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賃貸経営の収支改善とは?利益を増やすために押さえたい収支の基本構造

最新更新日 2026年07月28日
執筆:宅地建物取引士・賃貸不動産経営管理士 三好 貴大

私は、賃貸経営は一つの事業であると考えています。
事業である以上、単に物件を所有しているだけではなく、しっかり利益を出していくことが重要です。

賃貸経営には、固定資産税、修繕費、共用部の電気代、点検費用、管理費、ローン返済、税金など、さまざまな支出があります。
そのため、満室にすることはもちろん大切ですが、満室になった後に、いかに利益が出やすい体質にしていくかが非常に重要になります。

本記事は、当社YouTubeチャンネルで公開している
「賃貸経営の収支改善の基本」
という動画の内容を、文字で整理したものです。

空室対策は収支改善の一部にすぎない

空室を減らすことは、収支改善において非常に重要です。
しかし、収支改善全体で見ると、空室対策はあくまで一部です。

賃貸経営では、

「どうすれば収入を増やせるか」
「どうすれば支出を減らせるか」

の二つを考える必要があります。

そのためには、まず収支改善の仕組みを理解することが大切です。

全体像が分かると、

「今取り組んでいるのは空室損失の改善だ」
「次は運営費を見直すべきだ」
「ローン返済や税金も含めて考えた方がよさそうだ」

というように、課題を細かく分けて考えられるようになります。

賃貸経営の収支構造

まず、賃貸経営の収支をざっくりと記した図は上のものとなります。
一つずつ見ていきましょう。

満室時の総収入

最初にあるのが、満室時の総収入です。

これは、すべての部屋が満室だった場合に得られる家賃収入の総額です。

ただし、実際には常に満室とは限りません。
空室があれば、その分の家賃収入は入ってきません。

つまり、「満室時の総収入- 空室による損失= 実際の収入」という考え方になります。

運営費を差し引く

次に、実際の収入から運営費を差し引きます

運営費とは、建物を維持・運営するために必要な費用です。

たとえば、

固定資産税
共用部の電気代
共用部の水道代
消防点検費用
エレベーター保守費用
清掃費
管理費
修繕費

などです。

マンションやアパートを維持するためには、必ず一定のコストがかかります。

営業純利益(NOI)とは何か

実際の収入から運営費を差し引いたものを、営業純利益といいます。

不動産業界では、NOIと呼ばれることもあります。
NOIとは、Net Operating Incomeの略です。

簡単に言えば、物件運営によって生み出される利益です。

この営業純利益を高めることは、賃貸経営において非常に重要です。

ローン返済と税金

ローン返済には、元本返済部分と利息部分があります。
毎月同じ金額を返済しているように見えても、その中身は元本と利息に分かれています。

そして、ローン返済後に税引前の利益が出ます。

そこから税金を支払い、最終的な手残りが決まります。

つまり、賃貸経営の利益は、

満室時の総収入

空室損失を差し引く

運営費を差し引く

ローン返済を差し引く

税金を支払う

最終的な手残り

という流れで決まっていきます。

収支改善でやることは大きく2つ

収支改善というと難しく感じるかもしれません。
しかし、やること自体は大きく分けると2つです。

①収入を最大化する

一つ目は、総収入を増やすことです。

たとえば、

新規募集時の賃料を見直す
入居中の賃料改定を検討する
空室期間を短くする
駐輪代や駐車料などの付帯収入を増やす
新たな収益源を作る

といった方法があります。

ただし、賃料を上げれば必ず良いというわけではありません。

新規募集時に賃料を上げすぎると、成約までに時間がかかることがあります。
また、入居中の賃料改定も、強引に進めると入居者との関係が悪化する可能性があります。

そのため、賃料を見直す場合には、相場や物件の状態を踏まえながら、適切に進める必要があります。

新たな収益源を作る視点

収入を増やすうえで重要なのが、「新たな収益源を作れないか」という視点です。

これは、単にもう1戸物件を買うという意味ではありません。

既存のアパート、マンション、一戸建ての中でも、工夫によって新たな収入を生み出せることがあります。

たとえば、空きスペースの活用、駐車場や駐輪場の見直し、用途変更などです。

この部分は、物件ごとに可能性が異なります。
