ごく稀に賃貸物件の申込者や賃借人(借家人)から「固定資産評価額を知りたいので教えてもらえませんか?」と質問があります。賃貸管理会社や大家さんの多くは「なんか怪しい・・・」と警戒してしまうと思いますが、ほとんどのケースで正当な理由がありますのでご安心ください。
質問をする賃借人は必ず「法人」ですが、理由を尋ねると「社宅の兼ね合いで」と答えると思います。社宅の多くは従業員または役員が賃料等の一部を負担し、残りを法人が負担しています。この従業員または役員が賃料等の負担するべき”一部”をいくらにするのか、を考える上で「固定資産税評価額」が必要となります。
法人は社宅を借りた場合、賃料を「地代・家賃」として経費処理できますが、例えば従業員を社宅に無償で住まわせてしまうと、賃料全額が「給与」としてみなされてしまい、従業員は賃料分に対しても所得税や住民税が課税されることとなります。
しかし、一定以上の金額を負担することで、「給与」とはみなされなくなります。その「一定以上の金額」とは、税務上「賃貸料相当額」の50%以上とされています。
「賃貸料相当額」とは、平成31年4月1日時点の法令で以下の3つの合計額とされています。
①(その年度の建物の固定資産税の課税標準額)×0.2%
②12円×(その建物の総床面積(平方メートル)/3.3(平方メートル))
③(その年度の敷地の固定資産税の課税標準額)×0.22%
つまり、上記①と③の計算をするためには固定資産税評価額を知る必要があるのです。そして、一般的に固定資産税評価額を知るためには以下の2つの書類があります。
・課税明細書(固定資産税の納付書に同封)
・固定資産評価証明書(通称「評価証明」)
課税明細書は不動産所有者が持っているものになりますので、大家さんに依頼しなければ確認できません。また、固定資産評価証明書も不動産所有者または不動産所有者が委任した人しか取得できないという認識が強く、賃借人としては管理会社や大家さんに依頼して断られてしまうと諦めるしかないというケースが多いです。
しかし、自治体によっては「賃借人(借家人)」でも取得できますので、大家さんや管理会社で手配しなくても良いケースが多々あります。
もし「固定資産税評価額を知りたいので教えてもらえませんか?」と聞かれた場合は、まず物件の所在する自治体の都税事務所に電話して、賃借人でも取得できるか確認してみましょう。
ご愛読いただきありがとうございました。