賃貸管理をお願いした場合、管理料の相場はどのくらい?

最新更新日 2023年12月27日
執筆:宅地建物取引士・賃貸不動産経営管理士 三好 貴大

 
アパート経営・マンション経営を行うにあたり、家主自身が管理を行っていることも多く見かけますが、例えば
①普段は働いているので自分で管理できない
②直接借主とやり取りするとトラブルが怖いので誰かに任せたい
③親から相続で受け継いだが何からやっていいか分からない

といった場合、賃貸管理会社に管理を任せるのが一般的です。

管理委託とサブリースってなに?

では、賃貸管理会社に管理を任せる場合、どのような方法があるのでしょうか。
基本的には、
①管理委託
②サブリース(転貸)

の2種類です。

管理委託は、あくまで「管理」を不動産会社に「任せる(委託)」だけなので、借主(賃借人)にとって大家さんはそのままです。
ただ、サブリースの場合は、家主が不動産会社に賃貸し、不動産会社が「転貸」するため、実際にアパートやマンションを使用する方(転借人)にとっての大家さんは不動産会社となります。

管理料の相場はどのくらい?

【管理委託】総賃料(※)に対して3~5%(税別)
【サブリース】総賃料に対して約15~25%

がおおよその相場となります。
※賃料や管理費、共益費などの合計月額

例えば、賃料100,000円、管理費10,000円で総賃料110,000円のマンションの管理をお願いした場合、
【管理委託】総賃料110,000円×3~5%=3,300円~5,500円(税別)
【サブリース】総賃料110,000円×15~25%=16,500円~27,500円
となります。

ちなみに、(公財)日本住宅総合センターが2019年に300の不動産オーナーへアンケート調査を実施した結果では、20%が平均値(家主は転借人からサブリース会社が受け取っている総賃料の80%を受け取る)になっているようでした。

また、これまでは分かりやすく「管理料」と呼んでいましたが、家主から95,000円で借り、転借人に110,000円で貸すことで、その差額の15,000円を利益として享受するのがサブリースのため、実際には管理料という名目のものは発生しません

サブリースの管理料はなぜ高いの?

サブリースはあくまで「転貸」なので、空室で転借人がいなくても不動産会社自身は家主から借り続けている状態になります。
つまり、空室であっても不動産会社から家主に家賃が払い続けられるため、家主にとっては空室による無収入期間がなくなります。

反対に、不動産会社は空室でも家主に家賃を払い続けなければいけないため、そのリスクの対価として管理料は高く設定されています。
一般的には転借人から受け取る更新料や新規契約時の礼金なども転貸している不動産会社が授受するため、結局は不動産会社が最も儲かる仕組みになってします。

管理委託とサブリースは比較するとどちらが得なの?

上記の解説を読むと、「空室期間も保証されるのは魅力的だけど、あまり儲からない気がしてきた・・・」という方もいらっしゃると思います。
その通り、不動産業者は自社が儲かるためにサブリースを推奨しますが、私は断然管理委託を推奨しています。

上記を比較するとサブリースが管理委託より長けているのは「空室保証」ですが、適切な空室対策を行って稼働率を上げれば問題ありません。
「そんな簡単に言うけど、うちの物件はそんな簡単に埋まらないよ!」と少しお怒りの声が聞こえてきそうですが、様々な戦略と改善を積み重ねれば埋まらないお部屋はほとんどありません。
一つの商品を1万人に売るのは難しいかもしれませんが、不動産は1つの空室を1人に気に入ってもらえれば良いのです。

この疑問に関してはこちらの記事で詳しく解説しています。
賃貸経営では管理委託とサブリースのどちらが得なのか?

管理委託料が無料もあるって聞いたけど本当?

本題の管理料の話に戻りますが、最近は管理委託料が無料であったり、定額制であったり、様々な安価なサービスが増えてきています。
当然、家主としては安ければ安いほど良いので、管理委託料が安いのは非常に魅力的だと思います。

では、管理委託料の高い安いはどのような違いがあるのでしょうか。
賃貸管理会社が管理委託料を安くするためには以下のどれか、または複数に該当しています。

①管理件数が多くスケールメリットで料金を下げられる
②安い賃金で従業員を働かせる
③安い分だけ管理内容を減らす
④管理委託料では稼げないので、他に収益源を増やす

上記①は同じ商品・品質でも仕入れの量(管理物件数)が多ければ料金だけを安くできる可能性があります。
ただし、上記②と③は単純なサービス品質の低下に繋がります。
上記④は貸主からキックバックの搾取や借主には多数のオプションサービス付帯などが代表例で、顧客満足度が上がるものでは決してありません。

ただし、管理委託料が高いからと言って必ずしもサービス品質が高い訳ではありません。
大事なポイントは管理委託料の高い安いは金額だけで決めるのではなく、提供しているサービス品質に対して、コストパフォーマンスが高いか否か、です。
管理委託料が安くても、空室が多くて賃貸トラブルが多ければ管理を委託する意味がないですからね。

次回は賃貸管理会社の探し方と選び方について解説します。
ご愛読いただきありがとうございました。

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