賃貸物件の管理を任せたいと思ったとき、「管理はどのくらいの範囲でお願いできるのか」が分かり辛い方も多いです。
今回は賃貸管理会社にお願いできる業務内容について解説します。
主な賃貸管理会社の業務
代表的なものは以下となります。
集金代行(滞納時の督促)
家主の代わりに賃借人から家賃を集金し、管理委託契約で定めた日に家主へ送金します。
もし家賃滞納が発生した際は、家主に代わり督促を行います。
トラブル対応窓口
賃貸経営には様々なトラブルが発生します。
・エアコンや給湯器などの不調や故障といった「設備トラブル」
・騒音や未分別ごみなどの「人的トラブル」
・台風や火災などの「災害トラブル」
などが代表的です。
それらのトラブルが発生した際、借主や入居者からの連絡を受け付け、家主に代わって対応を行います。
貸室の鍵保管
入居者が鍵を室内に置き忘れてしまった場合に開錠を行ったり、火災や安否確認で室内を確認するために立ち入ったりするため、貸室の鍵を保管します。
賃貸管理業務と契約事務、更新等の事務
上記を見ると、
「あれ?入居者の募集は管理会社がやるんじゃないの?」
「退去の立会いや清算も管理会社の仕事じゃないの?」
と疑問に思う方もいらっしゃると思います。
入居者募集(空室の賃貸募集)は、賃貸借契約を成立させるために不動産会社が行う「媒介業務」となりますので、管理業務とは別になります。
中には賃貸管理だけを行う会社があり、媒介業務を他社に任せているケースもあります。
また、退去立会や退去清算は賃貸管理会社が行うことが一般的ですが、もし家主による自主管理の場合は賃貸借契約を締結した媒介業者が次の入居者募集とセットで行っていることが多く、必ずしも賃貸管理業務として行っている訳ではありません。
加えて、更新業務や再契約業務に関しても退去立会や退去清算と同様に、基本的に賃貸管理会社が行いますが、もし自主管理の場合は媒介業者が行うケースが多いです。
そのため、上記の賃貸借契約に伴う手数料や更新・再契約業務に掛かる手数料は、管理料(管理委託料)とは別途支払うケースが一般的です。
賃貸管理会社と建物管理会社の違い
ちなみに、賃貸管理とは不動産業界の専門用語で「プロパティ・マネジメント」や「PM(ピーエム、Property Managementの略)と呼びます。
また、それとは別に「BM(ビーエム、Building Managementの略)という言葉があり、これは「建物管理」や「ビル管理」と呼ばれるものです。
賃貸管理(PM)では、冒頭でお伝えしたような借主や入居者に対しての管理業務を行いますが、
建物管理(BM)では、建物の共用部分の清掃や景観の管理、設備点検、法令点検など、”人”ではなく”建物”の管理を行います。
不動産業者同士が話す際は、
「御社のPM費はいくらですか?」「BM費はいくらぐらいになります?」
といった言葉のやり取りが行われることがありますが、「管理委託料はいくら?」「建物管理の費用はいくら?」という意味になります。
賃貸管理で依頼される「よくある勘違い」
最後に、賃貸管理の一環としてお願いされる中で、実は賃貸管理会社では法律的に行ってはいけないという業務がありますので、代表的なものを紹介します。
①税務相談や確定申告
税務相談や確定申告の業務は「税理士」または「税理士法人」だけが行えると税理士法で定められています。
ただし、一般的な税金に関する法律を説明するだけなら違法にはなりませんので、「こんな特例がありますよ」「一般的にはこういった計算式になっています」という説明は受けられます。
②報酬をもらって立退き交渉
簡単に表現すると、報酬を得る目的で紛争(揉め事)の仲裁を行ったり、法律事務を行ったりすることは「弁護士」または「弁護士法人」だけが行えると弁護士法で定められています。
ちなみに、弁護士等ではない人が紛争の仲裁を行ったり法律事務を行ったりすることを「非弁行為(ひべんこうい)」と呼びます。
借主との賃貸借契約を交渉して解除させ、お部屋を明け渡してもらうことは「法律事務」に該当すると、平成4年3月6日に広島高裁で判決が出ています。
家主の代わりに解約の意思を借主に通知し、借主の意思でお部屋を明け渡してもらえる場合は非弁行為にはなりませんが、報酬を得て立ち退き交渉を行うことは「非弁行為」に該当し、弁護士法違反になる可能性が高いです。
③家賃滞納の過度な督促
賃貸管理で集金代行を任せたら「管理会社が何としてでも家賃を回収してくれる」と認識している家主もいます。
しかし、賃貸管理会社ができる範囲とできない範囲があり、その線引きも多少曖昧な部分もあります。
集金代行についてはまた次回のブログで解説します。
最後に
このように、賃貸管理会社にお願いできること、できないことがあり、管理料とは別に費用の掛かる業務もあります。
賃貸管理をお願いする際には「何をお願いしたいのか」を伝えるとともに、「どのような賃貸管理をしてくれるのか?」とそれらの費用を確認しておくことで、「事前のイメージと違っていた・・・」ということを防ぐことができます。
また、基本的な管理内容の確認はもちろんですが、付加価値としてどのようなことをしてくれるのかも大事なポイントです。
その指標の一つとして、当社ではこのような付加価値を提供しています。
ご愛読いただきありがとうございました。