大家さんが「なぜお部屋を綺麗にしているのに、なかなか決まらないのだろう・・・」と頭を抱えていた場合、空室の最大の原因となっている可能性があるのは「写真」です。
以下の2枚の写真をご覧ください。
実はこの2枚の写真は同じお部屋で、1枚目は他社がインターネットに掲載していたもの、2枚目は私が撮影したものです。
せっかくお部屋を綺麗にリフォームしても写真一つで台無しになってしまう可能性があります。
「メラビアンの法則」という言葉を聞いたことがありますか?
人がコミュニケーションを図る際、以下の割合で影響を与えているというものです。
・聴覚情報・・・38%
・視覚情報・・・55%
賃貸募集でいえば、「フルリフォーム済み!」「新品キッチン!」という文字や営業マンの華麗な営業トークよりも、【写真】から受ける印象が最も大きな影響を与えるということです。
そして、写真の印象で「内見したい!」と問い合わせ・内見に至り、初めて申込になるため、空室対策の一番の要は「写真」と言っても過言ではないということです。
今回は空室を魅力的な写真となるよう魅力を最大限アップさせ、問い合わせ数を増やすための撮影・写真加工のテクニックをご紹介します。
①撮影用のカメラを購入する
最近のスマートフォンは非常に性能が良いので、まずはスマートフォンでの撮影で慣れていくのが良いでしょう。
しかし、スマートフォンの広角機能で撮影すると、歪みで写真の四隅が丸みを帯びてしまうことが多いです。
また、写真の明るさや彩度も自動的に補正してくれますので、屋外の風景写真はとても綺麗に撮影できます。
その反面、屋内は色味の癖が出てしまうため、少し慣れたら一眼レフまたはミラーレスのデジタルカメラと広角レンズを購入した方が良いと思います。
カメラは高額なものだと機能も充実し画質も更に良くなりますが、安価なものでも充分なクオリティで撮影できます。
参考までに私が使用している機材を紹介します。
カメラ:Nikon デジタル一眼レフカメラ D5600
レンズ:Nikon 広角ズームレンズ AF-P DX NIKKOR 10-20mm f/4.5-5.6G VR
これから紹介する写真は全てこの機材で撮影しています。
ちなみに、レンズ交換の出来ないコンパクトデジタルカメラは広角モードにしても画角が足りないため、誤って購入しないよう注意しましょう。
②縦・横ラインを合わせる
まずは失敗例が以下となります。
人というのはバランスを保とうとする生き物なので、バランスが悪いと無意識に嫌な感情を抱きます。
「グリッド線」を入れることで、角や窓枠などのラインに合わせられ、縦・横ラインが合わせやすくなります。
縦・横ラインを合わせるとこのようになります。
試しに赤線を入れてみましょう。
バランスが整いましたね。
なるべく部屋の中心から縦・横ラインを合わせるように撮影した方が良いのですが、引きが足りず隅っこから撮影しなければいけない場合は、【縦ライン】だけは必ず合わせましょう。
「三脚」を使用すると微調整ができ、手ブレが無くなります。
「カメラ水準器」も用意しておくと最初の設定が楽になるので、「三脚」と「カメラ水準器」はカメラを購入する際に揃えることをオススメします。
③明るさを調整する
カメラの設定で「露出(明るさ)」を調整します。
写真はカメラで見て気持ちよい明るさでも、パソコンで見ると暗く感じることが多いです。
その場合は編集ソフトで「輝度」「露出」等を上げて適度な明るさに調整しましょう。
私がメインで使用している編集ソフトは「PhotoScape」です。
無料でダウンロードでき、簡単かつスピーディーに写真が加工できるためオススメです。
また、撮影するタイミングはなるべく「窓から日光が差し込まないタイミング」を選びましょう。
なぜなら、逆光になると床に反射した光や窓から入る光が強すぎて室内全体の明暗バランスが崩れてしまうからです。
例えば、ベランダのみサッシがある場合、以下のタイミングで撮影するよう心掛けましょう。
・東向き→午後に撮影する
・南向き→朝早く、または曇りの日に撮影する
・北向き→終日撮影可能
また、外観写真はあえて暗くなってから撮影することで、幻想的な雰囲気を醸し出すこともできます。
④色の鮮やかさを調整する
「彩度」を上げると、それぞれの色味が強調されて、華やかさや温かみが増します。
反対に、「彩度」を下げれば水回りを清潔感のある写真に変身させることができます。
左は古くて汚く、右は清潔感のある印象を受けたのではないでしょうか?
