不動産会社は非常に数が多く、一口に不動産会社と言っても、さまざまな業種があります。
その中で、賃貸管理業に特化して新たに会社を設立するというケースは、実は非常に珍しいと感じています。
そのような中で、なぜ弊社が賃貸管理業に特化して会社を設立したのか、また、賃貸管理業を行うにあたって、どのような想いを持って取り組んでいるのかをお伝えします。
利益相反がない
これが最も重要なポイントだと考えています。
不動産業界にはさまざまな業態があります。
買取・再販(転売)
不動産を安く買い取って、その不動産の抱える問題を解消し、買い取った価格よい高く転売して転売益を得える事業です。
開発
例えば、古い一戸建てが建っていた土地を仕入れ、その土地を分割し、それぞれに建物を建てて販売する建売事業や、大きい土地であれば分譲マンションを建築して販売するデベロッパー等です。
売買仲介
売買仲介には、大きく分けると2パターンあります。
【買主側の売買仲介】
マイホームや投資物件を購入したい方に対して、どのような物件が希望かをヒアリングし、物件を探してきて購入していただく仲介業務。
【売主側の売買仲介】
「この不動産を売りたい」というご依頼を受けて売却活動を行い、成約へと結びつけていく仲介業務。
賃貸仲介
仕組み自体は売買と非常に似ています。
家を借りたいという方に対してお部屋を紹介する借主側の賃貸仲介と、大家さんから「空室を募集してほしい」とお任せいただき、募集活動を行って成約へと結びつける貸主側の賃貸仲介があります。
利益相反の発生~買取・再販、開発~
不動産業界では、概ね上記の業種が主流ですが、これらの業態は、利益相反が非常に生じやすい特徴があります。
例えば、買取・再販や開発では、土地を仕入れる段階で、所有者はできるだけ高く買ってほしいと考えます。一方で、不動産業者側は、言葉を選ばずに言えば「いかに買い叩くか」「どれだけ価格を抑えられるか」が利益に直結します。
そのため、「高く売りたい人」と「安く買いたい自分たち」との間でせめぎ合いが生じ、相手方の利益と自分たちの利益が相反(敵対)する関係になってしまうのです。
また、再販・転売する際には、なるべく安く買いたいと考えている買主に対して、価格をできるだけ引き上げていく交渉を行う必要があります。
そうすると、「なるべく安く買いたい」という相手方の希望と、「なるべく高く売って利益を確保したい」という自社の利益とが食い違ってしまうことになります。
利益相反の発生~仲介~
売買仲介や賃貸仲介についても、その構造は非常によく似ています。
例えば、お部屋を探している方やマイホームを購入したいと考えている方は、なるべく安く借りたい・買いたいと考えていますが、不動産業者としては賃料や売買価格が高い物件の方が仲介手数料は多くなります。
さらに、所有者から依頼を受ける際は、なるべく高く貸したい・売りたいという意向があると思います。
本来であれば1億円で売却できる物件であったとしても、これを7,000~8,000万円程度まで価格を抑えられれば、売主だけでなく、直接買主を見つけることができる可能性が高まりますので、両手仲介の実現ができます。
例えば、売買価格が1億円の場合、仲介手数料は3%+6万円(税別)なので、片方からの手数料は336.6万円です。
仮に8,000万円になった場合、270.6万円になってしまいますが、直接買主を見つけられれば270.6万円×2=541.2万円となり、1億円で売却するよりも手数料は大幅に増えます。
そうなると、なるべく高く売却するよりも、価格を抑えて両手仲介したいという気持ちが強くなることは確実です。
これは、賃貸仲介における賃料設定でも同じことが言えます。
なぜ賃貸管理業には利益相反がないのか
弊社の場合には、満室を実現し、賃料収入を最大化させます。
次に、ランニングコストやその他費用を見直すことで、意外と支出を削減できる場合があります。
同時に、もっと収入を増やせないか、新たな収益源は生み出せないか、を検討して実施することで、以前に比べて粗利益が増えます。
その粗利益を活用し、予測できる設備トラブルへの対処、共用部の管理状態の改善等を実施し、その他リスク要因の排除を進めていきます。
それらを実現していくと、入居者はトラブルが少なく安心して暮らせる物件で生活ができるため嬉しい。
大家さんは収益が増えてトラブルも減るので嬉しい。
管理会社は賃料×〇%という報酬形態なので、仕事は減るのに手数料はしっかりもらえて嬉しい。
このように、三者すべてが満足できる状態「三方よし」を実現できるのが賃貸管理業の大きな特長だと考えています。
(奇しくも、私の苗字は「三好」です。笑)
生い立ちと経緯
私自身のパーソナルな部分に踏み込みます。
幼少期
