分譲(区分)マンションを保有する不動産オーナーも多く、それに携わる賃貸仲介・管理の方も数多くいます。
投資用マンションとして購入した場合もあれば、かつてマイホームとして購入した住戸を、転勤やライフスタイルの変化により貸し出すケースもあります。
さらに、一見すると一棟の建物に見えても、登記上は部屋ごとに区分されていることもあります。
しかし、一棟の賃貸マンション・賃貸アパートと何が異なるのか、という肝心な基本部分が分からないという方は多く、私も新人の頃はその一人でした。
今回は「区分所有法」という法律の中で、賃貸に関わる方には知っておいて欲しい基礎知識について解説します。
本記事は、当社YouTubeチャンネルで公開している
「区分所有法」
という動画の内容を、文字で整理したものです。
区分登記とは
通常、マンションやアパートは一棟の建物として登記されます。
しかし、一定の要件を満たせば、建物を部屋ごとに区分して登記することが可能です。
例えば、
・1号室、2号室、3号室と部屋番号ごとに登記する
・1階、2階、3階と階ごとに登記する
といった具合です。
このような登記の方法を「区分登記」といいます。
例:分譲マンション
代表的な例が「分譲マンション」です。
通常の概念でいえば、それぞれの部屋に住んでいる方々で建物全体を共有状態となってしまいますが、それでは様々な問題が生じます。
例えば、ある部屋を貸し出したい、契約を解除したいといった場合でも、共有者の過半数の同意が必要になるなど、実務上大きな支障が出てきます。
区分登記を行うことで、建物は物理的に一体であっても、法律上は部屋ごとに独立した所有権を設定することができ、こうした共有の問題を回避できます。
なお、一室を夫婦で共有している場合や、相続によって複数人が所有している場合もありますが、建物全体を共有している状態とは異なります。
専有部分と共用部分
分譲マンションをはじめ、賃貸募集を行う際、募集図面やインターネット掲載では、部屋ごとの平米数が表示されています。
この面積は、多くの場合「壁芯(へきしん)」で計算されています。
壁芯とは、壁の中心線から反対側の壁の中心線までを床面積として算出する方法です。
建築図面も基本的にこの考え方で作成されています。そのため、図面上の寸法と実際に使用できる室内寸法には差が生じることがあります。
内法面積との違い
一方、分譲マンションの登記簿に記載されている床面積は、「内法(うちのり)」で計算されています。これは壁の内側から内側までを測った、実際に使用できる面積です。
そのため、販売図面やマイソクに記載されている面積より、登記簿上の面積が少なくなることが一般的です。
この違いを理解していないと、面積に関するトラブルにつながることもあるため、注意が必要です。
共用部分の種類
分譲マンションには、法定共用部分と規定共用部分の二種類があります。
法定共用部分
廊下や階段など、明らかに共用として使用される部分がこれに該当します。
特定の人が専有することはできず、当然に共用部分となります。
規定共用部分
管理人室や集会場、コミュニティルームなどは、物理的には誰かが所有し、専有することも可能です。
しかし、用途を考えると管理上好ましくありませんので、規約によって共用部分と定め、規定共用部分として扱います。この場合、その登記を行う必要があります。
実務上、この登記を行うのは主にデベロッパーですが、知識として理解しておくことは重要です。
共用設備と修繕の注意点
共用設備は、主に専有部分と外部の境界にあたる部分にある設備となります。
代表例は玄関扉やサッシです。
例えば、バルコニーに面した掃き出し窓や腰高窓は、基本的に共用設備です。
そのため、結露対策や断熱対策として内側に二重窓(インナーサッシ)を設置することは可能な場合が多いですが、サッシ自体を交換する場合は、必ず管理組合の承認が必要で、もしガラスの熱割れや飛来物による破損が発生した場合は管理組合の費用で修繕するのが一般的です。
バルコニーは専有部分ではない
バルコニーは個人専用のスペースのように感じられますが、避難経路としての役割もあるため、正式には共用部分です。
そのため、洗濯物干し程度であれば許容範囲ですが、本来は個人の植木や私物を置くことは適切ではありません。
分譲マンションにあるもの
区分登記されていない建物(一棟賃貸アパート等)にはなく、分譲(区分)マンションにはあるという特定のものがいくつかあります。
管理組合と議事録
分譲マンションでは、建物全体を適切に管理するため、必ず管理組合が設置されます。
管理組合は年に一度、総会を開催し、修繕積立金の状況や修繕計画、管理費の収支などを報告します。
その内容は議事録として残され、賃貸管理や仲介業務においても確認が必要な情報が含まれていることがあります。売買では直近数年分を確認するのが一般的ですが、賃貸においても把握しておくと安心です。
敷地権
建物は区分登記できますが、土地を部屋ごとに分けて登記することはできません。
そのため、古いマンションでは土地が建物所有者たちによる共有状態になっているケースがあります。
この場合、登記簿が非常に複雑になり、所有権移転が正しく行われていないケースも見受けられます。
敷地権のメリット
敷地権が設定されていれば、建物の区分所有権を移転するだけで、土地の持分も自動的に移転します。
土地について個別に登記を行う必要がなくなるため、実務上非常に合理的です。
賃貸では意識する場面は少ないものの、売買においては敷地権の有無を必ず確認する習慣をつけることが重要です。
賃貸で敷地権が付いていることで嬉しい場面もあります。
たまに壁芯の面積を知りたいのに、それを確認できる資料がすぐ入手できないという場合があります。
その場合は、建物の登記簿に記載された「敷地権の割合」という部分を確認することで調べることが可能です。
例えば、「297898分の7526」と記載されていれば、75.26平米であることが確認できます。
この割合は壁芯に基づいた割合となっています。
マンション管理会社
賃貸募集・管理する場合は、修繕のルールを把握するためにも、規約は必ず取得しておくことが望ましいです。
しかし、オーナーの手元にない場合や、オーナーの持っている規約は内容が変更になっているため最新の情報ではない場合があります。
分譲マンションは、マンション管理会社に委託しているケースがほとんどです。
その場合は、重調(重要事項調査報告書)や規約(管理規約)を有料で申請することで、賃貸する上で知っておきたい情報を確認することができます。
さいごに
今回は、区分所有法の基礎と、分譲マンションを扱う際に押さえておきたい実務上のポイントについて解説しました。
日々の賃貸管理や仲介業務の中で、ぜひ役立てていただければと思います。
最後までお読みいただきありがとうございました。


