【重点対応エリア】不動前(西五反田・下目黒・小山台・小山)

管理費・共益費の設定方法

最新更新日 2026年04月27日
執筆:宅地建物取引士・賃貸不動産経営管理士 三好 貴大

賃料の査定・設定と同時に、「管理費(共益費)をいくらに設定するか」も悩ましい問題だと思います。

共用部や建物の維持に必要なランニングコストを按分するのが良いのか、「大体このくらい」と適当に設定しても良いのかなど、考え方は様々だと思います。
しかし、「管理費」は少し視点を変えると有益な空室対策の手法にもなり得ます。

今回は、私自身が実際に活用している管理費を使った空室対策に加えて、少し法的な視点と具体的なメリット・デメリットにも触れて解説します。

本記事は、当社YouTubeチャンネルで公開している
「管理費(共益費)の設定方法」
という動画の内容を、文字で整理したものです。

管理費・共益費における2つの設定方法

管理費・共益費の設定方法には、大きく分けて2つの考え方があります。

①実際の維持管理コストから按分する方法

一つ目は、共用部分の維持にかかる実費をもとに考える方法です。
例えば、次のような費用があります。

・光熱費
・法令上必要な点検費用
・清掃費
・共用部の維持に必要な修繕費用
・消耗品の交換費用

こうした費用をもとに、「一世帯あたりどのくらい負担していただくのが妥当か」を考えて管理費を設定する、という方法です。

分譲マンションの管理費も、基本的にはこの考え方に近く、建物全体の共用部分を維持するために必要な費用を、各住戸の専有面積などに応じて按分する仕組みになっています。

②募集戦略として管理費を設定する方法

もう一つが、私が実務上特におすすめしている方法です。
それは、検索を考慮して戦略的に管理費を設定する方法です。

なぜなら、実際の募集現場では、管理費の設定次第で検索結果へのヒット率や成約スピードが変わるからです。

実費按分方式は理想的ですが、実務では難しい面があります。
まず、実費をもとに管理費を設定する方法は、一見すると非常に合理的です。
しかし、実際に細かく計算しようとすると、悩ましい面があります。

固定的な費用と変動費用が混在します

共用部分の維持費には、毎月ほぼ一定でかかる費用もあれば、季節によって変動する費用もあります。
さらに、普段は発生しないものの、突発的に必要になる支出もあります。

具体的には
・電気代は季節や使用状況で変わる
・水道代も物件によって変動がある
・突発的な修繕費はいつ発生するか読めない
といったものが挙げられ、実際にはそれだけではありません。

このように考えると、きれいに「一世帯あたりいくら」と算出するのは、実はかなり難しいのです。

実務では感覚的に決められていることも多い

そのため、現実には、そこまで厳密に計算しているケースは多くありません。

例えば、
・管理費は数千円程度にしておこう
・面倒なので管理費はゼロにして賃料だけで考えよう
・近隣相場に合わせて何となく決めよう
といった具合です。

もちろん、それが直ちに悪いわけではありません。
ただ、もし空室対策や募集戦略まで踏まえて考えるのであれば、もう一歩踏み込んだ設定が有効になることがあります。

検索を考慮した設定方法

家探し人が部屋探しをする際、多くの場合はSUUMOやホームズなどのポータルサイトで検索します。
その際、賃料条件は多くの場合、5,000円刻みや10,000円刻みで絞り込まれます。

ここで重要になるのが、賃料と管理費の見え方の違いです。

例えば、賃料99,000円+管理費2,000円=合計101,000円という物件があるとします。

この物件は、総額では10万円を超えています。
しかし、ポータルサイトによっては「管理費を含む」で検索しなければ、賃料99,000円として、10万円以下の検索結果に表示されることがあります。

つまり、検索条件次第では、本来総額が10万円を超えていても、借主の目に触れる可能性が高くなるのです。

業者間サイトのレインズでは、さらにこの効果が大きくなります。
本記事執筆時点では、レインズは一般用ポータルサイトと異なり、「管理費を含む」というチェック欄はありません。
そのため、不動産業者が物件探しをする際には、必然的に賃料ベースで検索されることになります。

そのため、賃料部分を検索上有利なラインに合わせるという発想は、実務上かなり有効です。

管理費・共益費の法的な違い

「管理費」と「共益費」は、名称が違うだけで、実務上はほぼ同義語として扱われることが多いです。
重要なのは名前ではなく、そのお金をどのような主旨で受領しているかという実態です。

例えば、契約書のタイトルが「合意書」でも「覚書」でも、法律上はタイトルではなく中身で判断されます。
これと同じように、管理費か共益費かも、名称そのものより実質が重視されます。