私は、物心がついた頃には両親が離婚しており、母親と一緒に、田舎の愛媛から東京へ出てきました。その後、母親は私と兄を養うために、一生懸命働きに出るようになりました。
しかしながら、親から十分な愛情を受けたい多感な幼少期に、母親と一緒にいる時間が少なかったこともあり、心のどこかに満たされない気持ちを抱えるようになりました。
その結果、学校では問題行動ばかりを起こすようになり、手のかかる子どもでした。
今振り返ると、本当に親に対して申し訳なかったと感じています。
学生時代
中学生の頃には、「自分は本当に必要とされているのだろうか」「自分などいなくても良かったのではないか」といった辛い気持ちを抱くようになりました。
人生の転機になったのは、高校に進学する直前に出会ったエレキギターでした。
一生懸命に練習し、「うちのバンドで演奏してほしい」「さっきライブでの演奏とても良かった」といった言葉をもらうと、人から必要とされていることがとても嬉しかったです。
この経験から、私は「人に必要とされたい」という想いが強いことを知りました。
その後、大学の音楽関係の学部に進学しましたが、1年生の夏に更なる転機が訪れました。
母親の仕事の都合で、「自分で学費を稼ぐか」「大学を退学するか」のいずれかを選択することになりました。
最終的に、大学1年終了とともに休学し、働いて卒業までに必要な資金を貯めて復学することを決意しました。
ブラック企業入社
そして、入社した後で知りましたが、ブラック企業と名高い会社に入り、電話営業に従事しました。
最初の3か月間はまったく成績が出ず、毎日のように大勢いるフロアで厳しく叱責され続けました。
そして、4か月目には、「お前は営業では使えない」と戦力外通告を受けることになります。
そんな中で、偶然退社して見かけなくなった成績優秀な先輩と出会い、その方から営業のイロハを教わりました。
すると、私が教わってきた内容と、その先輩が教えてくれる方法は、まったく異なるもので、半信半疑のまま実践してみたところ、数か月後には東日本のトップ10に入り表彰されるようになりました。
自分が正しいと思っていることと、実際にうまくいく方法とは必ずしも一致しないということです。つまり、自分の固定観念を疑うことの大事さを学びました。
そして、2年間でお金を貯め、大学に復学し、卒業までの3年間を含めて、合計5年間ブラック企業でお世話になりました。
営業という仕事そのものは、実績が数字として明確に表れ、それを評価してもらえるという点で好きでした。
しかし、自分の利益よりも、相手にとって必要ないものは必要ないと、相手の立場に立って伝えられる仕事したいという気持ちも強くなっていきました。
賃貸管理業との出会い
大学卒業後は半年間だけ、諸事情によりまったく別の仕事に就きましたが、その後に最初の修業先である不動産会社に転職し、賃貸管理業と出会いました。
不動産業に興味を持ったのは、大学時代に偶然読んだ不労所得に関する本があり、「不動産を所有していれば何もしなくても家賃収入が得られる。不動産業に入って賃貸経営について知りたい」と思ったのが本音で、非常に浅はかな動機でした。
同時に、「不動産業でありながら、相手の立場に立って提案できる会社はないかな・・・」と探していたところ、賃貸管理業に加えてコンサルティングを売りにしている不動産会社を見つけて入社しました。
しかし、多種多様なお悩みを抱えている大家さんが多いことを知りました。
空室、家賃滞納、賃貸トラブル、資金繰り、相続問題、様々な問題に直面し、「何とか力になれないか」と強く感じ、一生懸命に勉強して、試行錯誤して様々な問題に取り組んでいきました。
ブラック企業で学んだ「固定概念を疑う」という習慣は大きな武器になり、みるみるうちに状況が改善され、大家さんから強く感謝されるようになりました。
これはまさに、幼少期から私が抱いてきた「必要とされたい」「感謝されたい」「褒められたい」といった、強い承認欲求を満たしてくれるものでした
高まり続ける感謝
買取・再販、開発、売買仲介、賃貸仲介といった業態は、取引を行っている間はお付き合いがありますが、基本的には取引完了とともに関係性も終了してしまいます。
賃貸管理業は、入居した時点から関係性が始まり、そこから関係性が続いていきます。
大家さんとは、その方が退去した後も、募集をはじめ関係性は継続していきます。
そして、前記のように管理状態を改善していき、トラブルが発生しても迅速に対応することで、「いつもすぐ対応してくれてありがとうございます」「三好さんがいるから、安心して賃貸できています」と、継続的に感謝され続けていきます。
どんどん感謝の量も深さも増えていくことで、私自身もどんどん満たされていく感覚があり、賃貸管理業を一生やっていこうと心に決めました。
