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内見方法「現地対応」のリスク~賃貸オーナーが知っておきたい募集現場の実態~

最新更新日 2026年05月29日
執筆:宅地建物取引士・賃貸不動産経営管理士 三好 貴大

空室募集を依頼した際、他社(客付業者)がその物件を内見する方法は、代表的なものが3つあります。
その中で最も主流なのが「現地対応」と呼ばれる、現地にキーボックスを設置しておく、玄関扉にダイヤル錠をセットしておく、ポストに鍵を入れておくなど、現地に鍵を設置しておいて勝手に内見してもらう方法です。

もちろん内見する際には「内見予約」を行いますが、様々な問題が生じる可能性があり、実際に問題が発生していることもあります。
しかし、その実態を賃貸オーナーが知ることはなく、知らない間に問題が発生しているという、実態を知れば知るほど怖くなると思います。

最終的に「現地対応」で良しとするか、考え直すか、そのための判断材料として、普段賃貸オーナーの視点からは見えない実情について解説します。

本記事は、当社YouTubeチャンネルで公開している
「内見方法「現地対応」によるリスク」
という動画の内容を、文字で整理したものです。

他社経由での内見方法

まず、募集を依頼している不動産会社に対し、他社が連れてきた顧客による内見が入る場合の代表的な方法を整理します。

1. 現地対応

現地対応とは、物件の近くや玄関付近にキーボックスなどを設置し、客付け業者が暗証番号を確認して自由に内見できる方法です。
体感としては、80%以上の物件でこの方法が採用されているように感じます。

現地対応のメリットは、案内する業者にとって手間が少ないことです。
鍵を取りに行く必要もなく、現地で開錠してそのまま案内できます。

2. 鍵取り

鍵取りとは、物件近くの不動産会社や管理会社に鍵を預けておき、内見前に客付け業者が鍵を取りに行く方法です。
体感としては約10%程度の物件でこの内見方法が採用されているように感じます。

鍵を受け取る場所が物件から遠い場合、内見する業者にとって大きな負担になります。
場所によっては、それだけで案内を避けられてしまう可能性があり、長期空室の原因となっている場合もあります。

3. 立会

立会とは、募集会社や管理会社の担当者が現地に行き、鍵を開け、内見に同行し、終了後に室内確認をして施錠する方法です。
弊社では、原則としてこの方法で内見対応を行っており、体感としては10%未満の物件でこの内見方法が採用されているように感じます。

その物件を最も理解しているのは賃貸オーナーと募集を任された不動産会社なので、立ち会って物件のことを説明するのは重要なことだと思っています。
また、単に物件を見てもらうだけでなく、内見者は入居後にトラブルにならない方なのか、長期空室時も室内に異変がないか、申込の意思はありそうか、といったことを確認できます。

空申込

ここからは、最も一般的に採用されている内見方法「現地対応」によって実際に起こり得るリスクを見ていきます。

その代表例として、最近特に多いと感じるのが「空申込」です。
実際には内見すらしていないにも関わらず、物件を押さえる目的で申込を入れてしまうことです。

近年は、WEB上で申込ができるシステムが普及し、申込数が画面上に「1件」「2件」「3件」と表示されます。

客付け業者の立場からすると、すでに複数件の申込が入っている物件に、後順位で申し込みたいとは思いにくいものです。
最近はそれを見込んで2番手・3番手でも申込を入れるそうですが・・・

その結果、本来であれば内見してもらえたはずの方が、最初から候補から外してしまう可能性が高まります
また、中には賃貸オーナーに話が行って承諾したにも関わらずキャンセルになることもあるので、そもそも気持ちの良いものではありません。

立会の場合は、「意思が固まってから申し込んでください」と直接伝えることができ、
それだけでもキャンセル率は大きく変わります。

飛ばし

近年増えているのが、「飛ばし(内見)」です。
飛ばし内見とは、客付け業者が現地に同行せず、内見者にキーボックスの場所や暗証番号を伝えて、行ってもらう方法です。

客付け業者としては、移動時間や案内時間を削減できるので、効率が良いという理由で行っているものと思いますが、これは非常に危険な方法です。

窓の閉め忘れ

一般の内見者は、不動産業者のように内見後の確認に慣れていません。

例えば、室内の換気をするために窓を開けたものの、閉め忘れて帰ってしまうことがあります。
その後、雨が吹き込めば、フローリングや建具が傷む可能性があります。
空室中で発見が遅れれば、被害が大きくなることもあります。

