賃貸物件で漏水トラブルが発生したときは、まず、どこから水が漏れているのか、その原因を特定することが重要です。
その場ですぐに修理できれば大きな問題にはなりません。しかし、実際の漏水トラブルでは、後日、専門の修理業者に来てもらわなければ解決できないケースも少なくありません。
水が漏れ続ければ、床や壁、天井、家具、家電製品などへの被害が広がります。一方で、無理に水を止めると、入居者が生活できなくなることもあります。
そこで今回は、賃貸物件で漏水が発生した際に、修理が完了するまで行う応急対応について解説します。
本記事は、当社YouTubeチャンネルで公開している
「漏水トラブルの応急対応」
という動画の内容を、文字で整理したものです。
漏水発生後の応急対応は大きく3つ
漏水の修理がすぐにできない場合、主な応急対応は次の3つです。
① 給水や給湯を止めて、漏水そのものを止める方法
② 水を止めず、養生シートなどを使用して、漏れてくる水をバケツなどへ誘導する方法
③ 被害の状況を確認したうえで、水を使用する時間を制限しながら経過を見る方法
どの方法が適しているかは、漏水箇所、水の量、修理までの日数、入居者の生活への影響などによって異なります。
必ずしも、すぐに建物全体や住戸内の水を完全に止めることが最善とは限りません。漏水被害と生活への影響を比較しながら、最も負担の少ない方法を選ぶ必要があります。
応急対応①:給水や給湯を止める
給水・給湯管が原因の漏水を確実に止める方法は、水道の元栓を閉めることです。
ただし、元栓を閉めると、その住戸では原則として水を使用できなくなります。
キッチンでの洗い物、洗面、入浴、洗濯、トイレなど、日常生活の多くに影響が生じるため、修理までの日数によっては大きな問題になります。
そのため、漏水箇所や漏れている配管の種類を確認し、止める範囲を限定できないか検討します。
配管の漏水箇所が見える場合
漏水している配管を目視できる場合には、水漏れ補修テープを使用して応急処置できることがあります。
配管からの漏水は、配管同士を接続している継ぎ手の周辺で発生することが多いです。
漏水箇所を確認できる場合には、その部分へ水漏れ補修テープを強く巻き付けます。
配管が真っすぐで、凹凸が少ない場所であれば止水させやすい一方、出っ張りやくびれがある場所では、止水することが難しくなります。
一度は水が止まったように見えても、しばらくするとテープの隙間から再び水が漏れてくることもあり、この写真はその一例です。

あくまで修理業者が来るまでの応急処置と考え、施工後も定期的に状況を確認することが重要です。
壁や床の内部から漏水している場合
配管が壁、天井、床下などに隠れている場合には、応急処理ができません。
このようなケースでは、水道の元栓や給湯器の止水栓を操作し、どの配管から漏れているのかを確認します。
例えば、住戸全体の水道元栓を閉めたときに漏水が止まれば、給水管または給湯管からの漏水と断定できます。
その後、給湯器の止水栓を閉めると、水側の配管から漏れているのか、お湯側の配管から漏れているのか確認できます。
給湯管だけを止められる場合
給湯管からの漏水であれば、お湯だけを使用できない状態にして、漏水を止めることができます。
この場合、冷たい水は使えるため、トイレ、洗面、洗濯、簡単な洗い物などは継続できます。
住戸内の水をすべて止める場合と比べれば、生活への影響を抑えられます。
ただし、入浴ができなくなるため、修理までの期間に応じた対応が必要です。
水やお湯を使えない場合の入居者対応
元栓を閉める場合には、入居者がどのように生活するのかまで考えなければなりません。
「漏水するため水を止めました。修理が終わるまでお待ちください」という説明だけでは、入居者を怒らせてしまう可能性があります。
建物内の空室を一時的に使用してもらう
同じ建物内に空室がある場合には、その部屋を一時的に使用してもらう方法があります。
例えば、漏水している住戸ではお湯が使えないものの、空室の給湯設備が使用できるのであれば、ガスの開栓を手配し、入浴時だけ空室を利用してもらうことができます。
実際に、この方法で対処したことは何回もあります。
銭湯などの利用費を負担する
建物内に使用できる空室がなく、お風呂だけが使えない場合には、修理が終わるまで、オーナーの負担で銭湯や入浴施設を利用してもらう方法があります。
ただし、小さなお子さんがいる家庭、高齢の方、移動が難しい方などは、難しい可能性があります。
ホテルや親族宅への一時避難
状況によっては、ホテルなどへ一時的に宿泊してもらうことも考えられます。
また、近隣に実家や親族宅がある場合や、本人が友人宅などへ一時的に移動できる場合には、その方法を相談することもあります。
ただし、オーナーや管理会社から一方的に親族宅や友人宅へ行くよう求めるのではなく、入居者の希望を確認したうえで対応する必要があります。
応急対応②:養生して水の流れを管理する
漏水の原因が分からない場合や、すぐに水を止められない場合には、漏れてくる水を養生によって処理します。
特に雨漏りの場合は、雨が止んで、屋根・外壁・窓周辺などから建物内へ入り込んだ水が抜けきるまでは、漏水が続きます。
そのような場合には、床や家財へ被害が広がらないように、水の流れる経路を作ることが重要です。
養生シートで水をバケツへ誘導する
天井の一部から水が垂れている場合には、漏水箇所の下にバケツを置くだけでは、水滴が落下した音や跳ね返った水が周囲に散る可能性があります。
また、水滴が複数の場所から落ちると、床全体に水たまりが広がることもあります。
そこで、漏水箇所の周辺を養生シートで覆い、シートに傾斜を付けて、水が1か所へ集まるようにします。