ポジショニング
ここまでは心理的な話でしたが、実は合理的な理由もあります。
まず、賃貸管理業者には、3つのパターンがあります。
地場業者
昔から地元で営業を続けている不動産会社です。
大手業者
どんどん規模を拡大して知名度を上げて、多くの管理戸数を抱えている会社です。
価格競争型の新興企業
例えば、管理委託料について、上記の2パターンでは賃料・管理費等の3~5%が相場ですが、最近では定額1,000円や管理料0円という会社も出てきています。
弊社のポジション
弊社の場合は、基本的には5%(管理する範囲により減額)をしっかりいただく代わりに、「それでも安いよね」と言っていただけるくらいの付加価値を提供していくことを目指しています。
つまり、費用対効果が高いという高付加価値型の会社で、実は賃貸管理業者の中ではかなり少ないです。
そのため、弊社のお客様のほとんどは従前の不動産会社に不満を持ち、「しっかり払うからしっかりやってほしい」と考えていた大家さんで、弊社が管理するおとでみるみるうちに状態が良くなっていく姿を目にしています。
ビジネスモデル
高付加価値型の賃貸管理業者が少ない背景には、ビジネスモデルが非常に大きく影響していると考えています。
管理担当者の質
賃貸管理業を行っている会社の多くは、借主側の賃貸仲介(お部屋探し)をセットで行っているケースが非常に多いです。
お部屋探しは、仲介手数料という売上が明確に数字として表れます。
その分、社員に対してインセンティブを支払いやすい仕組みになっています。
賃貸管理業は、誰がどの程度会社に対して利益を生み出し、貢献しているのかを測ることが非常に難しく、数値化しづらいです。
そのため、多くの会社では、仕事ができる社員にはお部屋探し(賃貸仲介)を担当させて売上を増やし、営業が得意でない社員には、できるだけ少ない人数で、できるだけ多くの管理物件を担当させます。
そうすることで、管理料の売り上げは一定なので、人件費をどんどん圧縮することで粗利益を増やすことができます。
その結果、管理担当者としては、給与は増えないのに仕事は増える、顧客との応対が得意でないのにトラブル対応を求められるといった矛盾から、離職率も高く、人が育たない傾向があります。
そのような構造から、特に問題が起きなければ表面化しませんが、ひとたびトラブルが発生すると、「連絡が遅い」「対応が悪い」とストレスを抱えるケースがあり、大きな不満や不信感を抱いた状態でご相談をいただくケースが非常に多いです。
幸いなことに、弊社のように小さな会社だからこそ高付加価値を実現し、管理物件数も順調に増えているのが現状です。
ストックビジネス
また、買取・再販や開発、売買仲介、賃貸仲介といった業態は、すべて「フロービジネス」と呼ばれています。
これは、月が変わるごとに売上がゼロからスタートし、常に新規契約を求め続けなければいけないビジネスモデルです。
一方で、賃貸管理業は「ストックビジネス」と呼ばれ、毎月の管理委託料という安定収入に加えて、契約の更新や再契約(定期借家契約)が発生した場合にも手数料が生じ、空室が出た場合は基本的に賃貸管理会社が募集(仲介)を行います。
そのため、損益分岐点を超える売り上げ規模になれば、非常に安定感のあるビジネスです。(弊社は、私が個人事業で損益分岐点を超える規模になったため法人化しました。)
とはいえ、安心しきって怠慢になることは絶対に避ける必要があり、日々の勉強や様々な取り組みは怠りません。
物価連動型ビジネス
家賃相場が上がれば上がるほど、つまり物価が上昇すればするほど、管理手数料に加えて各種手数料も連動して上がっていきます。
そのため、周囲で物価が高騰している状況であっても、同時に売上も伸びていくため、その点でも不動産業界以外に比べて安心して営むことができます。
賃貸管理業というのは、ゼロから管理戸数を増やしていく段階は非常に大変ですが、一定の規模まで到達すると、経営が非常に安定します。
最近ではM&A(会社の売買)も盛んに行われています。
以前、不動産関連の交流会で、あるM&A仲介会社の営業担当の方とお話しした際に、不動産会社の中でも管理会社は高く売却でき、購入したい企業も多いという話を聞きました。
さいごに
最初の3つは私自身の感覚や価値観、パーソナリティに基づく話でしたが、最後の2つは生々しく合理的な話でした。
ただ、こうした生々しい話もお伝えすることで、理想論だけではないと知っていただくことができるのではないかと思い、あえて赤裸々にお話ししました。
大家さんに対して誠意を持って、安定したサービスを提供し続けていくためにも、むやみに規模の拡大や多角化を求めず、賃貸管理業に特化し、今後も特化し続けていきます。
最後までご覧いただき、誠にありがとうございました。


