「道路」といえば大通りや車が1台だけ通行できるような細い道路など物理的なものをイメージしがちですが、法律上は道路にもさまざまな種類があり、その違いは不動産の価値や将来性に大きく影響します。
売買においては特に重要な要素となりますが、賃貸においても、建物がどのような道路に面しているかによって、建て替えや将来の活用方法が大きく左右されることがあります。
今回はその中でも、賃貸に関わる方には必ず知っておいていただきたい代表的なポイントに絞って解説していきます。
本記事は、当社YouTubeチャンネルで公開している
「道路」
という動画の内容を、文字で整理したものです。
接道義務
法律上、幅員4m以上の道路に、敷地が2m以上接していなければ建築できないというのが基本のルールです。
2m未満しか接道していない場合、原則として建築(建て替えを含む)ができず、すでに建物が建っている場合は「再建築不可」の状態になります。
再建築不可の物件は原則として融資が付かず、再建築できる一般的な物件と比べて著しく売買価格が下がってしまう傾向があります。
見た目では判断できないケースも多い
接道が2mあるかどうかは、見た目だけでは判断できないケースが多くあります。
明らかに1m程度しかない場合もあれば、一見すると2mありそうに見えて、実際には1m95cmしかない、といったケースも存在します。
これは、過去と現在の測量技術の違いによる影響もあります。
当時の測量では2mとされていたものが、現在の技術で測量したら1m95cmしかなかった、ということも珍しくありません。
そのため、「2mあるかどうか怪しい」と感じた場合には、必ず測量を行い、再建築が可能かどうかを正確に確認する必要があります。
旗竿地における接道の注意点
接道というと、単純に道路に面している部分だけを想像しがちですが、実際にはそうではありません。
いわゆる「旗竿地」と呼ばれる、細長い通路の奥に大きな敷地があるケースでは、その通路部分全体が接道要件を満たしている必要があります。
入口部分では2m以上の幅があっても、途中から細くなり、どこか一部でも2m未満になっている場合には、接道義務を満たさないと判断されます。
再建築不可物件への対応方法
再建築不可の物件であっても、必ずしもすべてが手詰まりになるわけではありません。
例えば、隣地に十分な避難スペースが確保されている場合など、自治体ごとに定められた基準を満たせば、建築審査会の許可を得て建て替えできるケースもあります。
ただし、これらは自治体ごとに判断基準が異なるため、必ず事前に確認が必要です。
隣地の一部を取得する
実務上よくある方法として、隣地を一部買い取るという手段があります。
例えば、通路幅が5cm足りない場合に、その5cm分を隣地所有者から買い取ることで、接道義務を満たすという方法です。
再建築不可の物件は金融機関の融資が受けられないケースがほとんどなので、現金で購入し、その後に隣地所有者と交渉を行い、無事に解決できれば、物件価値が大きく上昇することもあります。
中には、土地を購入するのではなく、5cm分だけを借地として土地を借りるスキームを採用するケースもあるようです。
フルリフォーム・リノベーション
既存の建物を活用して、フルリフォームや外壁修繕、耐震補強等を実施して、建物を長く維持し続けるケースもあります。
二項道路とセットバック
次に重要なのが「二項道路」です。
本来、道路は幅員4m以上確保することが原則とされていますが、現実には4mに満たない道路が数多く存在します。特に裏通りなどでは、明らかに狭い道路を目にすることが多いかと思います。
このような場合、道路の中心線から2m以内には建物を建ててはいけないというルールがあり、建て替えの際にはその分後退する、いわゆる「セットバック」が必要になります。
建て替え時に建物が小さくなる
既存の建物はそのまま使用できますが、建て替えを行う際にはセットバックが義務付けられるため、これまでと同じ規模の建物が建てられないケースもあります。
前面道路が4mに満たないように見える場合には、セットバックが必要になる可能性がある、という点をあらかじめ意識しておくことが重要です。
公道と私道の違い
公道とは、国道、都道府県道、市区町村道など、国や自治体が管理している道路を指します。
これらの道路については、所定の手続きを踏めば問題なく利用できるため、実務上、大きなトラブルになることはほとんどありません。
私道で起こりやすいトラブル
一方で注意が必要なのが「私道」です。
私道は、個人や法人が所有している土地であり、誰もが自由に通行できるわけではありません。
その私道を通らなければ自身の建物への出入りができないような場合は通行できますが、その他の道路から出入りできる場合は、原則として無断通行はできません。
また、建て替え工事の際には、ガス管や水道管の接続工事のために地面を掘削する必要がありますが、この際には「掘削承諾」が問題になることがあります。
最近は法改正により以前に比べると掘削承諾の問題は発生し辛くなっていますが、私道の持ち主の感情の問題もあるため、穏便に済ませるにはやはり承諾を取る必要があります。
実体験から学んだ私道トラブル
私自身も、新人時代に私道を巡るトラブルを経験したことがあります。
公道と私道の両方に面した角地の物件で、建築計画上、私道側からの出入りを予定していました。
しかし、基礎ができた段階で私道所有者から使用を拒否され、計画を大きく変更することになりました。
このように、私道に面した土地では、思わぬトラブルが生じる可能性があります。
おわりに
道路に関する知識は、売買だけでなく、賃貸や管理の現場においても非常に重要です。
特に、接道義務、二項道路、私道の扱いについては、実際に関わった際に大きな問題になりやすいポイントです。
すべてを完璧に理解する必要はありませんが、「注意すべきポイントがどこにあるのか」を知っておくだけでも、リスクを大きく減らすことができます。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。