この方法により、床への被害や、水滴の跳ね返りによる二次被害を抑えられます。
ごみ袋を養生シートの代わりにする
そもそも養生シートを持っていない方が多いと思いますし、緊急で現地へ向かった場合は持っていないことがほとんどなので、近くのコンビニやドラッグストアなどで、ごみ袋を購入して代用することがあります。
ごみ袋の側面をはさみで切り開くと、1枚のビニールシートとして使用できます。
複数のごみ袋をつなぎ合わせれば、ある程度広い範囲を覆うことも可能です。
養生に使用するテープの選び方
粘着力の強いガムテープや一部の養生テープをクロスへ直接貼ると、剥がす際にクロスの表面まで一緒に剥がれてしまったり、テープが残ってしまったりすることがあります。
養生の際は、貼り直しやすく、剥がしたときに跡が残りにくい「マスキングテープ」が適しています。

普段からマスキングテープと小さなハサミは持っておくと便利です。
応急対応③:水を止めずに様子を見る
状況によっては、水を止めずに様子を見る判断をする場合もあります。
例えば、パイプスペース内の配管から少量の水が漏れているものの、住戸内へ被害が広がっていないケースがあります。
このような場合、元栓を完全に閉めることで入居者の生活へ大きな支障を与えるよりも、水を使用する時間を限定しながら、修理までの間を乗り切る方がよいことがあります。
外出時と就寝時だけ元栓を閉めてもらう
基本的には通常どおり水を使用してもらいます。
その一方で、外出時や就寝時など、漏水の状況を確認できない時間帯には、元栓を閉めてもらいます。
この方法であれば、生活への影響を抑えながら、長時間にわたって水が漏れ続けることを防げます。
ただし、元栓の場所や操作方法を入居者が理解していない場合もありますので、管理会社やオーナーが現地で操作方法を説明する必要があるかもしれません。
タンク式トイレは元栓を閉めても1回程度流せる
一般的なタンク式トイレであれば、元栓を閉めた後も、1回程度は水を流せます。
ただし、一度流すとタンクへ新しい水が供給されないため、繰り返し使用することはできません。
漏水によって増加した水道料金への対応
漏水箇所が水道メーターよりも住戸側にある場合、水道使用量として計測されてしまい、通常よりも水道料金が高くなることがあります。
入居者に元栓の開閉などの協力をお願いする場合には、漏水によって増加した水道料金をどのように扱うのかも説明しておくことが重要です。
水道料金の減額制度を確認する
自治体や水道事業者によっては、一定の条件を満たす漏水について、水道料金の一部を減額する制度があります。
一般的には、指定業者などによる修理が完了した後、修理内容を証明する書類を添えて申請することになります。
ただし、すべての漏水が減額対象になるわけではないため、漏水が確認された段階で、管轄する水道事業者へ相談しておくことも大切です。
減額を受けられなかった場合には、通常の使用量と比較して増加した部分をオーナー側で負担することも検討します。
漏水修理を依頼する業者の選び方
漏水の応急対応を行った後は、業者に修理を依頼します。
主な選択肢は、普段から付き合いのある業者と、緊急対応を専門とする水道修理業者です。
普段から付き合いのある業者へ依頼する
普段から原状回復工事や設備修理を依頼している業者であれば、建物の状況や過去の工事内容を把握していることがあります。
料金についても、緊急対応業者と比べて安い傾向があります。
ただし、業者の予定が埋まっている場合には、数日後や1週間後でないと来てくれない場合もあります。
緊急対応を専門とする業者へ依頼する
緊急の水道修理を専門とする会社は、当日または翌日に来てもらえる可能性が高いです。
一方で、出張費、緊急対応費、時間外料金などが加算され、修理費用が高くなる傾向があります。
そのため、「修理代が安い業者」と「すぐに来られる業者」のどちらを選ぶかは、修理費だけで判断できません。
修理費だけでなく、待機中の費用も比較する
例えば、普段から依頼している業者であれば安く修理できるものの、来られるのが1週間後だとします。
その間、入居者が住戸で生活できず、仮に1泊1万円のホテルを7日間利用すれば、宿泊費だけで7万円かかります。さらに、住戸とホテルを往復する交通費も発生する可能性があります。
緊急対応業者の修理費が通常より数万円高かったとしても、翌日に修理できるのであれば、ホテル代などを含めた総額は安くなる可能性があります。
反対に、普段の業者が翌日や2日後に対応できるのであれば、応急処置でその期間を乗り切り、信頼している業者へ依頼した方がよい場合もあります。
工事費だけでなく、漏水の状況や入居者への補償なども総合的に考えて判断することが重要です。
まとめ|漏水修理までの対応は被害と生活への影響を比較する
賃貸物件で漏水が発生し、すぐに修理できない場合の応急対応は、大きく次の3つです。
給水や給湯を止めて漏水を止める
養生シートなどで水の流れる経路を作る
水を使用する時間を限定しながら様子を見る
漏水量が多く、室内や家財への被害が拡大している場合には、入居者の生活に影響が生じても、止水を優先する必要があります。
一方で、被害が限定されており、数日以内に修理できる場合には、外出時と就寝時だけ元栓を閉めてもらうなど、生活を続けながら修理を待つ方法もあります。
また、修理業者を選ぶ際には、工事費用だけでなく、修理までの日数、オーナーが補償する費用、二次被害の可能性なども含めて判断しなければなりません。
漏水トラブルでは、原因を特定するだけでなく、修理が終わるまで被害を広げず、入居者の生活への影響をできる限り抑えることが重要です。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。


