分譲マンションの「マンション管理会社」と「賃貸管理会社」の違いとは?

最新更新日 2023年12月24日
執筆:宅地建物取引士・賃貸不動産経営管理士 三好 貴大

分譲マンションの一室を賃貸で貸すとき、「管理会社」と一言で表現してしまうと行き違いが生じたり、誤認されてしまったりすることがあります。

その理由は、賃貸の管理を行う「賃貸管理会社」とマンション全体の管理を行う「マンション管理会社」は役割が異なるからです。
今回はそれらの違いや役割についてお伝えしたいと思います。

そもそも分譲マンションとは?

分譲マンションと賃貸マンションとの違いは、建物一棟毎に権利が分かれているのか、部屋毎に権利が分かれているのかです。

例えば、賃貸マンションでは建物一棟を一人(一法人)で所有していたり、例えばAさん50%・Bさん50%と二人で共有していたり、区分が一棟毎です。
分譲マンションでは、101号室はAさん、102号室はBさん、103号室はCさんとDさんの共有など、部屋毎に区分されているため、分譲マンションは「区分マンション」とも呼ばれます。

分譲マンションは不動産デベロッパー(不動産開発業者)が大きな土地を仕入れ、マンションを建設し、1部屋毎に販売して収益を得るために建てています。
詳細は割愛しますが、賃貸マンションに比べて分譲マンションの方が建築時に設備を充実しやすいため、より売れやすいように設備を充実させたり、エントランスや建物の外観をオシャレに高級感が出るよう設計したり、一般消費者や投資家が見て「買いたい」と思われるように様々な工夫がなされています。

分譲賃貸とは?

分譲マンション(区分マンション)を賃貸として貸すことや、賃貸する分譲マンション一室の総称として「分譲賃貸」という言葉が使われます。
お部屋探しのサイトでも検索のこだわり条件に「分譲賃貸」というチェック欄があります。

前記のように建物の雰囲気や設備が充実していることから、賃貸物件を探す人の中には「分譲賃貸」を好んでいるというケースもあります。

共用部分は誰のもの?

では、分譲マンションでは部屋毎に所有者が違うという特徴がありますが、エントランスや共用廊下、建物の外壁などは誰のものなのでしょうか?
それら共用部分は各部屋の所有者全員の共有物となっているため、全員の物であり、誰か特定の人の物ではありません。

各部屋を誰が管理するかは自由に選んでも問題ありませんが、共用部分の管理者だけは統一する必要があります。
そのために、まず全所有者で組成する組織が「管理組合」です。

中には管理組合で共用部分の管理を行っているケースもありますが、管理組合は建物管理のプロではありませんので、誰かプロに依頼するのが一般的です。
その時に依頼するのが「マンション管理会社」です。

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賃貸管理とマンション管理の違いとは?

つまり、分譲マンションのエントランスや共用廊下、外壁といった共用部分の管理を行うのが「マンション管理会社」で、各部屋の所有者が賃貸としてお部屋を貸し出すときに、お部屋内を管理するのが「賃貸管理会社」です。

賃貸マンションを不動産管理会社に管理をお願いした場合は一通り全て行いますが、分譲マンションの場合はそれらを以下のような割り振りで管理を行います。

マンション管理の役割

・エントランスや共用廊下、ごみ置き場などの維持管理
・エレベーターや給水設備などの法令点検手配
・入居者からの”共用部分”の問い合わせ対応
・共用設備の修理や交換の手配

賃貸管理の役割

・空室の賃貸募集
・借主や入居者からの”お部屋内”の問い合わせ対応
・室内設備の修理や交換の手配

上記は代表的な業務内容を記しました。分譲マンション特有で賃貸マンションでは行わない業務として、管理組合の理事会開催の調整や修繕積立金の管理などが挙げられます。

分譲賃貸を賃貸管理会社に依頼する際の注意点とは?

分譲マンションの入居者募集や賃貸管理を賃貸管理会社に依頼するとき、少しだけ注意点があります。
それは、「分譲マンションの管理規約や使用細則を理解しているか」です。

代表的な例ではリフォームを行うときですが、分譲マンションでは管理規約や使用細則で様々な取り決めがなされていることが多いです。

例えば、一定の要件に該当するリフォームを行う場合は1か月以上前に管理組合(マンション管理会社)に計画書を提出して承認を得なければいけない、床のフローリング材はLL45(防音性能)以上でなければいけない、などです。
その他、賃貸する場合は入居者情報を提出しなければいけない、ペット飼育の場合は指定書式で申請しなければいけない、など多岐に渡ります。

それらの定めを知らなかった、見逃してしまったことにより、後から思わぬトラブルが発生する可能性もあるため、必ず押さえておかなければいけないポイントです。

確認方法としては、賃貸管理会社の担当者と相談した際に以下の質問をしてみてください。
「リフォームするときは気を付けた方が良いと聞いたことがあるんですが、管理規約などにはどのような決まりが書いてあることがあるんですか?」

回答として、具体的に条文例を言ってくれた場合は、管理規約や使用細則を理解していると思います。
ただ、「管理規約にもよりますから」「見てみないと分からない」と曖昧な回答の場合は、あまり精通していない可能性があるため注意が必要です。

賃貸管理会社によって管理内容や賃貸経営への影響が大きく異なるため慎重に選んでいきましょう。こちらのページも参考になさっていただければ幸いです。

ご愛読いただきありがとうございました。

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