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借地借家法における「借地」の基礎知識

最新更新日 2026年02月17日
執筆:宅地建物取引士・賃貸不動産経営管理士 三好 貴大

「借地」はあまり関わる機会の多いものではありませんが、借地上に建物を所有している大家さんや、地主として土地を貸している方にとっては大きく関わるものです。
また、そのような家主や地主の方と関わる賃貸管理会社は知っておくべき知識は少なくありません。

まず、借地借家法の借地に関する規定は、建物を建てる目的で土地を借りる場合に適用されます。
そして、「借地権」とは、土地を借りて建物を建て、土地上を使用する権利のことを意味します。

今回は借家と同様に、普通借地・定期借地・事業用定期借地の違いを比較しながら、借地に関する基礎知識について解説します。

本記事は、当社YouTubeチャンネルで公開している
「借地借家法~借地~」
という動画の内容を、文字で整理したものです。

専門用語の整理

借地の話でまず混乱しやすいのが、当事者の呼び方です。
「借地権者」と聞くと、土地を所有している地主を思い浮かべる方もいらっしゃいますが、法律上の借地権者とは、土地を借りている人、つまり「借地人」を指します。

一方で、「借地権設定者」とは、土地を貸している側、すなわち「地主」のことを指します。
ちなみに、土地を利用できる(建物を建てられる)権利を「借地権」と呼びますが、借地権の設定された土地を「底地」と呼びます。

つまり、借地権は借地権者(借地人)が持っており、底地は借地権設定者(地主)が持っていることになります。

借地の種類

普通借地と定期借地の違い
借地には、大きく分けて「普通借地」と「定期借地」があります。さらに、定期借地の中には「事業用定期借地」などの類型があります。

契約期間の違い

普通借地

普通借地の場合、契約期間は30年以上と定められています。
仮に30年未満の期間で契約をしたとしても、法律上は最初の契約期間は30年とみなされます。
これは、借地権には建物を建てるという前提があり、短期間で契約が終了してしまうと、借地人にとって著しく不利になるためです。建物の賃貸借とは異なり、借地ではより長期の安定性が重視されています。

定期借地

定期借地の場合は、50年以上の契約期間を設ける必要があります。
せっかく建物を建てたにもかかわらず、数年で契約が終了してしまうのは酷であるという考え方が背景にあります。

事業用定期借地

事業用定期借地では、居住用ではなく事業用建物であることから、契約期間は10年以上50年未満とされています。

上記を整理すると以下のようになります。

普通借地→30年~
定期借地→50年~
事業用定期借地→10~49.9年(50年未満)

契約方法の違い

普通借地

法律上は書面でなくても契約は有効とされています。
これは、過去に口約束で土地を貸し借りしていた時代背景を考慮したものです。
もっとも、現代の実務において口頭のみで借地契約を結ぶことは、ほぼありません。

定期借地・事業用定期借地は書面必須

定期借地では、必ず書面による契約が必要です。
さらに、事業用定期借地では、公正証書による契約締結が義務付けられています。

これは、事業用建物を前提とした借地では、金銭的規模が大きく、トラブルも発生しやすいため、後日の紛争を防止する目的があります。

更新

普通借地では、最初は30年以上の契約を結びますが、
・最初の更新:20年以上
・2回目以降の更新:10年以上

と短縮することが可能です。
実務上は、20年ごとに更新されているケースが比較的多い印象です。

一方で、定期借地および事業用定期借地には、普通借家と同様に更新という概念がありません
契約期間が満了すれば、原則として契約は終了します。

もっとも、定期借地制度が創設されてからまだ50年が経過していないため、実務上、満了時の対応については、今後の動向を注視する必要があります。

定期借地の活用事例

近年では、定期借地を利用した分譲マンションも増えています。
70年や80年といった長期の定期借地とすることで、将来契約満了時に建物を解体し、更地で返還する義務があります。

区分所有者の建て替えの合意形成が難航して、老朽化が進んでいるのに建て替えできない分譲マンションが増えていることを考えると、ある意味健全な気もします。

土地の所有権を取得しない分、当初は価格を抑えて分譲されましたが、ものすごいスピードで完売し、転売も盛んだったため、実際には所有権マンションと大きく変わらない価格で取引されているケースが増えているようです。

譲渡・建て替え・転貸の承諾

借地権の譲渡、建て替え、転貸を行う場合には、必ず地主の承諾が必要です。
無断でそれらを行った場合、契約解除のリスクがあります。

しかし、地主が正当な理由なく承諾しない場合には、裁判所に申し立てることで、地主の承諾に代わる許可を出すことができます。
これを「非訟(ひしょう)」と呼びます。

これは借地特有の制度であり、借家にはないため注意しましょう。

実務上の重要ポイント

その他、借地特有の精度がありますので、重要なものを3つ紹介します。

建物登記による対抗要件

借地人名義で建物を建て、所有権保存登記を行っていれば、賃借権設定登記がなくても第三者に対抗できます。

建物滅失時の対応

火災や地震で建物が滅失した場合でも、
・必要事項を記載した掲示を行い
・2年以内に再築する

ことで、引き続き借地権を第三者に対抗できます。

なお、掲示する内容は以下となります。
・建物を特定するために必要な事項
※所在、家屋番号、種類、構造、床面積、所有者
・滅失があった日
・建物を新たに築造する旨

掲示物が常に適切に設置されているかの管理も重要です。

契約終了時の建物買取請求権

契約満了や更新拒絶により借地が終了する場合、借地人は建物買取請求権を行使できます。
契約期間中であっても、当事者双方の合意があれば、地主が借地権を買い取る形で契約を終了させることも実務上行われています。
なお、無償返還は、税務上「贈与」と判断されるリスクもあるため、注意が必要です。

おわりに

借地は、建物の賃貸借以上に、期間・承諾・税務・将来リスクといった点で複雑な側面を持っています。
個別の事情によって結論が大きく変わることも多いため、トラブルが予想される場合には、早めに専門家へ相談することをおすすめします。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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