「登記」は不動産に携わる人は誰もが関わるものです。
不動産売買に関与する方なら相談を受けたり、専門家とやり取りしたりする際、広範囲に渡って理解しておいた方が良い内容も多いですが、賃貸仲介・管理に関係するのはごく一部という印象があります。
しかし、大家さんとしてはご自身の所有する不動産の登記を確認して内容を理解できた方が良いですし、賃貸管理会社としても建て替えや売却に関する話をする際には知っておいた方が良いものです。
今回はその基礎となる知識について解説します。
本記事は、当社YouTubeチャンネルで公開している
「不動産登記法」
という動画の内容を、文字で整理したものです。
登記とは
登記とは、国が整備した「登記簿」という公的なデータベースに、不動産に関する情報を記録する制度です。
例えば、「この土地は自分のものだ」と第三者に主張する場合、口頭で伝えるだけでは信用されにくいのが現実です。
そこで、国が管理する登記簿に情報を記録し、誰でも確認できるようにすることで、
・誰が所有者なのか
・どのような権利が付いているのか
を明確にし、第三者に対して権利を主張できる仕組みが作られています。
登記制度があることで、不動産取引におけるトラブルは大幅に減少しています。
表題部と甲区・乙区
登記簿は、大きく分けて三つのブロックで構成されています。
表題部
登記簿の最上部に記載されているのが「表題部」です。
ここには、不動産の物理的な情報が記載されています。
例えば、所在、地目、土地や建物の面積などです。
住居表示との違いに注意
登記簿に記載される「所在」は、私たちが普段使っている住居表示とは異なります。
例えば、とある物件は「丁目」以降の住居表示は「28-6」となっていますが、地番は「500-4」となっています。全然違いますよね。
そのため、登記簿だけを見ても、場所を直感的に特定することは困難な場合があります。
ただし、公図と言われる登記簿と一緒に取得できる地図と照らし合わせれば、大体の位置を把握することが可能です。
権利部(甲区)
次に記載されるのが、権利部のうち「所有権に関する部分(甲区)」です。
ここでは、現在の所有者、過去の所有者、取得原因(売買・相続など)、登記された年月日といった履歴を確認することができます。
転売が繰り返されている不動産であれば、その履歴が時系列で記載されているため、不動産の「経歴書」のような役割を果たしています。
権利部(乙区)
権利部のうち、「所有権以外の権利」に関する部分(乙区)です。
主に、抵当権の有無(無の場合は空欄)、抵当権者(金融機関など)、債権額、設定日といった情報が記載されています。
不動産を購入・売却する際には、この乙区の内容確認が極めて重要になります。
なお、その下には「共同担保目録」「信託」に関する情報も記載される場合がありますが、まずは「上から順に、物件情報 → 所有者 → 抵当権」という構成であることを押さえておくと理解しやすいでしょう。
登記の種類と義務の有無
不動産登記には、必ず登記しなければいけないものと、任意で登記するものがあります。
それぞれどのような登記の種類が義務・任意どちらなのか紹介します。
義務登記①:表示登記
表示登記とは、表題部に関する登記のことです。
土地は基本的にすでに登記されていますが、建物は新築時点では登記されていません。そのため、建物を新築した場合には、「この場所に、この建物が建ちました」という内容の表示登記を行う必要があります。
義務登記②:滅失登記
反対に、建物が取り壊されて無くなった場合には、滅失登記を行う必要があります。
義務登記③:相続登記
近年の法改正により、相続登記は義務化されました。
相続登記が行われないまま相続が繰り返されると、
・所有者が不明確
・権利関係が複雑化
・上記により売却や活用が困難
といった問題が発生します。
この「所有者不明土地問題」を防ぐため、相続登記が義務となっています。
義務登記④:住所・氏名変更登記
相続登記が済んでいても、所有者がどこに住んでいるのか分からないといった場合は相続登記と似たような問題が発生してしまいます。
住所や氏名が変わっている場合には、近年の法改正で変更登記も義務化されました。
以上が義務化されている登記です。
以下は任意とされている登記です。
保存登記
保存登記とは、所有権を初めて登記する手続きです。
義務ではありませんが、第三者との紛争防止のため、実務上は登記しておくことが一般的です。
実際には、保存登記がされていない建物も存在します。
余談ですが、某有名テーマパーク内の建造物の表題登記を見たことがありますが、こちらは保存登記がされていませんでした。誰が見てもどこが所有者なのか分かりますからね・・・
興味があれば取得してみてください。
設定登記(抵当権)
抵当権設定登記も任意登記ですが、金融機関が関与する以上、実務上は必ず行われます。
貸付金回収の安全性を確保するためです。
登記を担当する専門家の違い
登記=司法書士というイメージが強いですが、すべてが司法書士の業務ではありません。
司法書士は、所有権・抵当権・相続・変更登記といった、外観からは見えない権利を登記する仕事を扱っています。
反対に、表示登記や滅失登記のように、外観で見えるものの登記は「土地家屋調査士」が扱っています。
つまり、「目に見えるものは土地家屋調査士、見えないものは司法書士」という整理で理解すると分かりやすいでしょう。
さいごに
不動産登記は、不動産取引や管理のあらゆる場面で関わってきます。
今回解説した内容は、最低限押さえておくべき基礎知識です。
登記簿を正しく読み取れるようになることで、不動産のリスクや状況を的確に把握できるようになります。
ぜひ、実際に登記簿を取得し、確認してみてください。
最後までお読みいただきありがとうございました。


