前回は「不動産登記法」の中でも大家さんや賃貸仲介・管理に携わる方が知っておいた方が良い法律面の基礎知識について解説しました。
私自身、新人の頃に「登記簿を取ってきてください」と言われても、どこへ行き、何を調べ、どう手続きをすればよいのか分からず、非常に戸惑った経験があります。
登記簿の存在は知っていても、取得したことのある方でないと、実際の取得方法まではイメージできない方が多いのではないでしょうか。
不動産業に従事しない限り、人生で登記簿を取得する機会はほとんどありません。
そこで今回は、当時の自分と同じように悩む方のために、登記簿取得の方法と注意点を解説します。
本記事は、当社YouTubeチャンネルで公開している
「登記簿取得の実務」
という動画の内容を、文字で整理したものです。
登記簿の取得方法
登記簿は、後述するどちらの方法で取得する場合でも、全国すべての不動産の登記簿を取得できます。
取得方法は、大きく分けると二つあります。
法務局で取得する
法務局の窓口で紙の登記簿(登記事項証明書)を取得する方法です。
申請用紙の書き方は法務局で聞けば教えてもらえますし、見本も掲示してあります。
新人さんが記載する際に躓いてしまう部分は、後半で解説します。
オンラインで取得する
「登記情報提供サービス」を利用してオンラインで取得することも可能です。
正確には、登記簿に記載された情報を取得するといった方が正しいです。
自宅や事務所から取得できるため、非常に便利な方法といえます。
また、法務局で土地や建物を取得する場合は1通あたり600円ですが、オンラインの場合は331円なので、費用的にもお得です。
ただし、オンラインで取得した登記情報は、添付書類として利用できない場合があるという点に注意が必要です。
体裁が法務局発行の証明書と異なるため、提出先によっては受け付けてもらえないことがあります。
私自身、過去にこの点を知らず、オンラインで取得した登記情報を添付して提出したところ、「これは使用できません」と指摘された経験があります。その際、慌てて法務局へ行き、紙で取得し直しました。
このような事態を避けるためにも、登記簿の添付を求められた場合は、オンラインで取得したものでも可能なのか確認する、または念のため法務局で取得するのが良いでしょう。
地番・家屋番号の調査
登記簿を取得するためには、
・土地の場合は「地番」
・建物の場合は「家屋番号」
が必要になります。
住居表示との違いに注意
ここで多くの方がつまずくのが、住居表示と地番は異なるという点です。
住居表示は、郵便物を送る際などに使用する住所であり、誰でも簡単に調べることができます。
しかし、登記簿に記載されている「所在」は地番であり、住居表示とは一致しないケースがほとんどです。
そのため、住居表示だけを手がかりに登記簿を取得しようとしても、うまくいかないことがあります。
地番・家屋番号の調べ方
では、それらを調べる場合にはどのようにすれば良いのでしょうか。
購入時書類・納税通知書を確認させてもらう
売買契約書や重要事項説明書、固定資産税の納税通知書などには、地番や家屋番号が記載されています。
所有者であれば、まずこれらの書類を確認するのが近道です。
しかし、賃貸仲介・管理会社の立場としては、オーナーとの関係性によってはそれらを見せてもらいたいと言い辛い状況もあると思います。
その場合は以下の方法で調べます。
土地の地番は地図で調べる
法務局には、地番が記載された地図が備え付けられています。
不明な場合でも、職員に相談すれば丁寧に教えてもらえるため、初めての方には法務局での取得がおすすめです。
オンラインの場合は、不動産情報の入力画面に「地番検索サービス」という場所があり、そこから地図を見て地番を調べることも可能です。
建物の家屋番号は、分譲マンションなら電話で調べる
土地と比べて、建物の調査はやや複雑です。
しかし、分譲マンションの場合は、法務局の「地番照会」の番号に電話して、住居表示・マンション名・部屋番号を伝えれば、すぐに教えてもらえます。
分譲マンションでない場合は、同じ地番内に1つしか情報がなければ大体その登記を取得することで入手できますが、同じ地番内に複数の建物がある場合は、全て取得してみなければ分かりません。
1棟のマンションが区分登記されていて、すべて同じ建物の登記だったという場合もあります。
実務でよく取得する登記情報
最後に、実務上よく取得する機会の多い登記情報について解説します。
全部事項証明書
最も基本となるのが、全部事項証明書です。
不動産の概要、所有者、抵当権などの権利関係を一通り確認できます。
なお、「共同担保目録」は不要・要から選べますが、私はいつも「要」を付けて取得しています。
詳細は割愛しますが、後から再取得する手間を省け、参考資料としても有用だからです。
地図(公図)
実務では「公図」と呼ばれる、地番ごとの区分を示した地図もよく取得します。
これは、グーグルマップのような地図ではなく、登記上の区画を示す図面です。
土地のつながり方や測量状況を把握することができ、特に大家さんとの相談や調査の場面で役立ちます。
地積測量図・建物図面
これらを取得することで、土地の測量が実施されていればその土地の寸法を確認することができます。
また、古い建物で間取り図がない一戸建ての場合は、建物図面(各階平面図)に寸法が書いてありますので、あとは現地の寸法を測っていくと間取り図の作成が楽になります。
さいごに
登記簿取得は、最初こそ戸惑うものの、基本的な流れを理解すれば決して難しいものではありません。
地番・家屋番号の調べ方だけ知っておけば、申請方法自体は簡単なので、あとは何回か取得して慣れていくだけです。
最後までお読みいただきありがとうございました。


