新しく賃貸を開始するとき、今まで自主管理だったが賃貸管理会社に管理を任せたくなったとき、今までの賃貸管理会社に不満があって切り替えたいとき、賃貸管理会社を探すことになります。
そして、一通り候補が出てきたときに「本当にこの会社は大丈夫なのか」「ちゃんと管理してくれるのか」という心配が出てくると思います。
また、一度管理を委託すると、賃借人や入居者との関係もあるので、簡単には変えられないことから、慎重に選ぶ必要があります。
その際、弊社(私の修業時代・個人事業時代含め)は他社に不満を持って切り替えていただくことが非常に多いため、多くの賃貸オーナーからどのような不満を持ったかお聞きしてきたことに加えて、引き継ぎ前後に様々調べる過程で、その共通点を感じています。
今回は、賃貸オーナーが二人三脚で賃貸経営を営むパートナーとして、どのような部分に注意して選ぶ必要があるのか、その参考となるポイントについて解説します。
本記事は、当社YouTubeチャンネルで公開している
「優良な賃貸管理会社の選び方」
という動画の内容を、文字で整理したものです。
会社の所在地
まず一つ目に確認していただきたいのが、管理会社の所在地です。
これは地域によって考え方が多少変わる部分もありますが、少なくとも弊社のある品川区・目黒区周辺で考えるのであれば、物件が品川区にあるなら品川区内、もしくは隣接する区にある管理会社を候補にするのがよいと考えています。
あまりに遠方の会社を選んでしまうと、何か緊急対応が必要になった際に、どうしても動きが鈍くなります。
もちろん、電話やメールで対応できることも多いのですが、実際の賃貸管理では、現場に行かなければ判断できないことも少なくありません。
例えば、水漏れ、騒音、不法投棄、共用部の異常、退去後の状況確認、近隣対応など、現地確認が必要な場面は意外と多いものです。
そうしたとき、物件から遠い会社だと、どうしても移動時間がかかります。
広範囲を管理している会社の注意点
中には、「一都三県すべて対応しています」という会社もあります。
もちろん、そうした会社にも一定の強みはありますし、組織的にしっかり体制を整えている会社もあります。
ただし、担当者一人が広範囲を持っているようなケースでは、移動だけで多くの時間を取られてしまい、結果として一件ごとの対応が薄くなってしまうことがあります。
例えば、朝に千葉、昼に埼玉、夕方に神奈川と動いていたら、どうしても現場対応の密度は落ちます。
机上では広域管理ができても、実務上はかなり大変です。
そのため私は、物件所在地の市区町村、またはその隣接エリアにある会社を優先して選ぶのが基本ではないかと考えています。
Googleマップの口コミ
次に確認していただきたいのが、Googleマップの口コミです。
最近は、多くの管理会社や不動産会社がGoogleマップ上に表示されますので、口コミの確認は比較的しやすくなっています。
ただし、ここで大事なのは、「星が多いか、少ないか」だけを機械的に見るのではなく、「どのような口コミが書かれているのか」を中身まで確認することです。
その際に注意したい点をお伝えします。
口コミが一件もない
まず注意したいのが、口コミが一件もない会社です。
もちろん、設立間もない会社や、ネット集客にあまり力を入れていない会社であれば、口コミが少ないこと自体はあり得ます。
ただ、一件もないとなると、そもそも営業実態が見えにくいという不安もあります。
必ずしも除外すべきとは言いませんが、少なくとも「少し慎重に見た方がよい会社」ではあると思います。
悪い口コミ(コメント)が多い
一方で、星の数が少ない、悪い口コミがあるから即ダメ、というわけでもありません。
特に管理会社というのは、どうしてもトラブルの矢面に立ちやすい業種です。
ときには、会社に問題があるというよりも、原状回復費用や契約条件などで揉めた結果、感情的に悪い口コミを書かれることもあります。
同業者や関係者が低評価を入れている可能性もゼロではありません。
そのため、星一つの口コミがあったとしても、まず見るべきはコメントの内容の具体性です。
例えば、
・連絡が極端に遅かった
・折り返しすると言って何日も放置された
・退去立会い時の説明が雑だった
・担当者の言うことが毎回違った
こうした具体的な指摘が複数ある場合は、注意した方がよいと思います。
逆に、「最悪です」「ひどい会社です」といった抽象的な書き方だけで、具体的な内容がないものは、少し割り引いて見てもよいかもしれません。
お部屋探しに関する口コミが多い
もう一つ見ていただきたいのが、口コミの内容が“お部屋探し”に偏りすぎていないかという点です。
ここには2つのパターンがあります。
仲介(お部屋探し)専門
この場合、賃貸管理や建物管理は本業ではない可能性があります。
お部屋探しは得意でも、管理や運営、募集となると別の能力が求められますので、管理会社としての力量は別途見なければなりません。
ちなみに、この手の会社に依頼した結果、本来の用途に適さない契約書式を使ってしまい、最低限必要な要件も満たしておらず、弊社が管理を受託してから合意書を作成して契約書を補正するようなケースもありました。
仲介部門と管理部門が分かれている会社
これはかなり多いです。