そのため、「今ある物件の中で、まだ活用できていない部分はないか」という視点を持つことが大切です。

②支出を最小化する

二つ目は、支出を圧縮することです。

ただし、支出の最小化とは、必要な費用まで削るという意味ではありません。

建物を維持するために必要な修繕や点検を怠れば、将来的に大きなトラブルや高額修繕につながる可能性があります。

大切なのは、必要な支出は適切に行いながら、見直せる部分を一つずつ確認していくことです。

運営費の見直し

運営費にも見直せる部分があります。

たとえば、共用部の電気代、清掃費、点検費用、管理委託費、保守契約などです。

もちろん、安ければ良いというものではありません。
しかし、内容に対して費用が過大になっている場合や、現在の物件状況に合っていない契約が残っている場合には、見直しの余地があります。

小さな金額に見えても、毎月発生する費用であれば、年間では大きな差になります。

ローン返済の見直し

ローン返済も、収支に大きく影響します。

現在は金利上昇局面でもあるため簡単ではありませんが、金融機関に相談することで、条件を見直せる可能性があります。

たとえば、

借り換え
金利交渉
返済期間の見直し
返済条件の調整

などです。

金利が少し変わるだけでも、借入額が大きい場合には年間の支出に大きく影響します。

税金も含めて考える

税金についても、収支改善を考えるうえで重要です。

ただし、税務については税理士に確認する必要があります。
不動産会社が具体的な税務判断を行うことはできません。

そのため、実務上は、不動産会社が一般的な選択肢を整理し、税理士と連携しながら進める形が現実的です。

たとえば、税金を支払う前に、そろそろ故障しそうなエアコンや給湯器を交換した方がよいケースもあります。

もちろん、単に税金を減らすためだけに不要な支出をするのは本末転倒です。
しかし、いずれ必要になる修繕であれば、税務面も踏まえてタイミングを検討する価値はあります。

収支改善は細分化して考える

収支改善で大切なのは、全体を一つの大きな問題として捉えないことです。

「利益が少ない」
「手残りが少ない」

と漠然と考えるだけでは、何から手をつければよいか分かりません。

しかし、収支構造を分解すると、

満室時の総収入
空室損失
運営費
ローン返済
税金
最終的な手残り

というように整理できます。

そうすると、

「空室損失が大きい」
「運営費が高い」
「ローン条件を見直せるかもしれない」
「税理士に相談すべき項目がある」

というように、改善すべき場所が見えやすくなります。

実際に大きな改善につながることもある

実際に、収入の最大化と支出の見直しを組み合わせることで、大きな効果が出ることがあります。

過去に対応した管理物件では、総収入を増やし、支出も見直した結果、年間の手残りが約3,000万円改善したケースがありました。

年間3,000万円の差は非常に大きいです。

逆に言えば、何も見直さなければ、毎年それだけの利益を失い続けていた可能性があるということです。

もちろん、すべての物件で同じような改善ができるわけではありません。
しかし、収支を細かく分解して見直すことで、思わぬ改善余地が見つかることはあります。

まとめ|賃貸経営は利益が残る仕組みを作ることが大切

今回は、賃貸経営における収支改善の基本について解説しました。

賃貸経営では、満室にすることがゴールではありません。
満室になった後に、どれだけ利益が残る体質を作れるかが重要です。

収支改善で行うことは、大きく分けると2つです。

一つは、収入を最大化すること。
もう一つは、支出を最小化することです。

ただし、支出を最小化するといっても、必要な費用まで削るのではありません。
必要な支出は適切に行いながら、見直せる部分を一つずつ確認していくことが大切です。

収支改善を考える際には、

満室時の総収入
空室損失
運営費
営業純利益
ローン返済
税金
最終的な手残り

という流れで整理すると、どこに問題があるのかが見えやすくなります。

賃貸経営は一つの事業です。
だからこそ、感覚だけで判断するのではなく、数字を分解し、改善できる部分を一つずつ見つけていくことが重要です。

今後、具体的な収支改善策を考える際にも、まずはこの全体像を押さえていただければと思います。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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