ユニットバスやトイレは経年劣化による黄ばみ以上に、「設置されている電球の色」の影響が強く、実物は右側の印象に近くても、写真では左側のように映ってしまいます。
「電球色」はオレンジ色で温かみのある色合いが安心感やリラックスを与えてくれますが、写真では黄ばみに変化してしまうため、撮影時だけ「昼白色」の電球に交換しましょう。
それでも黄ばみが目立つ場合や埋め込み式のダウンライトなどの場合は「彩度」を下げて加工しましょう。
⑤広角レンズで部屋を広く撮影する
普通のレンズでは画角が足りないため、基本的に広角レンズ・広角モードで撮影しましょう。
例えば、こちらは広角レンズで撮影した写真です。
しかし、普通のレンズでは赤線の枠まで画角が狭くなってしまい、部屋全体が写りません。
特に広角の有無で大きな影響となるのは、トイレやバスルーム、洗面所といった「水回り」です。
スペースが狭く、あまり引いて撮影できないため、普通のレンズでは撮影が困難です。
⑥ホームステージングを実施する
ホームステージングについてはこちらの記事で解説しています。
同じ賃貸物件を賃貸募集するとしたら、どちらが早く決まりますか?
【成約事例】既存の資源活用と差別化戦略で満室実現!
【成約事例】ホームステージングと見晴らしの良さPRで成約
ホームステージングは写真撮影でも大きな威力を発揮し、退去直後に何もない状態で撮影して募集しても問い合わせがなかった物件が、ホームステージングを実施して撮影し直したらすぐに問い合わせが来たというケースは珍しくありません。
生活イメージの湧きやすく、写真にも彩りが加えられるので、印象が飛躍的に良くなります。
⑦景色の良い部屋なら窓先と室内を合成する
「この窓先の景色が良いから写したい」と思っても、窓先の明るさに合わせて撮影すると室内が真っ暗になってしまいます。
反対に、いつも通り室内の明るさに合わせて撮影すると窓先は真っ白になってしまいます。
カメラにはダイナミックレンジという機能がありますが、中途半端または極端過ぎと丁度良い感じに撮影できません。
室内と窓先の合成は「PhotoScape」で出来ないため、私は「Adobe Photoshop」を使用しています。
先ほどの2枚の写真を合成するとこのようになります。
高層階に位置している物件や前面に建物がなく見晴らしの良い物件、緑や綺麗な建造物などが見える物件で合成写真を作成すると大きな威力を発します。
「Photoshop」は有料サービスですが、合成だけでなく色味や彩度の加工、角度やレンズの歪み加工など機能が充実していますので、興味のある方はぜひチャレンジしてみてください。
まとめ
今回は賃貸物件の問い合わせ数を増やすために必要な7つの撮影・写真加工のテクニックを紹介しました。
②縦・横ラインを合わせる
③明るさを調整する
④色の鮮やかさを調整する
⑤広角レンズで部屋を広く撮影する
⑥ホームステージングを実施する
⑦景色の良い部屋なら窓先と室内を合成する
本来であれば、空室の賃貸募集を任せた不動産会社がこのようなテクニックを使って撮影・写真加工してくれるのが理想的ですが、残念ながらそこまでやってくれる不動産会社はほとんどないのが実情です。
私は問い合わせ数と成約率を最大化させるために募集業務の一環として行っていますが、大家さんが自ら費用を払ってホームステージングや写真撮影に力を入れたい大家さんは自費で外注しているのが現状です。
ご自身で取り組まなければいけない大家さんは、ぜひこちらの記事を参考に空室対策を実施しましょう。
ご愛読いただきありがとうございました。