繋がりました。
このように、一つずつ可能性を考えていくことで思いもよらない収入源が生まれ、その収入を元手に共用設備や室内リフォームを充実して、更なる収益化や安定した満室経営の実現に活かすことができます。
収益化の様々なアイデア
例えば、一般的な賃貸マンションは「2年」契約となりますが、それを「1週間」としたものがウィークリーマンション、「1時間」単位としたのがレンタルスペースです。
これらは稼働率や発生する経費(支出)により本当に適切かどうかは判断が必要ですが、「時間」に注目した点では面白い取り組みです。
また、大規模修繕を行う際の養生メッシュシート部分を看板設置スペースとして貸し出す、敷地を撮影場所として時間単位で貸し出すなど、様々な収益方法が存在します。
常にアンテナを張ってアイデアを考える
賃貸経営では「空室」が大きなリスクとなりますので、早く満室を実現するために頭を悩ませている方は多いと思います。
だからこそ、満室経営を実現できるとホッとして満足してしまう気持ちは十分理解できます。
その上で、満室を長く維持していくためにテナントリテンションに取り組み、収支改善を行って空室が出ても収支上は問題なく経営できるよう取り組むことで、全く違った未来が待っています。
私はそのような未来を実現するために賃貸管理を通じてお手伝いさせていただいております。
ご愛読いただきありがとうございました。