暑い季節になると頻繁に大家さんや不動産管理会社に問い合わせが来るようになるのが「エアコンのトラブル」についてです。
エアコンは時期や気温によって入居者様の死活問題になってしまうため、適格で早急な対応が求められますが、中には対応を誤って入居者様を怒らせてしまい、元々トラブルには発展しないような些細なことで揉め始める可能性があります。
今回はエアコンのトラブルが発生した際の対応方法についてお伝えしていきます。(天井埋め込み式のビルトインタイプは除きます)
まず、代表的な「エアコンのトラブル」には以下のような種類があります。
①エアコンから冷気(暖気)が出てこない
②エアコンが作動しない
③エアコンから水が漏れてくる
④エアコンから異音がする
⑤エアコンから異臭がする
それでは、一つずつ対応方法を見ていきましょう。
これは部品・本体の故障か冷媒管(配管)のガス漏れが原因だと考えられます。
対応方法は「修理」か「交換」になりますが、その判別をするために入居者様からエアコンの型番やメーカーの分かる部分をスマートフォンなどで撮影してもらい、写真を送ってもらいます。もしスマートフォンやカメラを使えない高齢者だった場合は、なるべく訪問して状況を確認しましょう。
写真が届いたら確認するのは
①「製造年」
②「メーカー名」
の2つです。
「製造年」は近年分かりやすく表記されていますが、昔のものは「2010」や「2008.3」とだけ記載されているものもあり、そもそも製造年の記載がない場合もあります。製造年の記載がない場合は古いものである可能性が高いですが、念のため型番(型名)をインターネットで検索すれば、おおよそ何年ほど前に製造されたものか特定できます。
製造年によって対応方法は異なりますので、3つに分類してお伝えします。
①製造年が12年以上前
交換することをオススメします。「修理しても直らなかった」「修理して直ったがすぐに壊れてしまった」ということもあり、結局交換となると修理した分の費用は無駄になってしまいます。
交換の際は電気屋さんやエアコン専門業者に直接依頼しましょう。工務店やリフォーム会社に依頼すると、実際に工事をするのは下請けのエアコン専門業者となりますが、工務店等の利益として30%前後計上されるため、その分工事金額が割り増しになってしまいます。
ちなみに、エアコンの耐用年数は「10年」が一般的ですが、昔のエアコンは実際の寿命がかなり長いため、20年以上使われているものも見かけます。しかし、最近のエアコンは耐用年数を少し過ぎたあたりから壊れ始めるケースが多いため、現実的には12~13年が一つの目途となります。
②製造年が12年未満
メーカーに直接問い合わせて修理するよう依頼しましょう。修理対応を工務店やリフォーム会社、電気屋に依頼するケースをよく見かけますが、実際に修理を行うのはメーカーになることがほとんどなので、直接メーカーに依頼した方が早く安く対応してもらえます。
エアコンを新設(交換)して1~2年以内
エアコン交換・設置を行った業者に対応を依頼します。施工不良の可能性があるため、無料で対応してもらえる可能性が高いです。
また、ごく稀にあるのはエアコンの「室外機」に問題があるケースです。これは室外機本体の問題ではなく、室外機が建物と建物の狭いスペースに設置されているため前面の空間が充分に確保されていないケース、入居者様が室外機の前に私物を置いてしまっていて空間が確保されていないケースがあり、排気が充分に行えていないことからエアコンの機能に影響を及ぼしていることがあります。
前者は施工後にチェックすれば問題ありませんが、後者は普段からバルコニーを含む共用部分には私物を置かないよう管理していれば避けることができます。
余談ですが、エアコンの故障による修理費用や交換費用は「火災保険」で賄える可能性があります。
雷の影響でエアコンが故障してしまった場合は、火災保険の基本的な補償内容である「落雷」が認定される可能性があり、「電気的・機械的事故特約」が付帯されていれば、エアコンの部品が突発的な異常をきたして故障してしまった際に認定される可能性があります。
ただし、経年劣化は対象外となりますので、経年劣化による故障と認定されて火災保険が適用されない場合、保険申請した金額から経年劣化分を差し引いて認定額が決まる可能性があります。
上記をまとめると、設置してから
2年以内 → 設置した業者に施工不良の可能性があるとして修理依頼
12年未満 → メーカーに直接修理依頼
12年以上 → 電気屋さんやエアコン専門業者に交換依頼
となります。
ここでもう1点注意したいのは、工事日程の調整は必ず入居者様と業者(メーカー)で直接やり取りしてもらうよう手配することです。大家さんや賃貸管理会社が好意で仲立ちになろうとすると、なかなか日程調整がうまくいかなかった場合、エアコンの使えない期間が長引いてトラブルに発展します。
業者が修理・交換する場合は、入居者様に連絡先を業者に伝えていいか事前に了承を取り、業者に入居者様の連絡先や状況を伝えて、直接日程調整の連絡をしてもらうよう依頼します。
メーカー修理の場合は、入居者様からカスタマーセンターに直接連絡して修理依頼をしてもらうよう依頼します。その際、修理の可否に問わず、「出張料(3,000円~5,000円)」が発生しますので、出張料の金額と訪問日が決まったら報告をもらうよう伝えます。
このように対応を行えば、よりスムーズに対応することができ、支出を最小限に抑えることができます。
この場合は基本的に上記①と同じ対応方法となりますが、時折「リモコンの電池が切れているだけだった」という場合があります。まずはエアコンのリモコンの蓋を開けてもらい、照明器具やテレビなどのリモコンに入っている電池と交換してもらい、エアコンが作動するかどうか確認しましょう。
上記①でも同様ですが、もし真夏の猛暑日に故障してしまった場合は上記の限りではありません。エアコンが1台のみの物件であれば早急な対応しなければいけないため、電気屋さんやエアコン専門業者がすぐに手配できない場合は、工務店やリフォーム会社に依頼することで、下請け業者を複数社あたって手配してくれたり、緊急性の高くない別の現場の工事を変更してすぐに対応してくれたり、柔軟に対応してもらえる可能性があります。
次回は③~⑤についてお伝えしていきます。
ご愛読いただきありがとうございました。