【前半】賃貸募集は何社がベストだと思いますか?

最新更新日 2023年12月30日
執筆:宅地建物取引士・賃貸不動産経営管理士 三好 貴大

大家さんとしては、退去が出たらなるべく早く空室を埋めたいものです。空室対策にはリフォームや募集条件など様々検討することがありますが、大きく方針が分かれるのが、

【パターン1】”複数”の不動産会社に入居者募集を依頼する
【パターン2】”一社”の不動産会社に入居者募集を依頼する

です。

 

では、空室を埋めるにはどちらの方がいいのでしょうか?

答えは・・・「一概には言えない」というのが本音です。

 

「【パターン1】”複数”の不動産会社に入居者募集を依頼する」を選ぶ大家さんの心理としては、

・複数に任せれば成約する確率が上がる

・複数に任せれば競争意識が働く

・一社に任せると慣れてきて手を抜いてくる

という考えによることがほとんどです。これらは実際に、任せていたのになかなか決まらない、一社に専任で任せていたのに怠けてきた、などの嫌な想いから、複数の不動産会社に依頼するようになったという経験に基づくものが多いです。

 

上記のような経験をした大家さんにとっては、最も楽に効果を期待できる方法だと思いますが、実はもっと成果を期待できる方法もあります。まずは、その方法をお伝えする前に、賃貸募集の実情からお伝えしていきます。

 

 

賃貸募集の方法や力量は不動産管理会社によって全く異なります。

大きく分類すると、

①仲の良い不動産会社数社に募集図面(マイソク)をFAXして待つ
②お部屋探しサイト(SUUMOなど)に掲載するが、レインズ(業者用サイト)には掲載せず、直接お問い合わせいただいた方のみ申込を受ける
③反対にレインズ(業者用サイト)のみ掲載して、お部屋探しサイトには掲載しない
④お部屋探しサイトとレインズの両方に掲載する

となります。簡単な図は以下となります。

 

 

この中で最も成約率が高いのはどの不動産会社かと言うと、当然ながら「④」です。

 

また、借主様が賃貸物件を探す際の代表的な方法は、

A:インターネットで検索する
B:不動産会社を訪問する

の2つです。

 

借主様がお部屋探しのためにインターネットで使用する媒体が「お部屋探しサイト」で、不動産会社がお部屋探しの物件を探す際に最も使う媒体が「レインズ」です。つまり、これら2つに掲載すれば、賃貸物件を探す方のほとんどは網羅することができます。

それらを踏まえると、以下のように考えられます。

 

①仲のいい不動産会社数社に募集図面(マイソク)をFAXして待つ

営業対象が「数社」に飛び込んだお客様のみとなってしまうため、確率が最も低いです。ただし、FAXを送った先の不動産会社が入居者募集サイトに掲載することがあります。

この方法を選ぶ業者は、長年経営している「昔ながら」な雰囲気の不動産会社が多く、インターネットやパソコンに対するリテラシーが高くないため、昔ながらの方法で募集し続けています。

 

 

②お部屋探しサイトのみ掲載し、直接の問い合わせのみを狙う

営業対象が「入居者募集サイト」を閲覧した方のみとなります。裏を返せば、不動産会社の数はコンビニの数よりも多く、それら不動産会社に飛び込んだ全てのお客様が営業の対象外になってしまいます。

また、この手法で募集されている物件は、コストパフォーマンスの非常に高い物件が多いです。もっと賃料を上げられるか、賃料はそのままで借主様の属性や人柄を吟味して賃貸することができるケースが多く見られます。

この方法を選ぶ理由は、”自社の利益”を最大化させるためです。他社の不動産会社を経由して契約に至った場合、借主様(賃借人)からの仲介手数料は他社の不動産会社が受領しますが、入居者募集サイトを経由して直接問い合わせに至った借主様と契約した場合は、仲介手数料を受領することができるため、後者の方が利益は格段に増えます。

 

 

③業者用サイトのみ掲載して、お部屋探しサイトには掲載しない

上記②の逆となりますが、「広告掲載可能」としている場合は、レインズを見た不動産会社が入居者募集サイトに掲載しているケースがほとんどです。その場合、何十社という不動産会社が入居者募集サイトに掲載するため、同じ物件が何十件も掲載されることになります。

 


上記①~③などで入居者募集されていても長期間決まらずに痺れを切らし、不動産会社を探して依頼していた、または不動産会社が大家さんの自宅に飛び込んで「募集させてほしい」とお願いし、募集することを了承していった結果、気付けば何十社も依頼しているというケースも散見されます。

しかし、入居者募集サイトに一社が掲載すれば、そのサイトを閲覧した”全て”の方はその物件を見つけることができます。レインズに一社が掲載すれば、レインズでお部屋探しを行う”全て”の不動産会社はその物件を見つけることができます。つまり、入居者募集サイトやレインズに何十社と掲載しても、掲載数によって確率が上がることはありません。

反対に、決まり辛くなる2つのリスクが発生します。一つは、同じ物件が何十件も登録されていると「何か決まっていない理由があるんじゃないか?」と悪い印象を与えます。二つ目は、複数社のうち一社でも悪い印象を与える写真を掲載し、それを見て物件を見送ったお客様は、他に掲載している魅力的な掲載情報も「この物件は見たからいいや」と見送ってしまいます。

 

では、④のように入居者募集サイトとレインズの両方に掲載して募集していれば大家さんとしては安心かというと、そうでもありません。例えば、不動産情報サイトを見た人はどちらの方が魅力的に感じるでしょうか。

 

写真一つとっても、撮影の方法やカメラ、コンディションによってお問い合わせの数に大きく影響するため、ポータルサイトやレインズに写真が間取りしか載っていない、バストイレ別で独立洗面台が付いているのに両方チェックが入っていないなど、多くの要素で違いが生じるとどのくらい影響していくのかは想像に容易いと思います。

 

そのため、一社に任せていて決まらなかった物件を複数社に任せた結果決まったという場合は、複数社のうちどこかの不動産会社がしっかり募集活動した努力のおかげで確率が上がったと考えられます。

 

しかし、ここまでの説明では冒頭に挙げた以下の2つの疑問が残ります。

・複数に任せれば競争意識が働く

・一社に任せると慣れてきて手を抜いてくる

 

そのような疑問についてはどのように解決したらいいのでしょうか? 続きは次回のブログでお伝えしたいと思います。

ご愛読いただきありがとうございました。

 

 

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