不動産会社に限らず、多くの会社は「弊社にはこのような魅力があります!」「弊社にはこのような強みがあります!」といった、自社の良い点ばかりを発信しています。
その一方で、他社と比較した際に劣ってしまう可能性のあるデメリットについて開示しているケースは、ほとんど見かけないのが現状です。
そのため、「本当にこの会社は大丈夫なのだろうか」と不安に感じる方も多いと思います。だからこそ、商品購入や契約の判断を行う際には、さまざまな情報を調べたり、口コミを確認したりしながら、リスクやデメリットとなり得る要素を探される方は少なくないと感じています。
ただ、そのような労力を掛けさせてしまう自体が不誠実なのではないか、と考えています。
弊社としては、リスクやデメリットとなり得る点について、包み隠さず開示させていただくことで、公平な目線で弊社にお任せいただくべきかどうかをご検討いただきたいと考えています。
そのような想いから、開業間もない頃に「弊社のリスクとデメリット」という動画を作成して公開しました。
その後、現在に至るまでに状況が変化してきたため、現状の実態に合わせて内容を変更した最新版(バージョン2)を解説致します。
4つの懸念点
①怪しい
弊社のホームページの会社概要では、電話番号が非公開となっています。
なお、大家さんや入居者様、賃借人様、関係業者には弊社の固定番号だけでなく、私の携帯番号も共有しています。
また、事務所は所在地付近に来ても看板ひとつ見当たらず、図面も一切掲示されていないことから、「本当にこの会社は大丈夫なのだろうか」といった不安や、「何となく怪しい」という印象が湧き上がるのではないかと思います。
②新設法人
弊社は2023年に設立したため、まだ社歴の浅い会社となります。
そのため、「倒産してしまうのではないか」という不安が生じるのではないかと思います。
③管理料高い?
近年、管理料の値下げ競争が非常に激しくなっており、管理委託料は総賃料の1~2%や定額1,000円、中には無料を謳っている会社もあります。
そのような中で、弊社では基本的に5%を一つの基準としております。ちなみに、管理内容の一部を大家さんがご自身で対応される場合は、管理料を下げることもあります。
しかし、前記のような安い業者が増えている現状では、他社と比較すると「高いのではないか」という印象を持たれる方もいると思います。
④現場スタッフ1名
万が一、私自身が病気や事故に遭った場合や、最悪のケースとして命に関わるような事態が起きた場合にどうするのか、という不安については、過去に多くの大家さんからの心配事項として挙げられてきた点です。
懸念点に対する弊社の想いや対応
ここまでの解説で「それならやめておこう」と感じられる方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、私自身がこうした大家さんの不安につながり得る点を把握している以上、それに対してどのように対応しているのか、どのようなリスクヘッジを行っているのか、あるいはあえてそのような体制を取っている理由もございます。
①怪しい
電話番号を公開していると、非常に多くの営業電話が掛かってきます。
集中してメールの作成や事務作業を行っている最中に、「このようなシステムは使えませんか」「何か良い物件情報はありませんか」と営業電話が入ると、業務効率が低下し、その電話対応中は大事なトラブルの連絡や契約に関する連絡を応対できなくなってしまいます。
また、事務所が駅から近く、目立つ場所にあると飛び込み営業の数も増え、営業電話と同様に業務効率の低下と大事な連絡の応対に影響が出てしまいます。
また、「お部屋を探しているのですが、良い物件ありませんか」と、お部屋探しの方が飛び込みで来られることも少なくありません。
弊社は賃貸管理業務を専門としておりますので、お部屋探しについては原則として受け付けておりません。
せっかく足を運んでいただいた方に対してお断りをすることになり、結果的に「せっかく来たのに」と不快な想いをさせてしまう可能性もあります。
そうした点を総合的に考えて、電話番号は非公開とし、駅から少し離れた場所で外には看板も設置しておりません。
また、駅近くだと駐車場の確保も難しいのが事情で、駅から少し離れるからこそ事務所の敷地内に駐車場を確保でき、現場へ急行するときにはすぐに移動できるという理由もあります。
②新設法人
私自身は、最初の会社で約4年間修業し、その後は業務委託として5年半ほど賃貸管理業に携わってきました。
この動画撮影時から約6年前はまったくゼロの状態からスタートしましたが、多くの大家さんに恵まれ、私自身が担当する管理物件を増やすことができました。
しかし、「現場スタッフ1名」というリスクに共通しますが、「万が一、私の身に何かあった場合に不安がある」という懸念は大家さんも私も共通の懸念でした。
その対策としては、私自身の仲間を増やす必要性がありましたが、業務委託という立場では、自分の仲間を増やしていくことは困難です。
前職の会社と相談し、私の担当する大家さんの物件は弊社が引き継ぎ、弊社のスタッフを増やすことでリスクを解消していくこととなりました。
つまり、会社は新設法人ですが、会社を存続できる売上を確保してから弊社の開業に移行したため、新規開業という訳でもない、という点はご安心いただければと思います。
また、ビジネスモデルとしても、賃貸管理業は管理委託料という安定した収益に加えて、契約期間毎に訪れる更新または再契約に伴う事務手数料があり、支出をコントロールすればキャッシュフローは安定しますので、倒産リスクは極めて低いと考えております。
③管理料高い?