お部屋探しを担当する営業部門は接客力が高く、口コミも集まりやすい一方で、実際の管理を担当する部署は別、というケースです。
そのため、「Googleの口コミが良いから管理も安心」とは限らないのです。
お部屋探しの担当者が良くても、管理担当者の対応がまったく別物ということは珍しくありません。
口コミを見る際は、その会社が何に強い会社なのかを見極める材料として活用していただきたいと思います。
面談
管理会社を選ぶ際には、必ず「担当予定者と面談」をしていただきたいと思います。
これは、対面でもZoomでも構いませんが、何らかの形で直接話をすることが大切です。
なぜなら、管理というのは一度任せたら長い付き合いになることが多く、簡単には変えられないからです。
契約条件だけでなく、「この会社と付き合っていけそうか」という相性も大事になります。
管理担当者との面談
また、「営業担当」ではなく、「管理担当者」と話すのが理想です。
会社によっては、管理受託専門の営業担当がいて、その方が非常に上手に説明してくださることがあります。
しかし、実際に契約後にやり取りするのは別の管理担当者、というケースが少なくありません。
管理受託の営業担当は、当然ながら受託を取ることが仕事ですので、説明も上手ですし、印象も良いことが多いです。
しかし、実際に日々の連絡を取り合うのがその方でないのであれば、そこだけを見て判断するのは危険です。
できれば、
「実際に私の物件を担当する可能性のある方ともお話ししたいです」
と伝えて、現場担当者と話す機会を設けてもらうのが理想です。
実際に、営業担当のプレゼンがうまく募集を任せたが、実際には全く結果が出ず、弊社が相談を受けて調べてみたら色々と雑だったということもありました。
担当者の印象で見るべきポイント
担当者と話す際には、次のような点を見ていただくとよいと思います。
・こちらの話をきちんと聞いてくれるか
・質問に対して的確に返してくれるか
・話がかみ合っているか
・身だしなみや清潔感はあるか
・説明が一方的すぎないか
・入居者対応を任せても安心できそうか
管理会社というのは、賃貸オーナーの窓口であると同時に、入居者様の窓口にもなります。
つまり、その担当者が入居者様と接することで、建物全体の印象まで左右されることがあるのです。
事務所内の清潔感
面談の際に、可能であれば事務所内の様子も見ていただきたいと思います。
もちろん、接客スペースだけで面談が終わることもありますので、全部が見られるとは限りません。
それでも、少し見える範囲の雰囲気や整頓状況は参考になります。
書類が乱雑に積まれていたり、机周りが極端に散らかっていたりすると、「この会社は情報管理も雑なのではないか」と感じることがあります。
実際、管理会社の仕事は、書類・進捗・連絡・履歴の整理が非常に重要です。そのため、社内の整頓状態は案外ばかにできません。
また、これはいろいろな経営者の方がおっしゃることですが、会社のトイレを見ると、その会社の体質が分かるという考え方があります。
私も一定の説得力があると思っています。
表の応接室だけ整えていても、トイレまでは気が回っていない会社はあります。
逆に、トイレまで清潔に保たれている会社は、細かい部分に意識が向いていることが多いです。
もちろん、トイレが少し古いことと汚いことは別問題です。
古くても清潔に保たれていれば問題ありません。見るべきなのは、掃除が行き届いているかどうかです。
面談時に確認したい質問
ここからは、実際の面談時に確認していただきたい質問についてお話しします。
御社の強みは何ですか?
会社ごとに強みは違いますので、何をどう答えるかで、会社の方向性が見えてきます。
私があまりおすすめしていないのは、
「うちは管理料の安さが強みです」
という答え方をする会社です。
もちろん、管理料の安さが悪いわけではありません。
コストを抑えたいという賃貸オーナーにとっては魅力になることもあります。
ただ、管理会社を探し直す方の多くは、単に安ければよいというよりも、「多少費用がかかっても、しっかり対応してくれる会社に任せたい」と考えていることが多いのです。
そのため、安さばかりを前面に出してくる会社は、相性が合わないケースが多いかもしれません。
他社からの内見対応はどのように行っていますか?
内見対応には、主に次の三種類があります。
【現地対応】
現地に鍵を置いておき、仲介会社が自由に案内する方法です。
【鍵取り】
鍵を事務所または物件の近隣業者まで取りに来てもらい、仲介会社が案内する方法です。
【立会い】
管理会社の担当者が現地へ行き、立ち会って案内する方法です。
以上の三種類が王道です。
大手も含め、多くの会社は「現地対応」か「鍵取り」です。立会いを標準としている会社は少数派です。
ただ、賃貸オーナーによっては
「自分の物件はできれば立会いで案内してほしい」
と考える方もいらっしゃると思います。
その場合、面談時に
「御社の基本は分かりましたが、私の物件については立会い対応をお願いすることはできますか」
と聞いてみるのがよいと思います。
このとき、
・一律でできませんと言うのか
・物件によっては相談可能と言うのか
・条件付きで対応するのか
という違いが出ます。会社の柔軟性を見るうえで非常に参考になります。
定期借家契約にも対応できますか?
