前回は「私が賃貸に特化した理由①」ということで、私が不動産業界に入って感じた賃貸と売買の報酬額の違いによる格差と、本来は報酬額に関わらず責任とプライドを持って取り組まなければいけないという考えを述べました。
私は不動産業界の中では異色とよく言われますが、その要因は生い立ちにあると思います。
物心ついた頃から母子家庭で育ち、小学生の頃は問題児でした。「人に認められたい」「人に必要とされたい」と心の底では考えていたようですが、それをうまく表現することができず、思うようにいかない少年時代を過ごしました。
その後、運よく高校時代には音楽の世界で人に認められる感覚や必要とされる感覚を知りました。大学時代は学費を稼ぐために2年間休学し、復学してから卒業までの3年間を含めて計5年間ブラック企業でゴリゴリ営業に身を染めましたが、そこで収入が増えることよりも人に必要とされることの方が自分にとって心地よいと実感しました。
そして、前職では不動産業界に入る前に抱いていた「不労所得で儲かっている」家主のイメージと異なり、
・空室がなかなか埋まらず、収益が上がらない
・家賃滞納や入居者トラブルなどが発生して強いストレスを抱えている
・様々な経費や税金を差し引くと手残りは僅かで、大きなリフォームや大規模修繕が発生するとキャッシュフローはマイナス
・悪い営業マンの詐欺まがいなトークで騙されて投資用不動産を買ってしまい、保有していても売却しても損失
・代々地主業で利益も出ているが、受け継いだ不動産を減らさず後世に残すため、相続税や修繕費のために倹約して生活している
など、多くの悩みに携わりました。中には自己破産寸前であったり、悪い管理会社に賃料を何か月分も抜き取られていたり、室内で殺人事件が発生して大損失を負ったりと様々な案件に直面しました。
「何とかしたい」という一心で様々な勉強会やセミナー、書籍、インターネットで知識を集め、専門的な意見をもらえる仲間を作り、自分自身でもあれこれ考えて様々な案件に取り組んでいました。クライアントにとって最善策なら自分の利益に繋がらない選択肢も提示して問題解決を図ってきました。
その結果、多くの家主様や相談者から感謝の言葉をいただき、中には先祖のお墓参りに行く度に私との出会いを感謝したり、目の前で涙を流して喜んでいただいたり、私としては生涯を通じて取り組む「天職」となりました。
それは収入にも繋がり、現在は新型コロナウィルスの影響で例年に比べて案件が少なくなっていますが、幸いにも応援してくれる方が多く、大変ありがたいことに前職で部長を務めていた頃以上に収入も維持できております。
それらの経験から私が実感したことは、賃貸管理と元付仲介(家主からの依頼で空室募集)はとても魅力的な仕事であるということです。
賃貸管理にとっては賃貸借契約してからが自分の実力が試されます。賃貸トラブルの未然防止やその後の対応方法で全く結果は異なります。家主のパートナーとして一緒に健全な賃貸経営を目指していくためには、幅広い知識と柔軟な発想が必要で、それらは目に見えて成果として現れます。
例えば、物件の管理状況や空室状況、賃貸トラブルの頻度・重さ、収入額、支出額、その他様々な形で仕事の成果は如実に現れます。その現れた「成果の大きさ」は、イコール「感謝の大きさ」となり、信頼に繋がって非常にやりがいを感じることができます。
また、それらは収入にも当然繋がります。例えば、5,000万円の売買案件を両手仲介した場合、売上は最大で312万円です。そして、一回取引が終わればその次は新たなお客様を探さなければいけません。
賃貸管理では、仲介手数料や広告宣伝費、更新(再契約)手数料、管理委託料、火災保険代理店手数料、家賃保証会社代理店手数料などの様々な収入が継続的に入り続けます。
例えば月額賃料7万円×8世帯の賃貸アパートの管理を受託した場合、10年間で想定(詳細は割愛)すると約700万円の売上となり、年間平均で約70万円となります。そのような家主様が20人、30人と増えていったら、月額賃料15万、20万と大きな物件も受託していったら、どんどん収入は増加していきます。
そして、先月は良かったけど今月は売上ゼロ、ということは一切なくなり、景気の波にも左右され辛いため、非常に安定して売上を確保し続けることができます。
もちろん労力のかかる仕事ではありますが、私は賃貸管理がとても好きです。売買や賃貸が良い悪いではなく、私は賃貸管理が好きなのです。相応の魅力があるからです。第一に、自分の仕事に責任とプライドは持っていますが、仕事だとはあまり考えていません。
もっと賃貸管理がやりがいと魅力のある仕事だと認知され、健全な売上で働く人に収入や実績、地位といった様々な形での報酬として還元され、優秀な人達ほど自分の理想を実現するために賃貸管理業界に足を踏み入れたいと思える状態を作っていけたらと考えています。
そのためには、自分自身が成功事例として新たな存在になりたいと心から思っています。
もっと多くの家主様の健全な賃貸経営の実現に貢献し、自分のやり方を惜しみなく発信することで多くの賃貸管理に携わる人々が影響を受け、賃貸管理業界そのものが少しでも良くなればと思います。
ご愛読いただきありがとうございました。