入居審査時の確認事項③言動・行動

最新更新日 2024年09月27日
執筆:宅地建物取引士・賃貸不動産経営管理士 三好 貴大

前々回は「入居審査時の確認事項①書類」ということで、入居審査に関する賃貸業界の現状と、「書類確認」での代表的なチェックポイントをお伝えしました。前回は「入居審査時の確認事項②」ということで、内見者の外見でのチェックポイントをお伝えしました。

今回は入居審査時の確認事項では最終回となる【言動・行動】について、それぞれを三段階の危険度で評価してお伝えします。

 

~ 第三回【言動・行動】でチェックするポイント ~

 

舌打ちする癖がある・・・危険度★★★

間違いなく素行が悪いので、騒音トラブルやマナー違反が発生しやすく、注意喚起する際も高圧的な態度が多いため、間違いなくやめておきましょう。

 

 

建具や収納扉の開閉が乱暴・・・危険度★★★

このタイプの舌打ちと同様に素行が悪いケースが多いので、やめておいた方が無難です。

 

 

細かい部分もやたらと確認してくる・・・危険度★★★

入居してからしばらくは確認事項や微細な修繕対応等、問い合わせが相次ぐケースが多いです。また、大きな特徴は、何かトラブルが発生した際に必ずと言っていいほど「法律論」が出てきて、金銭的な解決方法に落ち着くケースが多くみられますので、なるべく避けた方が良いでしょう。

 

 

音に対して過敏・・・危険度★★★

入居後、左右の隣室世帯や上階から発生する普通の生活音でも「うるさい」と騒音の苦情が寄せられる可能性が高く、解決が難航するケースが多いです。内見時にやたらと周りの音を気にしたり、自ら壁をノックして壁の材質を確認したりする場合は音に敏感な可能性があります。また、「この建物(お部屋)で騒音の問題はありましたか?」と質問された場合は、過去に騒音トラブルがあった場合は正直に伝えましょう。

音に敏感そうな気配がした際は、必ず「引越し理由」と「詳細」をヒアリングしましょう。「隣室で頻繁に”飲み会”が行われていて眠れない」「上階に”子供”連れの家族が転居してきて足音がうるさい」など、「発生源が明確になっている」場合は大丈夫なケースが多いです。

ただ、「どこからか家具を移動させる音が聞こえてきて気になっている」「上階の歩く足音がうるさい」など、発生源が明確でない場合は通常の生活音に対しても「うるさい」と感じてしまう敏感な方である可能性が高いです。

 

 

いきなりタメ口で話してくる・・・危険度★★

素行が悪い可能性がありますので、内見時の所作を確認しながらチェックしましょう。ただし、例えば内見者が60代で対応者が20代など、明らかに年齢差が大きい場合は例外です。

 

 

交渉事が多い・・・危険度★★

賃料減額や敷金・礼金の減額、賃料発生日の1か月以上延長など、様々交渉を持ち掛けてくる方は入居後にも様々交渉が発生したり、更新時(再契約時)に様々減額を交渉してきたりする可能性があります。

 

 

内見時に同伴した子供が室内で走り回る・・・危険度★★

入居後にも走り回ったり、泣きわめいたりと騒音トラブルになる可能性があります。また、壁紙への落書きや建具にもたれかかって蝶番が破損するなど、様々破損・汚損のリスクがあります。

その際、親御様が礼儀正しく、子供を注意したり、抱きかかえたりと躾している様子が伺えればある程度安心できますが、親御様自身は内見に夢中で子供を放任している場合は騒音トラブルや破損・汚損トラブルの発生率は極めて高いと言えます。

 

 

やたらと不動産の専門用語を使ってくる・・・危険度★

非常にプライドの高い可能性があり、賃貸トラブルになった際に自身の価値観を強く主張し、健全な話し合いにならないケースがあります。

また、中には不動産会社出身者も混ざっているため、「不動産にずいぶん詳しいようですが、何か不動産業界に携わっていらっしゃるんですか?」とヒアリングし、もしトラブルが発生した際に事情を理解して健全な話し合いができるのか、法律論や自身の価値観を強く主張して話し合いにならない方なのかを見極める必要があります。

 

 

何かと親に確認する・・・危険度★

学生や未成年者であれば別ですが、このような方は些細なものでもトラブルになった際には高確率で親が出てきます。可能であれば事前に親御様と電話や対面でお話をして、入居者本人だけではなく、親御様の人柄も確認しておきましょう。

 

 

以上、入居審査時の確認事項を【書類確認】【外見】【言動・行動】に分け、代表的なチェックポイントをお伝えしました。賃貸トラブル対策では入居前の未然防止が最も重要です。中には審査時に家主様との面談を設けているというケースもあります。

健全な賃貸経営を実現するためには、入居審査は「保証会社が通過すればいい」という考えではなく、人柄も確認して建物の管理状態を良好にしていくことが必要です。

ご愛読いただきありがとうございました。

 

 

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