他社様と比較した場合に高い、または同程度であることは否定の余地がありません。
しかし、なぜ弊社が管理料を下げていかないのかというと、賃貸管理業の仕組み自体に問題があると考えているからです。
問題1:担当者の評価が困難
賃貸管理業というのは、担当者への評価が非常に難しい業種です。
例えば、部屋探しの仲介営業(借主側の仲介業務)であれば、仲介手数料がそのまま売上額に直結しますので、その人の成績が明確になります。
一方で、この賃貸管理業というのは、売上の大小によって担当者の能力を判断することができません。
例えば、担当者Aの担当物件ではクレームが非常に少ない、担当者Bの担当物件ではクレームが非常に多い、といった違いがあったとしても、その差を数値化して明確に評価するのは困難です。
その結果、管理会社全体の効率を考えると、営業ができるスタッフは仲介営業を任せ、歩合(インセンティブ)をしっかり払うことで売上を増やしていってもらい、営業が得意ではないスタッフは管理部に配属させるケースは少なくありません。
そうなると、管理会社の多くは、なるべく多くの管理物件を、なるべく少ない人数に担当させることで、人件費を抑えて自社の利益(粗利)を最大化させるのが最適解という構図になってしまいます。
問題2:一人当たりの担当戸数の違い
例えば、管理料が2.5%で200件の管理物件を持つ場合と、5%で100件の管理物件を持つ場合とでは、管理料収入だけを見れば売上は同じになります。
裏を返せば、一人の担当者にとっては2倍の業務量であるにも関わらず、売上は同じということになります。
実際には、更新時の手数料や空室募集による手数料、売却依頼による売買仲介の手数料も見込んで管理料は安くしている側面もあると思いますが、その多くは仲介営業の成績になります。
2つの問題が生む実情
仲介営業部と管理部に分業化され、管理部の人数が削られているのに管理物件が増えていくと、現場のスタッフは目の前の業務に追われ、勉強する時間すら取れず、そもそも勉強しても評価されづらいため、負のスパイラルが生じて管理の品質は次第に低下していきます。
そのため、大家さんとしては、特に問題が起きなければ何も感じないかもしれませんが、ひとたびトラブルが発生すると「レスポンスが遅い」「応対が適当」「取り繕うような説明ばかりで、誠意を感じない」といった不満を感じるようになります。
弊社の方針
弊社はそのような事態が起こらないよう、管理料をしっかりと頂戴するとともに、お部屋探しの仲介営業は行わず、空室募集(貸主側の仲介営業)と賃貸管理に特化し、その一連の業務を一人の担当者が行う方針としています。
そして、しっかりと収入を得ながら時間を確保することで、賃貸管理に必要な幅広い知識を吸収し、一つの事案にしっかり頭を使って取り組むことで、期待を上回るサービスの提供を心掛けています。
さらに、何らかのトラブルが発生した場合でも、手が回らず対応が遅れるのではなく、いつでもすぐに現場へ駆けつけられるよう、十分な時間を確保しております。
そのような体制を維持するためには、安売り競争に参加するのではなく、適正な管理料をいただくことが重要であると考えております。
そのため、私自身は管理戸数を最大200戸までと定めており、今後採用するスタッフについても、原則として1名あたり200戸程度を上限とする方針です。
なお、現在の受託数と受託可能な残りの戸数は会社概要で公開しています。
④現場スタッフ1名
最後に、この点は私自身も非常に不安を感じております。
そのため、体調管理には特に気を配っており、食生活には注意し、睡眠はしっかり取り、適度な運動にも取り組んでおります。(社内に筋トレ用のベンチとダンベルを置いていることはご容赦ください。)
また、体制面での備えとして、弊社には事務スタッフが2名在籍しており、定休日の水曜日以外は基本的に常にどちらか1名が出勤する体制を取っております。
そのため、仮に私自身が病気などでやむを得ず休むことになった場合でも、私の代わりに内見の立ち会いに行き、内見者の人柄が問題ないか確認したり、来社が必要な事務手続きの対応をしたり、一定の対応ができる体制を整えております。
また、万が一私が入院して一週間ほど業務から離脱してしまうような事態が生じた場合には、前職がスタッフを派遣してサポートしてくれる取り決めを交わしております。
余談ですが、前職の会社には、私の修行時代に3年間苦楽を共にしたスタッフも在籍しており、私の業務の進め方についてもある程度理解しています。
理想は、できるだけ早く新しいスタッフが加わり、成長し、私の身に何かあった場合でもサポートしてくれる体制を整えることですが、拡大を急ぐことのリスクも理解していますので、着実に進めていきたいと考えております。
それまでの間は、弊社事務スタッフや前職の方々にサポートしていただきながら、最大限リスクを回避しながら業務に努めてまいります。
最後に
弊社のリスクやデメリットについて、率直に開示させていただきつつ、それぞれの項目について、私がどのように考え、どのような対応を行い、またどのようにリスクヘッジを図っているのかという全体像をお話しさせていただきました。
本日お話しした内容以外にも確認したいこと、ご質問があるかもしれません。
何かございましたら、お気軽にお問い合わせください。
最後までお読みいただきありがとうございました。


