インターネットで見つからない古い路線価図を調べるには?

最新更新日 2023年12月19日
執筆:宅地建物取引士・賃貸不動産経営管理士 三好 貴大

主に相続税評価額などを算出する際に使用される「路線価図」ですが、地主さんが土地の賃貸借(いわゆる借地)の更新を行う際、更新料の算出や地代の見直しなどでも参考資料として使用します。

本執筆時点では、最新を含め7年分の路線価図であれば国税庁が公表しており、平成18年(2006年)までであれば「路線価保管庫」で調べられますが、それ以前の路線価図は残念ながらインターネット上では見つかりません。

国税庁 財産評価基準書 路線価図・評価倍率表
路線価保管庫

また、「路線価保管庫」の内容は正しいものと思われますが、もし出元を聞かれた場合に信憑性に不安が生じる可能性もあると思います。
そんな時は「国立国会図書館」に行くことで、国税庁のホームページで閲覧できない年代の路線価図も確認し、コピーを取得することができます

国立国会図書館

しかし、一般の図書館のような感覚で行くと非常に混乱してしまうのも「国立国会図書館」です。
今回は「国立国会図書館」へ行くところから古い路線価図の写しを取得するまでを解説します。

国会図書館の場所と入館の注意点

国会図書館は「永田町」駅が最寄りで、2番出口から出てすぐ左の信号を渡ればあります。
信号を渡っておおよそ200mくらい歩き、左側の階段を降りれば到着します。

開館時間は日曜日・祝日・第3水曜日以外の9時30分~19時(土曜日は17時)ですが、各種受付の時間はその限りではなく、土曜日は抽選での入館規制などがあるため、以下の利用時間・休館日を確認してから行くようにしましょう。

国立国会図書館 利用時間・休館日

入館の際は持ち込み禁止のものがあるため、棚に掛かっている貸し出し用の透明なハンドバッグを取り、100円のコインロッカー(取り出し時に返金されます)に荷物を入れ、必要なものや貴重品だけハンドバッグに入れて入館しましょう。

しかし、ここで引っかかるのが「登録利用者カード」です。
私も最初に行った際は、恥ずかしながら普通に入ろうとして入館できなかった思い出があります。

登録利用者カードの作成・取得

本館を出てすぐ目の前には新館があります。
新館に入ると正面に案内の方がいるため、初めて来たことを伝えると登録用紙がもらえます。

必要事項を記入して運転免許証などの身分証と一緒に受付に提出すると、番号の書いた注意事項の紙がもらえます。
少し待っていると番号が呼ばれ、登録利用者カードや初期パスワード、その他注意事項の紙などを受け取れます。
混み具合によりますが、私は10分くらいで呼ばれました。

事前にインターネットで手続きできればもっとスムーズに受け取れると思います。

路線価図の検索・閲覧申請

登録利用者カードを取得した方も新館から本館まで建物内で繋がっていますので、最寄りの入口から登録利用者カードをタッチして入館しましょう。

入館するとパソコンが置いたデスクが大量にありますので、空いている席に座ってカードリーダーに登録利用者カードを置くとパソコンが使えるようになります。
初期パスワードを入力してログインし、今後も利用予定があればパスワードを記憶できるものに変更しましょう。

検索欄で「路線価図+(年代)+(市区町村名)」を入力して検索します。
例えば「路線価図 平成15年 品川区」などと検索すれば、以下の2つがヒットします。

路線価図 (財産評価基準書 ; 平成15年分 第16分冊)
路線価図 (財産評価基準書 ; 平成15年分 第6分冊)

どちらでも良いですが、品川区・目黒区・大田区なら前者の「第16分冊」を選択して進めていき、閲覧の申込が完了すると右上に表示されている進捗状況が砂時計になります。
分かり辛い場合は、手元に申請方法の分かる冊子がありますので、それを参考にしましょう。

砂時計がレ点のようなマークに変わったら本館の「図書カウンター」に路線価図の冊子が届いたことの知らせとなります。
本館「図書カウンター」の受け取り窓口に登録利用者カードを持って行くと、路線価図の冊子が受け取れます

路線価図の複写(コピー)申請

ご自身のコピーしたいページを見つけたら、図書カウンターの裏手にある「本館複写カウンター」に行き、プリンターの隣にあるパソコンで複写の申込を行います。
新館にも複写カウンターはありますが、図書カウンターが本館なのでわざわざ行くのも面倒です。混んでいる場合だけ新館に行ってみましょう。

申請時に「即日複写」と「後日郵送複写」を選択できますが、混雑していなければ「即日複写」で申請完了から15分前後でコピーを受け取れます
「後日郵送複写」は3営業日必要となり、送料も発生するため、特段の理由がなければ「即日複写」が良いです。

パソコンで申込申請が終わった後はプリンターのカードリーダーに登録利用者カードを置くと、自動的に申込用紙が印刷されます。
分かる範囲で記入し、受付に持っていくと申請手続きは完了です。

ページ数は路線価図の年代の下に記載のある5桁の番号を記入し、見開きでコピーする場合は2ページ分と記載しますが、分からない場合は空欄で持っていくと受付で記入してくれます。
混雑状況によりますが、約10~15分ほどで受け取れます。

番号での呼び出しなどはありませんので、「路線価図の検索・閲覧申請」が出来るパソコンで再度ログインし、複写申請部分にある砂時計がレ点のようなマークに変わったら受け取れます

複写するものによりますが、路線価図は見開き1ページ(2ページ)であればA3複写で47円です。
現金だけでなく、多くの電子マネーで決済できますので、小銭を持っていなくても安心です。(クレジットカードは使えません)

複写サービスについてはこちらを参考になさってください。
国立国会図書館 来館複写サービス(東京本館)

用事が済んだら荷物をコインロッカーから取り出して退館しましょう。

インターネット上でも申請できる!

路線価図の場合は、基本的に先述したページ数(路線価図の年代の下に記載のある5桁の番号)は年代が違っていても同一のため、一度利用登録していれば欲しい年代の路線価図の写しをインターネットで申請し、郵送で取り寄せることができます

国立国会図書館オンライン

遠方にお住まいの方、平日や土曜に時間が取れない方、取り寄せに日数が掛かっても良い場合には非常に便利なので、交通費や往復の時間を考えれば積極的に活用したいですね。

細かい部分は割愛していますが、こちらの記事を読んでから国立国会図書館へ行けばあまり迷うことはないと思います。
ご愛読いただきありがとうございました。

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