ここで見たいのは、定期借家を積極的に提案するかどうかではなく、賃貸オーナーの意向に対して柔軟に対応する姿勢があるかです。
定期借家契約について質問したときに、
「できますが、こういうメリット・デメリットがあります」
と整理して説明してくれる会社は、比較的信頼しやすいと思います。
逆に、
「それはやめた方がいいです」
「定期借家だと決まりません」
と最初から強く否定してくる会社は、少し注意が必要です。
もちろん、地域性や物件特性によって定期借家が向かないこともあります。
ただ、大事なのは、賃貸オーナーの意向を一度受け止めたうえで、現実的な提案をしてくれるかどうかです。
実際の募集図面を見せてもらえますか?
募集図面には、その会社の募集姿勢がよく表れます。
見るべきポイントは、例えば次のような点です。
【写真がきちんと入っているか】
文字ばかりで写真がほとんどない図面は、やはり弱いです。今の時代、写真の見せ方は非常に重要です。
【写真の質が雑ではないか】
例えば、以下のようなポイントを確認します。
・荷物が写り込んでいないか
・鏡に撮影者が映っていないか
・靴やバッグが乱雑に置かれていないか
・明るさや構図は適切か
こうした部分が雑だと、細かい気配りに欠ける可能性があります。
また、単に情報を並べているだけなのか、見た人が「ちょっといいかも」と感じる工夫がされているのか。この違いは意外と大きいです。
退去交渉や契約違反時の相談には乗ってもらえますか
管理会社の中には、非弁行為の問題を意識して、立ち退き交渉や退去交渉には一切関与しない方針の会社もあります。
もちろん、法的にできないことはありますし、それ自体は理解できます。
ただ、賃貸オーナーとしては、いざというときに
「その件は自分でやってください」
と言われると非常に困ります。
ですから、ここで確認したいのは、
・どこまで相談に乗ってくれるのか
・初期段階の整理や助言はしてくれるのか
・弁護士につなぐところまでやってくれるのか
といった実務対応の範囲です。
以上が面談時に注意していただきたいポイントでした。
契約前に確認したい注意点
ここまでで管理会社の雰囲気や姿勢はかなり見えてくると思いますが、最後に、契約前に特に確認しておきたい注意点をお伝えします。
訪問費や退去立会費が別料金かどうか
会社によっては、物件訪問のたびに費用が発生することがあります。
また、退去時の立会いも一回ごとに別料金がかかるケースもあります。
これは悪いことではありませんが、あらかじめ知らないと、
「こんなに追加費用がかかるのか」
と不満につながりやすい部分です。
特に、トラブル対応で現地訪問が増えた場合、想定外に費用が積み上がることがありますので、最初に確認しておくべきです。
定休日や夜間対応は「何をしてくれるのか」まで確認する
「24時間365日対応」という言葉だけを見ると、非常に安心感があります。
しかし、ここで大事なのは、実際に何をしてくれるのかです。
【よくあるパターン①】受付だけ対応
コールセンターで電話だけ受け付けて、実際の対応は翌営業日、というケースがあります。これでは、実務上の意味は限定的です。
【よくあるパターン②】外部サービス任せ
入居者様に24時間サポートの有料サービスへ加入してもらい、トラブル時はそこへ連絡してもらう方式です。
これ自体は悪くありませんが、賃貸オーナーがその仕組みを理解していないまま導入されていることもあります。
最近は、火災保険や入居者向け保険に、一定の緊急駆け付けサービスが付いていることがあります。
水回りや鍵などの簡易対応であれば、そちらで十分というケースもあります。
ちなみに、管理会社のスタッフが24時間365日対応してくれるというケースはほとんど見たことがありません。
また、深夜帯は入居者も寝ているので、そもそもトラブルが発生し辛い、発生していても気が付かず翌朝発覚するというケースが多いです。
おわりに
管理会社選びは、条件より「姿勢」と「相性」が大切です。
優良な賃貸管理会社を選ぶうえで、もちろん管理料やサービス内容も大切です。
しかし、実務を見ていると、それ以上に大事なのは、姿勢と相性だと感じます。
どれだけ立派なパンフレットがあっても、どれだけホームページがきれいでも、担当者が話を聞いてくれない、連絡が遅い、細かいところが雑、という会社では長く付き合うのが難しくなります。
反対に、規模がそれほど大きくなくても、
・物件の近くにあり
・きちんと話を聞いてくれて
・方針を共有できて
・実務の範囲も明確で
・担当者の印象も良い
という会社であれば、非常に良いパートナーになってくれる可能性があります。
管理会社というのは、単なる業者ではなく、賃貸経営を一緒に支えるパートナーです。
安さや知名度だけで決めるのではなく、ぜひ今回お話ししたような点も踏まえながら、慎重に見極めていただければと思います。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。


