近年、賃貸住宅では宅配ボックスの需要が非常に高くなっています。
お部屋探しをされる方の中にも、「宅配ボックスあり」が物件選びの条件にしている方が増えており、空室対策や物件の付加価値向上という意味でも、宅配ボックスは重要な設備の一つになっています。
そこで、宅配ボックスの設置を行うケースも増えていますが、そのまま何もしないケースがほとんどです。
しかし、宅配ボックスは設置して終わりではありません。
定期的に点検していないと、実際には荷物が入っていないのに使用中になっていたり、長期間荷物が放置されたりすることで、すべてのボックスが埋まってしまうことがあります。
その結果、郵便受けの破損や置き配による盗難など、別のトラブルにつながる可能性もあります。
今回は、宅配ボックスで発生しやすい問題と、アナログ式・デジタル式それぞれの具体的な点検方法について解説します。
本記事は、当社YouTubeチャンネルで公開している
「宅配ボックスは点検が大事!ボックスキープと回収漏れの長期入庫」
という動画の内容を、文字で整理したものです。
宅配ボックスが使えなくなる主な原因
宅配ボックスが常に満杯になってしまう原因として、代表的なものは次の3つです。
・荷物が入っていないのにロックされている
・入居者が荷物の存在に気付かず、長期間放置されている
・入居者が宅配ボックスを一時的な倉庫として使用している
それぞれ詳しく見ていきます。
問題①:荷物がないのにロックされる「ボックスキープ」
アナログ式の宅配ボックスで発生することがあるのが、いわゆる「ボックスキープ」です。
アナログ式の宅配ボックスでは、配送業者が荷物を入れた後、入庫者で暗証番号を設定し、不在票にその番号を記載して、入居者の郵便受けへ投函します。
配送業者にとって困るのが、次回配達したときに宅配ボックスがすべて使用中になっていて、再配達となることです。
そこで、荷物が入っていない空のボックスへ適当な暗証番号を設定し、ロックを掛けてしまうのが「ボックスキープ」です。
次回配達に来た際、他のボックスがすべて埋まっていれば、キープしたボックスに入庫します。
ボックスキープは管理側が点検しなければ、ずっと使用できない状態になってしまいます。
問題②:不在票の紛失などによる荷物の回収漏れ
宅配ボックスへ荷物が入ったままになる理由として、入居者自身が荷物の存在に気付いていないケースもあります。
例えば、
・配送業者が不在票を入れ忘れた
・チラシと一緒に不在票を捨ててしまった
・後で取りに行こうと思い、そのまま忘れてしまった
といったケースです。
これは必ずしも悪意があるわけではなく、人為的なミスや偶然によって発生するものです。
問題③:宅配ボックスを倉庫代わりに使用する
一方で、宅配ボックスを意図的に長期間使用しているケースもあります。
例えば、水や飲料などをまとめて購入したものの、室内へ置いておくと邪魔になるため、必要になるまで宅配ボックスへ入れたままにしておくといった使い方です。
一人の入居者が長期間占有すると、他の入居者が利用できなくなりますので注意が必要です。
宅配ボックスが満杯になると別のトラブルも発生する
宅配ボックスの問題は、単に「荷物を入れられない」というだけではありません。
すべての宅配ボックスが埋まってしまうと、そこから別の問題へ発展することがあります。
郵便受けへ無理に荷物を押し込まれる
宅配ボックスが使用できない場合、配送業者が郵便受けへ入りそうな荷物であれば、無理に押し込んでポストを破損させてしまうケースがあります。
宅配ボックスを適切に管理していなかったことが、結果として郵便受けの修理費用につながる可能性があります。
エントランスへの置き配と盗難リスク
いつも宅配ボックスが埋まっていると、入居者によっては宅配を選択することもあります。
特にオートロック付きマンションでは、配送業者が建物内部へ入れなければ、各住戸の玄関前ではなく、オートロック外のエントランスへ置かれることがあります。
そのような場所は、景観上の問題だけでなく、荷物が盗難に遭うリスクがあります。
入居者満足度の低下にもつながる
宅配ボックスがあることを理由に物件を選んだにもかかわらず、実際にはいつも満杯で使えない状態であれば、入居者にとって大きな不満になります。
宅配ボックスだけを理由に退去することは多くないかもしれません。
しかし、複数の不満が重なれば、退去のキッカケになる可能性があります。
設備は、設置していることだけでなく、正常に使える状態を維持することが重要です。
アナログ式宅配ボックスの点検方法
