賃貸経営を行っていると、
・不審者が出入りしている
・気付いたら共用設備が壊れていた
・部外者がごみを出していってしまう
といった様々なトラブルが発生する可能性があり、実際に頭を悩ませている不動産オーナーも珍しくありません。
そのようなトラブルを未然に防ぎ、万が一トラブルが発生した際に役立つのが「防犯カメラ(監視カメラ)」です。
賃貸マンション・賃貸アパートに防犯カメラを設置したいと思った時に気を付けるポイントについて解説していきます。
賃貸マンションに防犯カメラを設置する目的を決める
防犯カメラを設置する場合、「防犯」または「監視」のどちらなのか、あるいはその両方なのかといった”目的”を明確にしましょう。
例えば、
・不審者の出入りを防ぎたい→防犯
・共用設備がよく壊れるので犯人特定と証拠を押さえたい→監視
・部外者のごみ出しが頻発しているので防止と犯人特定をしたい→防犯&監視
といったようなイメージです。
効果的な防犯カメラ設置のテクニック
具体的な設置方法については後述しますが、目的が定まったら以下のようなことを意識して設置すれば、効果が高まります。
防犯の場合
防犯が目的の場合は「未然に防ぐこと」が目的となりますので、「防犯カメラを設置してますよ!見てますよ!」ということをいかにアピールするかが重要です。
そのためには、より目立つ場所に設置し、設置した場所やカメラが監視している場所に「防犯カメラ監視中!」といった掲示物を貼っておくことが重要です。
もし部外者ではなく入居者にアピールしたい状況の場合は、「防犯カメラ設置のお知らせ」といった配布物を投函するのも有効です。
「防犯カメラの存在を認知させること」が非常に重要なので、明かりのない暗い場所にポツンと設置してあったり、パッと見て分からない場所に設置してあったりしても効果は低くなってしまいます。
また、あくまで防犯カメラが設置してあることによる心理的な抑止効果を狙うため、ダミーのカメラでも一定の効果があります。
監視の場合
犯人を特定する場合は防犯とは反対に、「いかに犯人に知られず監視するか」が重要になります。
前述した明かりのない暗い場所にポツンと設置するのも有効ですし、隠しカメラのようにするのも有効です。ただし、後述するプライバシー関係は注意するようにしましょう。
また、ある世帯に不特定多数の人が出入りしているといったクレームがあった場合で、3階建ての賃貸マンションで2階の世帯である可能性があった場合、電池式・人感式の防犯カメラを3階に設置することで、消去法として2階以下というところまで絞り込むことができます。
順番に設置して様子を見ていくことで、該当世帯を特定していくことができます。
防犯&監視の場合
この場合は「防犯の場合」と同じように設置しましょう。
トラブルが収まれば問題ないですが、その後も発生する場合はカメラの映像を確認して、犯人が特定できれば注意喚起していきます。
もし犯人は映っていたが部外者で誰か分からない場合は、その映像写真を盛り込んだ貼り紙を作成して、目立つ場所に掲示すれば再発する可能性が一気に下がり、もし再発しても掲示し続けるとそのうち止まることが多いです。
防犯カメラの設置で気を付けること
では、防犯カメラを設置する際にどのようなことに気を付ければ良いのでしょうか?
主な注意点は4つあります。
①プライバシーを守る
防犯カメラを設置する際、専有部分内や準専有部分内(ベランダ内や郵便ポスト内)が映る場所には設置しないようにしましょう。
②手の届く場所には設置しない
人の手が届く場所に設置してしまうと、壊されてしまったり、向きを変えられてしまったりする可能性があります。
高い位置に設置しても棒で叩かれたり、脚立に上って悪戯されたりする可能性もありますが、その可能性はかなり低くなります。
ただし、監視用の場合はそのような場所に設置することができないことが多いので、前記を心掛けながら適切な場所に設置しましょう。
③死角が生まれない画角に設置する
防犯カメラを設置する際はなるべく同席して、どのように写っているか確認しながら微調整していきましょう。
設置をすべて業者任せにしてしまうと、いざトラブルがあってカメラを確認したら死角になっていて映っていなかったという場合があります。
また、そのような場合に後から画角を変更してもらうためには別途費用が発生するケースが多く、最初に設置でベストな画角で設置できるよう努めましょう。
④高額なリース料で契約しない
防犯カメラを設置する際は、購入またはリース(借りる)の何れかとなります、非常に高額なリース料が設定されている場合があります。
「月額リース料金×リース期間(月数)」で総額いくらになるのか計算し、購入よりも高くなることがほとんどですが、その差額分と分割になることによるメリットを比較して適切な方を選択しましょう。
防犯カメラの種類と設置方法による金額
防犯カメラは設置方法を軸にした場合、ざっくりと3種類に分けられます。
①有線式
一般的な防犯カメラはこちらとなります。
配線工事が必要なので3つの中で最も設置金額は高くなりますが、一度設置してしまえば電源供給も不要で、データはハードディスクに保存するようにしておけば常時録画しても1か月ほどの記録は残しておけるため利便性は最も高いです。
②無線式(ネットワークカメラ)
配線工事を行って電源供給することも可能ですが、充電することで配線工事が不要となります。
ただし、インターネットとの接続が必要となりますので、Wi-Fi環境がないと使用することができないため、賃貸マンションでは特定の状況でないと使用が難しいかもしれません。
③電池式
配線工事もインターネット環境も不要なので、どこにでも設置することが可能です。
基本的に人感センサーとなっていますが、反応スピードにより一瞬通りすがるような動作は録画できない可能性が高いです。
メリット・デメリットの比較と適切な選択
上記の3つを比較すると以下のようになります。
上記を踏まえると、
・防犯目的→有線式&ダミーの組み合わせ
・監視目的→有線式または電池式
・防犯&監視目的→有線式
とすることがベストです。
税務上の注意点と勘定科目
ちなみに、防犯カメラを購入で設置するために総額の見積もり・請求書を受領して代金を支払った場合、金額によっては一括で減価償却できなくなってしまいます。
金額によっては請求書を「本体代金」と「施工費」で分けてもらうことで、経費処理上は有利になる可能性がありますので、税理士と相談しながら進めていきましょう。
リースの場合は基本的に「リース料」として全て経費に算入できます。(リース契約ではなくレンタル契約の場合は「賃借料」となります。)
まとめ
防犯カメラを設置する際は、まずは目的を明確にしましょう。
その目的にあった防犯カメラの設置を検討し、設置後も引き続き対応を行うことで、驚くほどトラブルが発生しなくなります。
トラブルは未然防止することが重要なので、そのためには防犯カメラも活用しながら良好な管理状態を実現していきましょう。
ご愛読いただきありがとうございました。