「空室対策」には様々な手法がありますが、それ以前の段階で見送られているケースも一部には存在します。
また、見送りの直接的な原因でも、他の物件と比較する際に「なんとなく、別の物件の方が良い」と無意識に感じることもありますので、そのようなもったいないことは避けるのが得策です。
特に長期空室時に発生しやすい「内見時に嫌われる環境」とはどのようなものか、それらを防ぐための簡易的な対策について解説します。
本記事は、当社YouTubeチャンネルで公開している
「内見時に嫌われる環境~長期空室への備え~」
という動画の内容を、文字で整理したものです。
封水切れによる異臭
まず最も注意したいのが、封水切れによる異臭です。
お風呂、トイレ、洗面台、キッチン、洗濯機置場などには、通常「トラップ」という仕組みがあります。
例えば、洗面台をイメージすると分かりやすいですが、排水管は途中でS字のように曲がっていることが一般的です。
その曲がった部分に水がたまることで、排水管の奥から上がってくる臭いを防いでいます。
また、コバエなどの虫が上がってきた場合も、その水があることで室内側まで出てこられない仕組みになっています。
長期空室では水が干上がる
ところが、特に夏場など暑い時期に長期間何もしないでいると、この水が少しずつ蒸発してしまいます。
水位が下がり、排水管の奥と室内側がつながってしまうと、下水の臭いが一気に上がってきます。この臭いは非常に強く、内見時の印象を大きく悪くします。
さらに、その状態が続くと、壁紙や床などに臭いが染み込んでしまうことがあります。
そうなると、換気や消臭だけでは取れず、張り替えなければ改善しないケースもあります。
月1回は水を流す
封水切れを防ぐためには、最低でも月に1回程度は水を流しておくことをおすすめします。
水道を開けて流してもよいですが、水が飛び散るとシミや跡になることがあります。
そのため、500mlのペットボトルに水を入れて1~2本持参すれば良いですが、2Lのペットボトルがあれば充分です。
いずれにしても、長期空室になりそうな場合には、定期的に封水を補充することが重要です。
封水切れ以外の異臭
次に、封水切れ以外の異臭です。
前入居者の生活臭や体臭のようなものが残っていることがあります。
また、築年数が経過した建物で、木材が多く使われている場合には、独特の古い臭いが出ることもあります。
また、水切れではないにもかかわらず、臭いが出ることもあります。
例えば、洗面台やキッチンで、床から太い排水管が出ており、そこに細い管を差し込んでいるだけの状態になっていることがあります。
その隙間が空いていると、封水があっても別の部分から臭いが出てきます。
この場合は、物理的な対処が必要です。
まずは場所を特定して、配管を直す、隙間をパテで埋めるなどの対応を検討する必要があります。
換気と消臭剤の活用
臭い対策としては、常時換気が重要です。
通気口がある場合には開けておき、可能であれば退室時に換気扇を1か所だけでもつけておくと、臭いの滞留を防ぎやすくなります。
また、人が容易に侵入できない窓であれば、雨が入りにくい程度に少しだけ開けておく方法もあります。ただし、台風などの際には必ず閉める必要があります。
トイレや洗面所など、狭い空間だけ臭いが気になる場合には、消臭剤を設置するのも有効です。
一方で、芳香剤はあまりおすすめしません。元の臭いと芳香剤の匂いが混ざることで、別の不快な臭いになってしまうことがあります。また、芳香剤の匂い自体が苦手な方もいます。
臭いを足すのではなく、消臭するという考え方が大切です。
虫の死骸
これは内見時にかなり嫌われます。
特に封水切れが発生すると、コバエが出てくることがあります。そのため、まずは封水を切らさないことが重要です。
また、ゴキブリにも注意が必要です。
ゴキブリが出る場合、多くはどこかに侵入経路があります。死骸がある場合はもちろん、死骸はなくても糞が落ちている場合には、室内に出入りしている可能性があります。
その場合は、侵入経路を探し、隙間を埋めるなどの対策が必要です。