具体的にどのように宅配ボックスを点検すればよいのでしょうか。
まず、暗証番号を配送業者が設定するアナログ式宅配ボックスについて説明します。
①小窓からライトを当てて内部を確認する
賃貸物件で採用されるアナログ式宅配ボックスには、中を確認するための小さな窓が設けられていることが多いです。
そのままだと内部は見えませんが、スマートフォンのライトや懐中電灯を小窓から当てます。
すると、中に入っている荷物をはっきり確認できます。
配送伝票が見える場合には、配送日を確認して、2週間以上経過している場合は、入居者へ連絡をします。
なお、この場合は「2週間以上も入ったままなので、早く回収してください!」といった言い方ではなく、「不在票の入れ忘れの可能性がありますので、よろしければ番号を再設定しておきますが、いかがしますか。」といった伝え方をしましょう。
②配送日が分からない場合は写真で定点観察する
荷物の向きによっては、配送日や宛先を確認できないことがあります。
その場合には、荷物が特徴的な物であればその特徴を記録しておきます。
しかし、普通の段ボールのように特徴がない場合は、宅配ボックスの小窓から、フラッシュを使用して中を撮影し、写真を保存しておきます。
次回の点検時に、写真と全く同じであれば、長期間放置されていると判断できます。
記憶に頼ると「前と同じのような、違うような…」と分からなくなってしまいますので、前記のように記録を残すようにしましょう。
③ボックスキープの場合は解除する
ボックスキープの場合には、管理用の鍵を使用して扉を開け、ロックを解除し、再び使用できる状態へ戻します。
例えば、よく採用されるナスタ社の製品であれば、ロックの反対側から見ると金属板が凹んでいる箇所があります。
それが設定された暗証番号なので、同じ番号を押してノブを回すとロックを解除できます。
デジタル式宅配ボックスは管理者画面を確認する
次に、操作パネルを使用するデジタル式宅配ボックスです。
デジタル式では、管理者用の画面から、
・ 荷物が入庫した日時
・ 荷物が取り出された日時
などを確認できます。
オーナーや管理担当者の中には、宅配ボックスを設置してから、一度も管理者画面を確認したことがないという方も少なくありません。
2週間程度を一つの目安として確認する
当社では、荷物が入庫されたまま、おおむね2週間以上経過している場合には、入居者へ連絡するようにしています。
こちらもアナログ式と同様に、不在票の入れ忘れではないか、という前提で連絡を行いましょう。
暗証番号の再設定も必要ないので、管理上はデジタル式の方が楽です。
有料の管理サービスを利用する方法もある
デジタル式宅配ボックスでは、契約内容によって、長期間荷物が入ったままになっている場合に、管理者へ通知するサービスなどを利用できる場合があります。
戸数の多いマンションや宅配ボックスの利用頻度が非常に高い建物では、このようなサービスを利用する方法もあります。
一方、一般的な規模の賃貸マンションであれば、月額費用を支払ってまで管理サービスを追加するよりも、管理会社が定期巡回の際に確認する方が良いと思います。
まとめ|宅配ボックスは「設置後の管理」までが重要
宅配ボックスは、現在の賃貸住宅では非常に需要の高い設備です。
しかし、設置してあるだけでは、本来の価値を発揮できません。
定期的な点検を行わないと、
・空のボックスがロックされたままになる
・不在票の紛失によって荷物が長期間放置される
・宅配ボックスを倉庫代わりに使用される
・すべてのボックスが満杯になる
・郵便受けへ荷物を無理に入れられて破損する
・エントランスへ置き配され、盗難リスクが高まる
・入居者満足度が低下する
といった問題につながる可能性があります。
アナログ式であれば、小窓からライトを当てて内部を確認し、状況により写真を残して定点観察します。
デジタル式であれば、管理者画面から入庫日時や利用履歴を確認します。
そして、長期間荷物が入ったままになっている場合には、まず入居者へ丁寧に確認します。
宅配ボックスの数や建物の利用状況にもよりますが、2週間から1か月に1回程度、定期巡回の際に確認するだけでも、健全な状態を維持することができます。
宅配ボックスは、設置すること自体が空室対策になる設備ではありますが、「入居者が必要なときに実際に使える状態を維持すること」まで含めて管理することが重要です。
そのために設置したまま放置ではなく、定期点検で設備が使える状態を維持していきましょう。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。


