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賃貸借②~転貸借と賃借権譲渡~

最新更新日 2026年02月11日
執筆:宅地建物取引士・賃貸不動産経営管理士 三好 貴大

今回は、前回に続いて賃貸借の続きについて解説します。
賃貸借は賃貸の実務において非常に多く用いられる制度であり、特に転貸借や賃借権譲渡は、トラブルになりやすい重要なポイントです。

今回はその2つの規定に焦点を当てて解説します。

本記事は、当社YouTubeチャンネルで公開している
「賃貸借②」
という動画の内容を、文字で整理したものです。

転貸借

大家さんが物件を貸し、その借主がさらに第三者に貸すことを転貸(サブリース)といいます。簡単にいえば「又貸し」ですね。

構造としては、
賃貸人 → 賃借人(転貸人) ⇒ 転借人
となります。

この流れの中で、
・大家さん(賃貸人)と最初の賃借人との契約を「マスターリース」
・賃借人と転借人との契約を「サブリース」

と呼びます。

ただし、全体の仕組みをまとめて「サブリース」と表現することも多いため、文脈に応じた理解が必要です。

転々貸

ちなみに、転貸していた物件をさらに転貸する「転々貸」という形もあり得ます。

構造としては、
賃貸人 → 賃借人(転貸人) ⇒ 転借人(転々貸人) → 転々借人
となります。

大手法人の場合は従業員数が多く、それらを社内で全て管理するのは大変なので社宅代行業者に依頼していることが多いです。
その場合、社宅代行だけを依頼しているケースもあれば、社宅代行業者が賃借し、大手法人に転貸しているケースがあります。

加えて、大家さん側もマスターリース契約を結んでいると、以下のような構造になります。
大家さん → サブリース業者 ⇒ 社宅代行業者 → 大手法人

関係者が増えても、法的な考え方自体はシンプルです。
余談ですが、サブリース業者が関与する場合には、特定賃貸借に関する重要事項説明が必要となりますが、これは賃貸住宅管理業法の範囲なので今回は割愛します。

家賃滞納時は転借人に対しても賃料を請求できる

サブリース業者から賃料が払われない可能性があります。
以前に問題となった「かぼちゃの馬車」の事件では、まさにこの問題が発生しました。

この場合は、賃貸人である大家さんから転借人に対して賃料を直接支払うよう請求できます。

しかし、注意点が2つありますので覚えておきましょう。
・最初は、賃借人であるサブリース業者に対して支払いを請求する
・請求できるのはマスターリースで定められた賃料まで

債務不履行による契約解除

賃借人が一定期間家賃を支払わない場合、債務不履行でマスターリース契約を解除できます。
この場合、日本の法律ではサブリース契約も原則として同時に解除されます。

そのため、重要事項説明では、サブリースが行われている場合、そのリスクについて説明しています。
ちなみに、転借人が適切に家賃を支払っている場合は、大家さんと転借人が直接契約を結び直す、という対応が行われることもあります。

賃借権譲渡

賃借権譲渡とは、借主が有している「借りる権利」を第三者に譲渡することです。
無償・有償いずれもあり、店舗の事業譲渡に伴って賃借権が移転するケースもあります。

賃貸人の承諾が必要

賃借権譲渡には、必ず賃貸人(大家さん)の承諾が必要です。
承諾を得ずに行った場合、”背信的”無断譲渡として契約解除が認められる可能性があります。

背信的、つまり信頼関係に傷をつけるような行為の場合は契約解除となりますが、例えば親子や兄弟といった親族間で使用者が変わった場合などは、背信的とまではいえないと解除が認められない場合があります。

ちなみに、転貸も無断転貸は契約解除の対象となります。

譲渡後の賃料請求

賃借権を譲渡した後は、契約関係が移転するため、元の借主には請求できません

先ほどの転貸では、転貸人に直接請求できる余地があるとお伝えしましたので、混同しないよう整理しておきましょう。

ちなみに、賃借権譲渡は、名義変更や覚書で対応することもありますが、
・保証会社は名義変更できない場合が多い
・重要事項について新賃借人が理解していない

といった問題が発生する恐れがあり、実務上は既存の契約を一度終了し、新たに契約を結び直す「まき直し」が多くなっています。

おわりに

今回は、転貸借(サブリース)と賃借権譲渡について解説しました。

あまり賃貸の実務で今回解説した知識を使う場面は多くありませんが、だからこそ関わる機会があったときに思い出す、または調べられるようアンテナを張れる体制を作っておくことが重要です。

最後までお読みいただきありがとうございました。

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