【重点対応エリア】不動前(西五反田・下目黒・小山台・小山)

建て替え・新築時に関わる高さの制限

最新更新日 2026年02月24日
執筆:宅地建物取引士・賃貸不動産経営管理士 三好 貴大

建築基準法にはさまざまな規定がありますが、その中でも建物の「高さ」に関する制限は、建物の大きさに大きく影響するため、収益性に直結する非常に重要な要素です。

また、住宅街を歩いていて「なぜあの建物の上階は斜めに削られているのだろうか」と疑問に思った経験をお持ちの方も少なくないと思います。
それを理解するためにも必要なのが「高さ制限」になりますので、この内容を理解しておくと大家さんご自身が建て替えを検討される際や、管理会社としてサポートする立場でも、建築士との意思疎通が格段にスムーズになります。

今回は、必ず押さえておきたい高さ制限の基本を整理していきます。

本記事は、当社YouTubeチャンネルで公開している
「高さ制限」
という動画の内容を、文字で整理したものです。

①絶対高さ制限

最初に理解しておきたいのが「絶対高さ制限」です。

これは、
・第一種低層住居専用地域
・第二種低層住居専用地域
・田園住居地域

に適用される規制で、建物の高さは10mまたは12mのいずれかが上限として定められています。
つまり、この地域では原則としてそれ以上の高さの建物は建てられません。

10mを超えるかどうかの重要性

特に重要なのは「10m」というラインです。
多くの自治体では、10mを超える建物を建築する場合、近隣説明会の開催が必要とされています。

近隣説明会が必要になると、建築計画の詳細説明に対して、近隣住民からの意見や要望が寄せられることにより、建築後の近隣との関係性を考慮した計画変更を求められる可能性もあります。
法律上は問題がなくても、その後も近隣との関係は続きます。強引に進めれば、将来的なトラブルの火種になることもあります。

3階建てか4階建てかという判断

一般的に、
・3階建て → 10m以内
・4階建て → 10mを超えるケースが多い
という傾向があります。
4階建てにする場合、現代ではエレベーター設置が前提となることも多く、建築費は上がります

・4階建て+EV設置で収益最大化し、その代わりに近隣説明会を実施するか
・あえて3階建てまでに抑えて建築費を下げ、近隣説明会を避けるか

といった判断を迫られることもあります。

半地下という発想

以前は、
「4階にしたいが10mは超えたくない」
という理由で、半地下を設けて高さを抑える設計も見られました
街中で半地下のある物件を見かけた場合、こうした背景がある可能性もあります。

②北側斜線制限

次に重要なのが「北側斜線」です。

「① 絶対高さ制限」の対象地域に加えて、
・第一種中高層住居専用地域
・第二種中高層住居専用地域

に適用されます。

・2階や3階部分が斜め天井になっている
・上階がコンパクトになっている
といった場合の多くは、北側斜線制限の影響です。

実務での考え方

建ぺい率・容積率上は建てられる建物でも、北側斜線によって上階が削られる可能性があります。
詳細計算は建築士が行いますが、「2階の天井部分や3階部分は削られるかもしれない」という意識を持っておくことが重要です。

③道路斜線

道路斜線は、前面道路の反対側の境界線から一定距離(20m〜50m)を基準に、上方へ一定勾配の斜線を引き、その内側に建物を収めるという規定です。

勾配の角度は、
・住居地域→1:1.25
・商業地域等→1:1.5

となっており、商業地域のほうが急勾配となるため、より高く建てられる傾向があります。

ちなみに、この規制は全ての地域が対象となります。

④隣地斜線制限

隣地斜線制限は、
・住居地域:20m以上
・その他地域:31m以上

の建物に影響します。

20mというと、おおよそ6~7階なので、それ以上の建物で意識される規制です。
一般的な小規模賃貸では影響が少ないですが、中規模以上では検討対象になります。

⑤日影規制

日影規制は、商業地域・工業地域・工業専用地域を除く地域で適用されます。
建物が建つことで周囲の日照がどれだけ遮られるかを検証し、一定基準を超えてはならないという規制です。

建築計画図面には、時間帯によってどのくらい周囲に影ができるか示した「日影図」が添付されることがあります。
近隣の「建築反対!」といった運動や貼り紙の背景には、日照環境の変化への懸念があります。

⑥天空率

天空率とは、道路から空を見上げた際の見え方を基準に、斜線制限を緩和できる制度です。
規制緩和の対象は、②北側斜線、③道路斜線、④隣地斜線の3つとなっており、①絶対高さ制限と⑤日影規制は緩和されません

計算上は斜線を超えていても、
・圧迫感が少ない
・空の見え方が確保されている
と、実際の状況が問題ないと評価されれば、規制が緩和される可能性があります。

しかし、逆に厳しくなる場合もありますので注意が必要ですが、これは建築士をはじめ専門職の方でないと計算は困難なので、「そういう規制緩和の方法があるんだ。というか、天空率って名前が格好良い!」くらい知っておけば充分かと思います。

おわりに

高さ制限には、
① 絶対高さ制限
② 北側斜線制限
③ 道路斜線制限
④ 隣地斜線制限
⑤ 日影規制

といった複数の規制が存在します。

すべての計算を理解する必要はありませんが、「高さは建ぺい率・容積率だけで決まるわけではない」という前提を知っておくことが重要です。

また、建て替えや新築の際、建築士との打ち合わせに同席した際も、これらを知っておくことでなぜそのような設計になっているのか理解が深まります
必要なときに思い出して調べられるように、記憶の片隅に入れておいていただければと思います。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

PREV