また、法的には、概ね次のように整理されます。

【賃料】
専有部分、つまり借主が実際に使用する部屋そのものの対価

【管理費・共益費】
共用部分を維持・管理するための費用

これらは物上代位の対象になるかならないか、といった実務上ほとんど関わることのない違いはありますが、ほぼ同義として考えても問題はありません。

オーナーにとってのメリットとデメリット

では、賃料を戦略的に管理費へ割り振っていくことに対して、オーナーにとってはどのようなメリットとデメリットが存在するのでしょうか。

メリット①:検索にヒットしやすくなる

これは最大のメリットです。
賃料部分をきりのよい金額に調整することで、検索条件に引っかかりやすくなります。

メリット②:早期成約につながる可能性がある

検索ヒット率が上がれば、当然反響も増えやすくなります。
結果として空室期間の短縮につながる可能性があります。

デメリット①:敷金が減る可能性がある

敷金は「賃料の○か月分」で設定することが一般的です。
そのため、賃料を下げて管理費に回すと、敷金の基準額も下がってしまうことがあります。

もっとも、最近は住居系物件では敷金ゼロや1か月程度の設定も多く、この点が大きな問題にならないケースも増えています。

借主にとってもメリットとデメリット

次に、借主にとってはどのようなメリットとデメリットがあるのでしょうか。

メリット:初期費用が抑えられる

借主にとっては、実はかなり大きなメリットがあります。

礼金、敷金、仲介手数料などは、基本的に賃料を基準に計算されます。
そのため、賃料部分が減ることで、初期費用が軽減されます。

例えば、月額の総額が同じでも、賃料110,000円・管理費無に対して、賃料100,000円・管理費10,000円の場合、敷金・礼金・仲介手数料が全て1か月ずつだった場合は、31,000円の初期費用軽減が見込めます。

仮に単身用の引越で安価な引越業者を選んだ場合、荷物が極端に多くなければこのぐらいの金額で行ってくれるため、引越代が浮くといっても過言ではありません。

デメリット:無

実務上、借主側のデメリットはほとんどありません。

一方で、オーナー側としては、「これだけ管理費を払っているのに、ちゃんと管理されていないのではないか」という声が出るのではないか、と心配される方もいらっしゃいます。

しかし、そのような借主は「管理費が少し高いように感じますが、その理由はありますか?」と質問されるケースが多いです。
そのように質問される方と契約するかどうかは別として、事前に説明すれば、ほとんど問題になりません。

例えば、次のように説明すれば納得を得られます。

「この物件は、賃料と管理費に分けて表示していますが、総額としてはこの金額で貸したいという考え方です。
賃料を少し抑えて管理費に振り分けているのは、検索にヒットしやすくしたいというのが本音です。
ただ、これは借主にとってもメリットがあり、敷金や礼金、仲介手数料は賃料に対して計算されるので、この方が初期費用も安くなります

実際、私の経験では、この説明で問題になったことはほとんどありません。

もし気さくな方であれば、「もしよろしければ賃料に全てまとめて、管理費を無にすることもできますよ?笑」と冗談を言っても良いかもしれません。

管理費に割り振る目安

では、具体的に管理費をいくらに設定すればよいのでしょうか。
私自身は、賃料の5%~10%程度を一つの目安にしています。

例①:55,000円の物件

賃料50,000円
管理費5,000円(10%)

このくらいであれば、違和感はそれほどありません。
実際にもよく見かける設定です。

例②:100,000円の物件

賃料95,000円
管理費5,000円(約5.3%)

このくらいは非常に自然です。
一方で、賃料90,000円・管理費10,000円(約11.1%)になると、少し管理費が高く感じられるかもしれません。

例③: 110,000円の物件

賃料100,000円
管理費10,000円(10%)

高額帯の物件は注意

総賃料20万円くらいまでの物件であれば、これまで紹介したイメージで問題ありません
しかし、それ以上の物件の場合には、もう少し割り振る割合を下げる必要があります。

例えば、
賃料40万円・管理費4万円(10%)
賃料50万円・管理費5万円(10%)
となってくると、割合としては同じでも、管理費の絶対額がかなり大きく見えます。

タワーマンションや高級分譲マンションのようにサービスがしっかりしている建物であれば問題ありませんが、一般的な賃貸マンション等では借主側に違和感を持たれる可能性があるので注意が必要です。

おわりに

これまで長期空室でお困りの物件を数々対応してきましたが、一部にはこの戦略だけで成約したケースもあります。

この手法を応用した事例として、駐車場付き一戸建てがあります。
いま実施したらポータルサイトの運営会社から怒られる(当時も?)かもしれませんが、一戸建てを検索する方もいれば、そもそも一戸建ては出てこないと決めつけて、検索すらしないという方も一定数います。

そこで、マンション・アパートの方にも掲載し、元々175,000円でしたが、
・賃料140,000円
・管理費10,000円
・駐車場代25,000円(同時契約必須・分離解約不可の特約付き)
で募集したところ、まさに「一戸建てなんて借りられるとは思っていなかった」という方でご成約したケースもあります。

管理費は単なる形式ではなく、募集戦略の一部として活用していただければと思います。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。

PREV