使用貸借とは、「無償で物を貸し借りする契約」をいいます。
賃料を受け取って貸す場合は「賃貸借」となり、ここが大きな違いです。
「無償で貸し借りする契約なんて、することあるの?」と思われるかもしれませんが、あまり多くはないものの不動産業界では時折関わる機会のあるものです。
今回は、その「使用貸借」について解説します。
本記事は、当社YouTubeチャンネルで公開している
「使用貸借」
という動画の内容を、文字で整理したものです。
契約は諾成で成立する
使用貸借は「諾成契約」であり、書面を作成することも可能ですが、書面がなくても口約束で契約が成立します。
具体的な使用貸借の例
ちなみに、よくある使用貸借の登場場面は次のようなケースです。
・親が所有する土地を、子どもに無償で貸し、そこに家を建てて住まわせる場合
・空いている敷地に、無料で車を停めさせてあげる場合
これらはいずれも、使用貸借に該当します。
使用貸借の解除ができる場合・できない場合
使用貸借を解除(解約)する場合は、口約束か、書面で契約しているか、によって取り扱いが異なります。
また、物件の「引渡し前」と「引渡し後」でも取り扱いが異なります。
なお、「貸主」「借主」という言葉は、慣れないと段々分からなくなっていってしまいますので、本記事では、貸す側をオーナー、借りる側を借主として説明します。
引渡し前の場合
オーナーと借主が口約束のみで使用貸借をしている場合は、原則としてどちらからでも解除することができます。
一方で、書面で契約している場合には注意が必要です。この場合、借主は解除できますが、オーナー側からは原則として解除できません。
引渡し後の場合
目的物を引き渡した後であっても、借主はいつでも解除が可能です。しかし、オーナー側の解除には制限があります。
期間と目的による違い
契約時に期間が定められている場合は、その期間が満了すれば、契約は終了します。
一方で、「新築が完成するまで住んでよい」というように、目的が明確な場合には、その目的を達成するために必要な期間が経過するまでは、オーナーは解除できません。
ちなみに、期間も目的も定められていない場合は、オーナー側からも解除が可能とされています。
使用貸借が終了する事由
使用貸借は、解除以外にも次のような事由で終了します。
・期間が満了したとき
・目的が達成されたとき
・借主が死亡したとき
特に最後の「借主が死亡したとき」は重要です。
賃貸借では、賃借人の地位が相続されますが、使用貸借では相続されません。
そのため、無償で借りていた人が亡くなった場合、原則として契約は終了します。
なお、オーナー側が亡くなった場合には、貸主の地位は相続されるため、直ちに退去を求めることはできません。
必要費の請求はできるのか
使用貸借では、無償で貸し借りしている関係であるため、必要費は原則として請求できません。
例えば、水回りの故障などが発生した場合、通常はオーナーに修理を依頼しますが、やむを得ず借主が修理したとしても、その費用は自ら負担するのが原則です。
この点は、賃貸借との大きな違いとして、しっかり理解しておく必要があります。
さいごに
今回は使用貸借について、実務上押さえておきたいポイントを中心に解説しました。
無償で貸しているからこそ生じる制約や注意点を理解し、今後学んでいく賃貸借との違いを整理するための基礎としていただければ幸いです。
最後までお読みいただきありがとうございました。


