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不法行為とは?~事故発生時の責任の所在~

最新更新日 2026年02月03日
執筆:宅地建物取引士・賃貸不動産経営管理士 三好 貴大

賃貸不動産の管理を行っていると、思わぬ事故に遭遇することがあります。
その際、誰か・何かが被害にあったとき、どのような事故の場合に誰に責任が及び、損害賠償しなければいけないのか、管理会社や不動産オーナーは知っておきたい「不法行為」について解説しました。

本記事は、当社YouTubeチャンネルで公開している
「不法行為」
という動画の内容を、文字で整理したものです。

使用者責任

業務に従事する者が、その業務中に第三者に損害を与えてしまった場合に、使用者が責任を負うという考え方です。

実例:清掃業者による事故

私が過去に管理していた物件で、共用部の清掃中に事故が発生したことがありました。
清掃業者がポリッシャーを使用して床の作業をしていた際、そのコードに入居者の方が気付かず、階段の扉を開けて出ようとしたところ、コードに引っかかって転倒してしまい、病院で治療を受ける事態となりました。

誰が責任を負うのか

このような場合、被害者は、実際に作業を行っていた清掃業者に対して損害賠償を請求することができます。
また、その業者を手配していた大家さん、すなわち使用者に対しても、全額の賠償を請求することが可能です。

前記のケースでは、清掃業者の社長が自ら謝罪に伺い、治療費(損害賠償)を全額支払うという対応を取ってくださったため、大家さんが直接支払うことなく解決しました。

求償という考え方

一方で、業者の対応に十分な誠意が見られない場合には、被害者である入居者は、大家さんに対して損害賠償請求を行うこともあります。
ただし、その場合でも、清掃業者に責任があると判断されれば、大家さんはその業者に対して「求償」を行い、自らが支払った損害賠償額を回収することができます。

このように、使用者責任においては、形式上は大家さんに請求が及ぶことがあっても、最終的な責任の所在は業者側にあるケースが多いという点が重要です。

工作物責任

例えば、建物の外壁や屋根材などの工作物の一部が落下し、第三者に被害が生じた場合などに問題となる責任です。

占有者と所有者の関係

この場合、まず責任を負うのは「占有者」とされます。
占有者とは、その物件を実際に管理・使用できる立場の者を指し、実務上は賃貸人や管理会社が該当することが一般的です。

例えば、外壁の一部が落下して人に当たった場合や、敷地内に駐車していた車の上に屋根材が落下して損害が発生した場合には、占有者に対して損害賠償を請求することができます。

無過失責任という考え方

仮に、管理会社が定期点検を行い、危険箇所もなく、最低限の管理をしっかり行っていたにもかかわらず事故が起きた場合であっても、被害者が泣き寝入りすることにはなりません。
その場合、占有者に責任がない場合は、最終的にはその工作物(建物)の所有者が責任を負うことになります。

これは、所有者に過失がなくても責任が生じる「無過失責任」という考え方によるものです。

工作物責任に備える保険の重要性

人身事故が発生した場合、数百万円どころか数千万円の賠償が必要になることも想定されます。
こうしたリスクに備えるためにも、火災保険に加入する際には、保険会社によって名称は異なりますが「所有者賠償責任特約」を付帯することが非常に重要です。

これらの保険は、きちんと管理していたにもかかわらず事故が発生した場合に使用でき、保険料も比較的安価です。新規加入時や更新時には、ぜひ内容を確認していただきたいと思います。

不法行為の時効

最後に、不法行為の時効について触れておきます。
原則として、損害および加害者を知った時から3年で時効となります。ただし、人身被害の場合は5年とされています。

一方で、損害や加害者が分からない場合には時効は進行せず、不法行為が発生してから20年が経過すると時効となります。

保険申請期限にも注意

なお、保険の申請期限は原則として被害発生から3年です。
対応が遅れると、保険が使えなくなる可能性がありますので、事故が発生した場合には、できるだけ早く申請することが重要です。

なお、地震保険は3年以上経過してからその被害が確認されることもありますので、3年を超えても申請できる場合があります
私自身も東日本大震災から7年経過していましたが、申請して保険金を受領できた案件もありました。

さいごに

使用者責任、工作物責任のいずれにおいても、大家さんに責任が及ぶ可能性があります。
そのため、日頃から業者との関係性を整え、建物の保全に努めることが重要です。

また、保険によるリスクヘッジも欠かせません。ぜひ今回の内容を踏まえ、改めて管理体制や保険内容を見直していただければと思います。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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