入居審査時の確認事項①書類

最新更新日 2023年12月28日
執筆:宅地建物取引士・賃貸不動産経営管理士 三好 貴大

お部屋探しのお客様が内見を行い、良い物件が見つかれば申込手続きを行います。そして、不動産会社による「入居審査」が開始されます。その際、どのような審査を行っているかご存じでしょうか?

実態としては、8割以上はほとんど「ノーチェック」です。しいて挙げるとすれば、家賃を支払える年収(※)があるかどうかの確認を行い、家賃保証会社の審査が通過すればOKとしているケースが圧倒的に多いです。

※一般的には、「賃料総額×3倍」を超える税込み月収があるかどうかです。

 

確かに、家賃の支払いに関しては家賃保証会社に加入すれば家賃滞納の心配はなくなり、もし滞納状態が続けば立ち退き交渉に掛かる弁護士費用なども保証してもらえます。しかし、家主様にとって心配なのは、入居中の賃貸トラブルや退去時の原状回復をめぐるトラブルではないでしょうか。

私が最も重要視しているのは、入居者の「人柄」です。人柄さえ問題がなければ、多少のトラブルは賃貸にとって付き物ですが、大きなトラブルに発展するケースがごく稀です。今回は入居者の人柄をチェックする際、私が見ている代表的なポイントを【書類確認】【外見】【言動・行動】に分け、それぞれを三段階の危険度で評価してお伝えします。

 

 

~ 第一回【書類確認】でチェックするポイント ~

 

運転免許証の免許番号下一桁が「3」以上・・・危険度★★★

運転免許証に記載されている免許番号の下一桁は「再発行の回数」となります。再発行をしたことがなければ「0」、紛失や盗難により再発行をしたことがあればその回数が記載されています。「3」以上というのは、3回以上も大事な運転免許証を紛失していることになりますので、「だらしない性格」の方が多いです。

家賃滞納や連絡が繋がり辛い、ごみの分別や曜日を守らない、室内がごみ屋敷みたいになってしまうなど、様々なトラブルが発生する可能性があります。

 

 

退去理由が「騒音」関係・・・危険度★★★

「隣室がうるさいため」「上階の足音がうるさいため」など、騒音関係の退去理由だった場合は、必ず詳細をヒアリングしましょう。隣室で頻繁に”飲み会”が行われていて眠れない、上階に”子供”連れの家族が転居してきて足音がうるさい、など「発生源が明確になっている」場合は大丈夫なケースが多いです。

ただ、「どこからか家具を移動させる音が聞こえてきて気になっている」「上階の歩く足音がうるさい」など、発生源が明確でない場合は通常の生活音に対しても「うるさい」と感じてしまう敏感な方である可能性が高いです。

入居後、左右の隣室世帯や上階から発生する”普通”の生活音でも「うるさい」と騒音の苦情が寄せられる可能性が高いです。飲み会や子供など発生源が明らかであれば対処できるのですが、このようなケースでは「うるさい」と感じている本人に許容してもらうことが唯一の解決方法のため、難航が予想されます。

 

 

1日の喫煙数が5本を超える喫煙者・・・危険度★★

室内での喫煙でクロスがヤニだらけになってしまったり、バルコニーで喫煙して周りの世帯から苦情が入ったりする可能性があります。しかし、電子タバコの場合はヤニ汚れや近隣世帯への臭気や煙による被害がないため、吸っているタバコの種類や自宅でも喫煙するのか等を確認しましょう。

 

 

不動産会社勤務・・・危険度★★

退去時の原状回復費用で揉めるケースが多いです。また、何か漏水や設備の不具合といったトラブルがあった際も法律論で攻め立ててくるケースも少なくありません。

しかし、不動産会社勤務でも不動産売買を中心に行っている方はトラブルになり辛い傾向があり、中には様々な賃貸トラブルを知っていて、かえって寛容になっている方もいるため、話しながらその人の考え方を確認して判断します。ただ、なるべく避けた方が無難です。

(おそらく、私の場合は特に警戒されやすいと思います・・・)

 

 

出稼ぎ系の外国籍の方・・・危険度★★

決して一概には言えないのですが、何かしらの理由により出稼ぎに来ている、という方は生活習慣が日本に馴染んでいないケースが多く見られますので、ごみ出しや物音、室内の破損・汚損、共用部分への私物の放置などでトラブルになるケースが多いです。中には、気付けば単身用の物件に5人以上で住んでいた、なんて場合もあります。

しかし、有名大学への留学生や転勤で日本に来ている方はエリートの方が多く、生活マナーが良い傾向にありますので、問題ありません。日本での生活が10年以上の方も日本の環境に馴染んでマナーを守っているケースが多く見られます。

 

 

退去理由が「騒音」関係・・・危険度★★

「隣室がうるさいため」「上階の足音がうるさいため」など、騒音関係の退去理由だった場合は、必ず詳細をヒアリングしましょう。隣室で頻繁に”飲み会”が行われていて眠れない、上階に”子供”連れの家族が転居してきて足音がうるさい、など「発生源が明確になっている」場合は大丈夫なケースが多いです。

ただ、「どこからか家具を移動させる音が聞こえてきて気になっている」「上階の歩く足音がうるさい」など、発生源が明確でない場合は通常の生活音に対しても「うるさい」と感じてしまう敏感な方である可能性が高いです。

入居後、左右の隣室世帯や上階から発生する普通の生活音でも「うるさい」と騒音の苦情が寄せられる可能性が高く、解決が難航するケースが多いです。

 

 

申込書記載の内容と健康保険証の情報に乖離がある・・・危険度★

申込を受領する際は必ず「健康保険証」も確認するようにしましょう。その理由は「在籍確認」と「勤続年数」を確認するためです。

正社員やアルバイトで生計を立てられるほど収入がある場合は必ず社会保険に加入しています。申込書に「正社員」と記載があるのに、健康保険証が社会保険ではなく「国民健康保険」だった場合は、何かの情報に相違が生じています。

また、勤続10年と記載があるのに、資格取得年月日が半年前と言った場合は、その理由を確認しましょう。会社の合併や出向といった明確な理由があれば問題ないですが、もし説明できなければ嘘を付いている可能性もあります。

 

 

ルームシェアでの入居希望・・・危険度★

ルームシェアの場合はリビングを共有し、各寝室をそれぞれが専有するシェアハウスのような住み方が一般的です。問題となるのは、契約者と他の入居者との関係性悪化により揉めるケースがあることです。例えば、ごみ出しや騒音トラブル、原状回復費用の請求など、トラブル対応を行った際に意思決定者が分散されている可能性があり、スムーズに解決できないケースがあります。

 

ルームシェアで注意するべきポイントは、

①入居する全員と会って人柄を確認する

②他の入居者の発生させた損害は契約者が負担することを説明し、契約で定める

③入居者を無断で入れ替えることは禁止する

などです。

ちなみに、LGBTの方もルームシェアとして申込を希望されるケースが増えてきていると耳にします。その場合は男女のカップルと大した変わりはありませんので、都度判断するようにしましょう。

 

 

以上は申込書や提出書類を確認した際の代表的なチェックポイントですが、他にもブログでは書けないような様々なチェック項目が存在します。

次回は【外見】についてお伝え致します。ご愛読いただきありがとうございました。

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