内見前の確認が重要
特にゴキブリの死骸が室内にあると、それを見た時点で「この物件はゴキブリが出るのだ」と思われてしまいます。
その印象を覆すのは非常に難しいです。
そのため、内見が入る場合には、できれば少し早めに現地へ行き、窓を開けて換気し、虫の死骸がないか確認しておくことが大切です。
もし死骸があれば拾い、簡単に掃除をした上で、整った状態で見ていただく必要があります。
室内が暗い
クリーニングが終わった後、電気を解約してしまう方もいます。
しかし、内見時に室内が暗いと、どうしても印象が悪くなります。
人の心理として、暗い部屋を見ると気持ちが乗りにくくなります。
他に選択肢がない場合は別ですが、複数の物件を比較している方にとって、真っ暗な部屋はかなり不利です。
通電と照明器具の準備
電気は短期使用の契約であれば、大きな金額にはなりにくいです。そのため、空室募集中はできるだけ通電しておくことをおすすめします。
また、リビングや寝室に照明器具が付いていない場合には、案内用のシーリングライトを用意しておくとよいと思います。
インターネット通販で3,000円台、場合によっては2,000円台でも購入できます。
私はよくアイリスオーヤマ製のシーリングライトを設置しています。
内見時だけ取り付け、契約後はそのまま使っていただく方法もありますし、回収して入居者に用意してもらう方法もあります。
いずれにしても、内見時にはすべての部屋に明かりがある状態で見ていただくことが望ましいです。
退去後の汚損が激しい状態
前入居者がある程度きれいに使っていて、クリーニング前でも内見できる状態であれば、募集を開始してもよい場合があります。
しかし、かなり汚れている状態で内見してもらうと、印象は非常に悪くなります。
よほど他に選択肢がない方や、そのエリアでどうしても今日決めなければならない方であれば可能性はあるかもしれません。
しかし、通常は他の物件に流れてしまう可能性が高いです。
「クリーニングで落ちます」と言い切るリスク
汚れが残っている状態で内見した場合、よく聞かれるのが「これはクリーニングで落ちますか」という質問です。
この回答は非常に難しいです。
リスクを避けるなら、「落ちないものもあると思います」と伝えるべきです。しかし、それでは決まりづらくなります。
一方で、「クリーニングすればかなりきれいになります」と伝えた後、実際には落とせない汚れが残ってしまった場合、入居後にトラブルになる可能性があります。
そのため、私は基本的には、クリーニングが終わってから募集することをおすすめしています。
募集開始直後の1〜2週間は非常に重要です。
きれいな状態で新鮮に募集を開始した方が、成約につながりやすいと考えています。
繁忙期は最低限の確認を行う
ただし、2月下旬から3月上旬、中旬にかけての繁忙期など、どうしても早く募集したい場合もあります。
その場合には、手間はかかりますが、一度ご自身で掃除道具を持って現地に行き、どの汚れが落ちそうか、どの汚れが残りそうかだけでも確認しておくことをおすすめします。
そうすることで、案内時の説明もしやすくなり、入居後のトラブルも防ぎやすくなります。
おわりに
今回は、内見時に嫌われる環境と、長期空室への備えについて解説しました。
空室を短期間で決めるためには、賃料設定や募集戦略も大切です。
しかし、それ以前に、内見時点で避けられてしまう状態になっていないかを確認することが重要です。
封水切れによる異臭、生活臭や古い臭い、虫の死骸、暗い室内、汚損が激しい状態。これらは、内見時の印象を大きく下げてしまいます。
逆に言えば、これらを改善して初めて、空室対策のスタートラインに立てると考えています。
すでに長期空室になっているお部屋がある場合も、これから長期空室になりそうなお部屋がある場合も、まずは今回の5つのポイントを確認していただければと思います。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。


