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~民法上の賃貸借の基本的な定め~

最新更新日 2026年02月11日
執筆:宅地建物取引士・賃貸不動産経営管理士 三好 貴大

民法の中で、大家さんや賃貸仲介・管理に関わる方に最も重要なのが「賃貸借」に関する規定です。

大家さんが賃貸する居住用・事業用の建物には、「借地借家法」が適用されます。
借地借家法は、「賃貸借」という法律の中で、「借地」と「借家」という特定のものに対しては、より強く借主を保護するために設けられている特別法を適用するものです。

通常の賃貸借と借地借家法のそれぞれの規定の違いを理解するためにも、まずは基本となる「賃貸借」に関する規定を解説していきます。

本記事は、当社YouTubeチャンネルで公開している
「賃貸借①」
という動画の内容を、文字で整理したものです。

借地借家法が適用されない賃貸借

借地借家法が適用されない代表例は、駐車場やバイク置き場です。
実務上、駐車場を貸している大家さんは非常に多いため、これは必ず押さえておきたいポイントです。

あまり一般的ではありませんが、裁判例ではプレハブ小屋のようなものが問題となったケースもあります。
これらも借地借家法の適用が否定され、民法上の賃貸借として扱われることがあります。

賃貸借は諾成で成立

賃貸借は、原則として諾成契約です。
つまり、書面がなくても、口約束で成立します。

契約書が存在しない場合には、民法の規定に基づいて判断されます。
一方で、契約書がある場合には、原則としてその記載内容が優先されます。

ただし、
・契約書に記載がない事項
・民法に反して無効となる条項

については、民法の規定が適用されることになります。

解約予告と期間の考え方

契約書が存在しない場合、民法上のオーナーからの解約予告期間は以下となります。

・土地(駐車場やバイク置場): 1年前予告
・建物:3か月前予告

ちなみに、契約書には賃貸人からの解約予告期間を3~6か月と定めている場合があります。
しかし、借主からすると、短期間で次の利用先を探すのは困難であり、それとは別にその条項の有効性が争われる余地もあります。
少なくとも、駐車場については1年間の予告期間を守っていれば、法律上、原則として解約が可能です。

法定更新のリスク

自動更新の場合は関係ありませんが、合意更新の場合は注意が必要です。
更新案内を出し忘れた、あるいは更新案内は出したが借主から無反応といった状況で合意更新が締結できず、借主が使い続けているのに異議を述べなかった場合、一定期間の経過により「法定更新」となります。

法定更新になると、基本的には従前の契約内容のままとなりますが、大きな問題は契約期間の定めがなくなることです。
つまり、更新料の支払いを定めていた場合は、原則として更新料を受領できなくなってしまいます

また、更新のタイミングで立退き(更新拒絶)や賃料増額を交渉するケースが多いので、そのタイミングが失われてしまうのは実務上の難点です。
そのため、法定更新は極力避けるべき状態といえます。

全部滅失と一部滅失

火災や地震で建物が完全に消滅した場合、賃貸借の目的物自体がなくなるため、契約は終了します。

一方で、エアコンの故障、水道の不具合など、建物の一部が使えなくなった場合は、原因によって扱いが異なります。

借主の責任の場合

借主の故意・過失による場合、オーナーの修繕義務はなく、借主が原状回復を行います。

借主の責任でない場合

経年劣化や自然災害などの場合には、オーナーに修繕義務が発生します。

故障が発生した場合、借主は必ずオーナーまたは管理会社に通知しなければなりません。無断で修理することは原則として認められません。

しかし、通知したにも関わらずオーナーが対応しない場合、借主が修理を行い、その費用を必要費として償還請求できます。つまり、借主が立て替えて支払った分をオーナーは返還しなければなりません

この場合、借主は修繕に関する知識が乏しいケースが多いため、メーカーに依頼すれば修理で直ったのに、交換で手配してしまって修理に比べて費用が増加する場合があります。
また、修理の場合も高い業者を手配してしまって多額の修理費が発生している場合もありますので、このような事態は避けたいものです。

有益費との違いとトラブル防止

有益費とは、建物の価値を明らかに高めるために支出された費用をいいます。

例として、
・エアコンがなかった部屋に新設した
・修理で足りるものを新品に交換した(新品にしたことで既存設備の価値が増えた分)
といったケースです。

有益費については、契約書で「償還請求を行わない」と定める特約を設けることで、請求を防ぐことができます。これは実務上、非常に重要なポイントです。
なお、必要費の償還請求権の排除は認められていません。

おわりに

今回は、賃貸借の基本構造と、借地借家法との関係、そして実務上問題となりやすいポイントについて解説しました。
次回は、借地借家法を中心に、より踏み込んだ内容を解説していきます。

最後までお読みいただきありがとうございました。

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