水道使用による水ジミ

水圧を確認したいという方もいます。
不動産業者が立ち会っている場合であれば、浴室の排水溝にシャワーヘッドを近付けて放水し、使用後には周囲に散った水気を拭き取ります。(そこまでしない業者も少なくないですが)

しかし、キッチンや洗面台で水を出し、そのままにしてしまうことがほとんどです。
特にステンレスのキッチンなどは、水滴が残ると白い水ジミになりやすいです。

トイレ使用の問題

中には、内見中にトイレを使用してしまうケースもあります。
次の内見時に汚れや臭いが残っていれば、印象は大きく下がります。
内見者に悪意がないとしても、現地対応ではこのような問題が起こり得ます

内見のバッティングや鍵の持ち帰り

客付け業者が同行する場合でも、予定時刻より大幅に前後することがありますが、飛ばしの場合は特に顕著です。
その結果、別の内見者とバッティングし、「鍵がない」という状態になる可能性があります。

また、鍵を戻し忘れて帰ってしまい、そのまま返しに来ないこともあると聞いたことがあります。
これは防犯上の問題にもつながります。

内見者の人柄を確認できない

内見時には、内見者がどのような方なのかを確認することも非常に重要です。
例えば、以下のような点は注意が必要です。

扉の開け閉めが極端に雑
足音が大きい
室内の扱いが乱暴
初対面でも横柄な態度を取る
同行者への言葉遣いがきつい

これらは申込書だけでは分からず、入居後のトラブルを予防するための判断材料にはなります。

賃貸借契約は、契約したら終わりではありません。
入居後も、音、ゴミ出し、共用部の使い方、近隣関係など、問題なく退去までお住まいいただくことが理想です。

そのため、実際に内見者と接した担当者からどのような方だったか確認することは、良好な管理状態を維持するためには必要なことです。
さすがに、契約時に発覚しても、「やっぱりあなたとは契約しない」とは言えないのが実情です。

長期空室時のトラブル

ここからは頻度としては高くないものの、発生すると大きな問題になるリスクについて触れておきます。

空室が犯罪に使われる可能性

例えば、空室が違法薬物の受け渡し場所として使われたニュースが報道されていたことがあります。
直接室内で落ち合う場合もあれば、ユニットバスの点検口や収納の奥などに物を隠し、後で別の人物が回収するような使われ方をする可能性もあります。

現地対応で鍵の管理が甘くなっている場合、誰がいつ入室したのかを把握しにくくなります

また、空室に勝手に人が住んでしまう、不法占拠も実際にあります。
長期間誰も現地を確認していない物件では、異変に気づくのが遅れる可能性があります。

環境の悪化

空室を長期間見に行っていないと、室内環境が悪化することがあります。

特に夏場に多いのが、排水トラップの封水切れです。
これにより、下水臭が室内に充満し、内見時には強い異臭が充満し、この臭いを除去するのは簡単ではありません。

さらに、封水が切れると、コバエなどの虫が発生することもあります。
室内に虫の死骸が落ちている状態で内見が入れば、当然、印象は悪くなります
実際に、このような状態の空室を見たことは何度もあります。

おわりに

現地対応そのものを全面的に否定するわけではありません。

地域や物件の状況によっては、立ち会い対応が難しい場合もあります。
特に地方や遠方の物件では、不動産会社の数が限られていたり、移動に時間がかかったりするため、現地対応を選ばざるを得ないこともあります。
ただし、その場合でも、リスクを理解した上で対策を取ることが重要です。

少しでも不安がある場合には、募集を依頼する不動産会社に対して、「可能な限り立ち会いで案内してほしい」と伝えることが大切です。
もし立ち会い対応が難しいと言われた場合でも、代わりにどのような管理体制を取っているのかを確認することが重要です。

「現地対応が当たり前だから仕方ない」と考えるのではなく、大切な資産をどのように案内してもらうのかを、賃貸オーナー自身が把握しておく必要があります。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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